第四十七話 セイナは今度は野菜畑を妄想する?
聖女ミレーナは歓迎会が行われてから、暫くするとシルフィからの目配せを受けて、オルディノ辺境伯爵に話しかけた。
「オルディノ辺境伯爵、あのこの領に湖が近くにございませんか、土壌を改善するのに、あれば大変役立つのですが、どうでしょうか」
聖女ミレーナはにこやかに微笑み、オルディノ辺境伯爵に尋ねた。
「何と、湖ですか、あるにはありますが、さほど大きくはありませんよ、湖と云うよりは池と云った感じですが、それでしたらこざいますが」
オルディノ辺境伯爵は思い出しながら答えた。
「それでも結構です。水辺が合った方が良いのですよ、神龍のシルフィ様と不死鳥のエルフィ様が聖霊樹を植えるそうですよ、土壌の改善に聖霊樹を植えて、聖霊や妖精を生み出して貰い、その力を借りて土壌を改善すれば、以前の様な穀倉地帯に復活するそうですわ」
聖女ミレーナはオルディノ辺境伯爵に説明を行い、オルディノ辺境伯爵の反応を確認をした。
「何と、絶滅したと言われる聖霊樹をですか、それはありがたい、私は瘴気の発生は聖霊樹の絶滅に起因しているのではないかと考えておりますから、復活するのであれば、家宝として守っていく所存ですぞ」
オルディノ辺境伯爵は聖霊樹と聞いて大変喜んで、家宝にすると言った。
「そうですか、守って貰えるのなら、それは良い事だと思いますわ」
聖女ミレーナはオルディノ辺境伯爵の反応に少し引き気味に答えた。
それから、聖女ミレーナはオルディノ辺境伯爵にその池のある場所を聞いて、オルディノ辺境伯爵は土壌が改善されたら、出来れば農地の開墾をしたいと今後を期待して、自分の考えを聖女ミレーナに熱く語っていた。
セイナは聖女ミレーナがオルディノ辺境伯爵と話しているあいだ、サディオスとは目を合わせず、コハクに食事を小分けして食べさせたり、ダイナスの処に行き、談笑をしたりとサディオスとの仲の悪さを強調するような行動をしていた。
シルフィとエルフィはそんなセイナの行動を見て、サディオスの事を意識をしている事は間違い無いと確信をして、今後の展開に色々と何か画策する事を申し合わせて、聖女ミレーナと王家と連携を後に取る事になる。
「うふふ、セイナとサディオスの身体の相性はバッチリじゃな、婚姻すれば、子宝に恵まれるのじゃ、我達はセイナの子孫と永遠に繋がることになるのでなぁ、子が沢山いる事は良い事じゃ」
シルフィはセイナの婚姻相手にサディオスを候補の一人と考えていた。
「そうですねぇ、セイナには、いずれは沢山の子を産んで貰なわなければいけませんからねぇ」
エルフィもシルフィの意見に賛成で、二人の仲をいずれ何とかする方向で考えていた。
そして、歓迎会が終わり、明日からの予定を聖女ミレーナとオルディノ辺境伯爵が改めて打ち合わせをして、ここで三泊して、明日には聖霊樹を植えに行き、少し様子を見る意味でも二日ほど此処に滞在する事に決めた。
セイナ達は聖女ミレーナとオルディノ辺境伯爵が打合せをすると聞いて、先に部屋に戻り、寛ぐことにした。
そして、聖女ミレーナが戻ってからは、何時もの様に簡易お風呂を部屋に出して、お風呂を沸かして、皆で交代で入ってから、就寝する事にした。
そして朝を迎えて、セイナはシルフィと何時もの様に早朝稽古をしてから、朝食を摂り、そして、聖女ミレーナ一行と一緒に、聖霊樹を植える予定の少し大き目な池を目指して、宿屋を出発して、案内役にオルディノ辺境伯爵の使いの者が、警護隊長の隣を一緒に馬に乗り、先導していた。
セイナは馬車の車窓から、森に行く間に景色を眺めていると、何も無い平原が広がるだけで、何も無い事に不思議になり、聖女ミレーナに尋ねた。
「聖女ミレーナ様、これだけの平原があるのに、何故何も無いのですか、何か勿体ない感じがするのですが」
セイナは疑問に思った事を聖女ミレーナに尋ねた。
「うふふ、セイナもそう思うでしょう、元々はここは麦畑が広がっていたのですよ、しかし、麦が育たなくなって放棄した土地なんですよ、放棄する前に違う野菜なども植えたのですが、どれも駄目だったと聞いています」
聖女ミレーナは以前は麦畑で合った事をセイナに教えた。
「なる程、これが先日シルフィが、話していた自然崩壊の兆しの影響と云う事ですか、可成り深刻な問題ですねぇ」
セイナは先日シルフィが話ていた事を思い出して、聖女ミレーナに話した。
セイナはその時に、この平原に、野菜畑があれば、きっと美味しいサラダが食べられるようになると妄想をして、この世界に来てから、余り野菜が食べられずにいた為に、美味しいサラダを食べたいと、少し欲求不満気味のセイナであった。
「えぇ、そうですわねぇ、シルフィ様に言われて、私もそう云う事があると知りましたが、深刻な問題です。国を挙げて対処する必要があるかと思いますわ」
聖女ミレーナは自分の考えをセイナに話した。
「まぁ、この国には既に二本聖霊樹が存在しているので、そんなに深刻になる事はない。我の住んでいた森にも聖霊樹を既に一本植えてあるのでなぁ、王都周辺は大丈夫であろう」
ハクが聖女ミレーナに聖霊樹の事を話した。
「うーん、これで今回植えれば、この国には三本に成るのですねぇ、しかし、それではまだ足りませんよハク、最低でも五本は聖霊樹が必要ですよ」
エルフィがハクに其れでは、まだ力不足だと伝えた。
エルフィが最低でも聖霊樹が五本必要だと言う話を聞いたセイナは、それぞれ植えた聖霊樹に特性をつくれないか思いに駆られて、例えばこの聖霊樹には、果実の実がなる木を成長させる能力があるとか、野菜の成長に特化しているとかの妄想をして、ニヤケテいた。
そして、聖女ミレーナ一行は池のある森の入口に着き、ここからは。徒歩で行かなければならず、馬車から降りて、徒歩で森の中に向かう事になった