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第四話 旅の途中

 セイナ達は宿屋を幌馬車に乗り、御者席にルビナスとサンタナが乗り、後方にセイナとエルミナにダイナスが乗り込み、王都の街並みをゆっくりとした速度で進み、後方に聖女召喚が行われた城を眺めて、セイナは特に何も思う事は無かった。


「セイナは、もう一度この王都に来ることがあるのかしらね」

エルミナはセイナに問いかけた。


「さぁ、如何でしょうかねぇ、余り縁を感じる事は無いですけどね、冒険者の仕事で来ることがあるのでしょうか」

セイナは自ら望んで来る事は無いと感じていた。


「うーん、如何かしら、私も此処に来る事は無い気がするわ」

エルミナも、もう一度此処に来る事は無いだろうと感じていた。


 其れから暫くして、王都の出口の門の検問所に着き、冒険者の登録証をメンバー全員が役人に見せてから、荷物検査を終えて、難なく通過する事が出来た。


「セイナ、ここから、約10日程の旅になるから、途中、夜は野営になるかもだけど、セイナは大丈夫かしら」

エルミナは途中で夜は野営になる事で、セイナが耐えられるか心配をした。


「うーん、野営ですか、経験が無いので解りませんが、何とかなると思いますよ、今のうちに野営の対策を考えておきますね」

セイナは笑顔でエルミナに答えていた。


「ところで、エルミナさん、野営の時の魔物対策なんですけど、魔物は全て瘴気から誕生するものばかりなのですか」

セイナは疑問に思いエルミナに尋ねた。


「うーん、そうねぇ、最近はそう云う魔物が多くなってきているけど、自然界に昔から生存している魔物も居るわ、冒険者としては自然に生息している魔物の方が素材として売れるから、其方の方が有難いのだけどね」

エルミナはセイナに魔物が二種類居る事を教えた。


「そうですか、エルミナさん、魔石を持っていませんか、浄化魔法を魔石に籠めておきたいのです、そうすれば瘴気から産まれた魔物は近寄れなくなると思うのです」

セイナは自分の考えをエルミナに伝えた。


「あら、セイナは其れが出来るの、ならこれを使ってみて」

エルミナはマジック袋から魔石を四個を取ってセイナに渡した。


「はい、ありがとう御座います。其れでは先ずは一個目をやってみますね」

セイナは残りの三個を両腿の上に置き、一つを両手で包むように持った。


 そしてセイナは、両手で持った魔石に浄化魔法の魔力を籠め始めると、暫くして魔石が光り輝き、そして収まり、それをエルミナに手渡すと、ダイナスがエルミナから預かり、鑑定をすると上物の浄化石と鑑定された。


「ほぉ、凄いな、可成り上物の浄化の魔石が出来ているよエルミナ、これなら魔物除けに使えるよ」

ダイナスが驚き、そして感心して、笑みを浮かべてエルミナに伝えた。


「其れは当然よ、なんせセイナが籠めた浄化の魔石だもの、セイナは本当に優秀な聖属性の魔術師だものねぇ、でも本人は槍術士を方が好いのよね」

エルミナは残念そうにダイナスに伝えた。


 其れからセイナは残りの三個にも浄化魔法の魔力を籠めて、それを全てエルミナに預け、他に何かいい対策が無いか考え込んでいた。


「ねぇ、セイナ、そんなに根を詰めなくても大丈夫よ、私達がいるのよ、私達は野営には慣れているしねぇ、それにセイナが居れば、瘴気から産まれた魔物は近寄れないと思うわよ、現に今は襲われていないでょう」

エルミナが何か引っかかる事をセイナに伝えた。


「あっ、セイナさんは知らないのかなぁ、今は森の中を移動しているだろう、此処が割と難所の森でねぇ、普通なら、既に四、五回は襲われていてもおかしくない所なんだよ」

ダイナスがセイナに、今進んでいる森の事を教えてくれた。


「えっ、そうなんですか、私には普通の森に見えますが」

セイナは此処が難所とは気づかなかった。


「うーん、セイナは理解出来ないでしょうが、多分だけど、貴方の魔力がただ漏れしていると思うわよ、本来ならこの辺は黒く染まって居た森よ、でも今は緑に満ちている感じに見えているでしょう」

エルミナがセイナに自身の身体から魔力が漏れ出している事を教えた。


「エッ、私の身体からですか? それは魔力の制御が出来ていないと云う事ですか」

セイナは全く自覚が無かった。


「違うは、ダイナスもここだけの話として聞いてねぇ、セイナは大聖女なのよ、それはセイナ自身もどうにもできない事よ、大聖女の特性なの、貴方が否定しても、その特性は抑えられないのよ、存在自体が、周囲を浄化作用をもたらすものなのよ」

エルミナは、ここだけの話として、セイナとダイナスに話した。


「そうだな、セイナが大聖女である事は伏せておいた方がいいだろう、それが世間に知れたら、奪い合いの戦争に成り兼ねないからね」

ダイナスは恐ろしい事を話した。


「えっ、私ってそんなに物騒な存在なのですか?」

セイナはダイナスの話を聞いて驚いていた。


「違うわよ、まぁ、戦争の火種になる可能性はあるけどね、それだけ稀少なのよ、大聖女が居れば、その国の瘴気は完全に抑えられるのよ、それだけで可成りの予算の削減ができるの、国としても喉から手が出るくらい欲しい存在だわ」

エルミナが大聖女の存在価値をセイナに教えた。


「だからセイナは大聖女である事は、ウン違うわね、聖女である事も仄めかす様な事は言わない方が良いわねぇ、あくまでも魔術師である事にした方が良いわねぇ、私も貴方がなるべく自由に暮らしていけるように協力するから」

エルミナは、セイナに自由な生活を出来る様に、協力する約束をした。


「エルミナさん、お願いします。私は拘束されるのだけは絶対嫌です。自由に生きていたいです」

セイナはエルミナに姿勢を正して、礼儀良く節にお願いした。


「分かったわ、私で出来る事はしてあげるから、セイナも余り派手な行動は慎んでねぇ、特に聖女の能力を使う時は気を付けてねぇ、噂は直ぐに広がるものだから、それと今晩は何とか街に辿り着きそうねぇ、セイナのお陰で、スムーズに進められているから助かるわ」

エルミナはセイナに忠告と、今晩は野営せずに済む事を笑顔で教えた。


 そしてセイナを乗せた幌馬車は順調に進み、日が落ちる前に何とか街に辿り着き、宿屋の部屋も借りられて、その日の夜はゆっくりと過ごす事が出来た。

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[気になる点] エルミナに「大聖女であること以外」を話した、つまり「大聖女であると話していない」にもかかわらず、夫も含めばれていたにも関わらずセイナがそのことに驚きもしていないのが不自然に感じます。 …
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