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第四十九話 セイナはまた、帰りに畑を見て後悔する?

 聖女ミレーナは昼休憩を此処で取る事を決めて、護衛騎士隊長にその事を告げて、昼休憩が終わるまでの間は、隊長の判断でそれまでの護衛方法を決めても良いと指示を出した。


 聖女ミレーナはそれまでは、ここでゆっくりとこの景色を楽しむ事にして、聖霊樹の周辺を散策したり花を愛でたりと聖女アイラナと二人で、楽しい時間を過ごし、セイナはコハクとじゃれて遊び、クインはその様子を優しい眼差しで眺めていた。


 しかし、シルフィとエルフィはハクと共に何やら話し込んでいて、セイナの魔力が変な方向へと流れていた事に触れて、もしかして、セイナは自分でも気が付かずに、何かをやらかした可能性があると、シルフィはエルフィとハクに申し送りをして、その時にどうやってフォローをするかを考える事にした。


「セイナは一体何を妄想をしたのかしらねぇ、全く世話のかかる子ねぇ、困ったわ」

エルフィはセイナの方を眺めて、楽しそうに笑顔でシルフィに話した。


「何じゃ、言っている事と顔の表情が違っておるぞ、エルフィや、しかし、本当に面白い子じゃ」

シルフィも世話のしがいがあるセイナに、優しい視線を送っていた。


「しかし、また能力がセイナ殿に増えたと言う事か、聖女達の魔力が増えた事と云い、慈愛の女神メルリス様はあの子に、過保護すぎるでは無いかなぁ」

ハクは、女神がセイナを過保護過ぎるのではないかとの思いに駆られていた。


「うーん、それはどうであろかなぁ、実際に、この世界に必要な人材だということだと思うぞ、自然崩壊が始まりかけているようであるからの」

シルフィは自然崩壊を防ぐ為に必要な人材だと、セイナを見ていた。


「そうですよねぇ、セイナは素直でいい子ですから、きっと女神はそこを高く評価したのでしょう、女神から見たあの子の魂が、きっと綺麗だったのでしょうねぇ」

エルフィは女神の人の見る目を信じていた。


「人は強大な力を持つと、どうしても我欲に走りがちになるがの、あの子は自分の欲望が人の為になる物を選ぶ様じゃ、だから自分の為にだけ使う事はないであろう」

シルフィはセイナの事をそう思っていた。


 聖女ミレーナは護衛騎士達に昼休憩を告げて、交代で昼を取るように命じてから、セイナ達とお弁当を楽しく取り、一時程してから、ここから退却をして、森の入口に戻って行った。


 そして森の入口に戻り、セイナは聖女ミレーナ達と共に馬車に乗り、宿屋のある街に向けて、出発をして、そしてセイナはゆっくり進む馬車の車窓から、景色を眺めていると、先程ただの平原が青や赤の実が生る畑に変化をしている事に気付き、急に顔色が悪くなっていた。


 その様子を見ていた聖女ミレーナは、セイナが見ていた処を車窓から見ると景観が変わっている事に気付き、御者に馬車を止めるように伝えて、聖女ミレーナ一行は全員がそこに止まる事になった。


 聖女ミレーナは直ぐに馬車から降りて、その景観が変わって居る処へ行くと、実の成っている物を見て、微笑み、そして赤い実の野菜を採り一口食べると少し甘みのあるもので、セイナの世界で云うトマトを食べていた。


「うーん、美味しい、うふふ、セイナの仕業ですねぇ」

聖女ミレーナは直ぐにセイナの仕業だと分かった。


 そこえ、護衛の騎士達も行き、聖女ミレーナが食した実を食べて、皆の顔が綻んで笑顔になっていて、シルフィとエルフィも同じ物を食べて、笑顔になり、聖女アイラナも同じ様に食べて、思わず「美味しい」と一言言い、他の者も口々に言い出していた。


 そしてセイナだけは馬車に残り、顔を隠す様に手で隠して、またやらかしたと思い、もう反省をしていたが、何故こんな事になったのか、サッパリ理解出来ず、頭の中が混乱をしていた。


 聖女ミレーナは、そこの畑になっている実を何種類か、今日の夕食の分だけ、収穫するように護衛騎士に命じて、宿屋で待機しているオルディノ辺境伯爵にも見せて、食して貰う事を考えていた。


 そして聖女ミレーナはニコニコしながら上機嫌で馬車に戻り、馬車の隅の方で小さくなって、顔を隠しているセイナに向けて話しかけた。


「セイナさん、後で、見た事のない多分、野菜だと思うのだけど、どの様に料理をすれば良いか教えて下さいねぇ」

聖女ミレーナはセイナに料理の仕方を尋ねた。


「ウワ―、なんで私がやったと思うのですか、聖女ミレーナ様、お願いです。私は無実です。勘弁してください」

セイナは聖女ミレーナに訴えるようにお願いをした。


「うふふ、大体そんな態度をとっているから、分かるのですよ、セイナさん、でもそんな事が出来る人はセイナさん以外に他に居るのかしら、うふふ」

聖女ミレーナは笑顔で、セイナの背を摩りながら、囁くように伝えた。


「セイナよ、そんな無駄な事はするでない。でも決して悪い事をした訳でないのだから、小さく成る事は無いんじゃ、もっと胸を張りなさいなぁ」

シルフィは小さくなっているセイナに、呆れるように言った。


「そうですよ、新しい食べ物が出来たと思えば、素晴らしい事ですよ、あの赤い実は本当に美味しかったですよ」

聖女アイラナはセイナを励ます様に話した。


「しかし、なんで、私が妄想した事が現実になるのですか、シルフィは何か知っているの」

セイナはシルフィに訴えるように尋ねた。


「うーん、それに関しては謎じゃ、セイナの膨大な魔力量も我に取っては謎なのじゃ、只言える事は女神の導きの成せる業としか、言えんのが現状なのじゃ」

シルフィも良く分からないと、そして女神のなせる業としか言う事が出来なかった。


「セイナ、そんなに悲観する事はないのですよ、貴方は貴方のしたい事をして、この世界に役立つ事をすれば良いです。道さえ間違えなければ、私達が護って見せますから」

エルフィはセイナに優しく微笑み、励まして、自分の人生を歩んで欲しいと切に祈っていた。


 それから、馬車は宿のある街に再出発をしてから、馬車の中では、セイナを元気つける聖女ミレーナと聖女アイラナの姿があり、セイナは自分で自分が良く判らなくなっていた。


 しかし、セイナはコハクがセイナを励ます様に、顔に頬擦りをしたり、ペロペロとセイナの頬を舐めたりと必死に慰めてくれるコハクを抱きしめて、セイナの心を癒して、そんな可愛いコハクの為にも、自分がしっかりしないといけないと思う様になっていた。

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