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第四十五話 オルディノ辺境伯爵領に到着する

 セイナは聖女ミレーナ一行と共に、オルディノ辺境伯爵領に入ると、オルディノ辺境伯爵の使い者が訪れて、宿屋の中でオルディノ辺境伯爵と落ち合いたいとの伝言がされて、その使いの者により、その宿屋まで案内をして貰う事になった。


「何じゃ、辺境伯爵本人が出迎えに来んのか、礼儀が足らんなぁ」

シルフィは少し苛立ちを覚えていた。


「まあまあ、思った以上に早く来てしまったので、歓迎の準備が間に合っていないのでしょう、辺境伯爵様は何時も私の事を大歓迎して頂ていていますから」

聖女ミレーナはクスと笑い、シルフィを宥める為に言った。


「しかし、ここの土地は少し荒れていますねぇ、これでは農作物が成長しずらいでしょう、瘴気の影響も多少はあると思いますが、他の要因も有りますねぇ」

エルフィはここの土壌が荒れている事を指摘した。


 エルフィは車窓から見た景色を見ながら、森が放つ新緑の気配が乏しい事と、土壌が荒れがちに見えた事から、瘴気以外の別の要因によるものが大きいと思えていた。


「えぇ、そうなんですよ、オルディノ辺境伯爵もその事は気にしていますねぇ、農作物の収穫が年々落ちているとボヤイテいましたしねぇ、土壌が瘴気のせいなのか、他の要因なのか解らないと言ってましたよ」

聖女ミレーナはオルディノ辺境伯爵の心境を皆に伝えた。


「まあ、そいう時が来たと云う事じゃ、聖霊樹が此の世から絶滅して、数百年経つのじゃ、自然事態が荒れてきてもおかしくはない」

シルフィはセイナを見てから、聖女ミレーナに告げた。


 シルフィは自然を司る聖霊や妖精は、聖霊樹の絶滅によって、その数が激減し、そして消滅した事により、自然崩壊が何時起きても不思議ではない状況が今の世界の現状であると考えていた。


「聖霊樹ですか、聖霊や妖精を生み出す樹とも云われてますねぇ、しかし、ダンジョン都市の入口の近く在ったのが、聖霊樹ですよねぇ、綺麗な大木でしたが、私は初めて見ましたけど」

聖女ミレーナはシルフィに確認の意味で尋ねた。


「そうじゃなぁ、またセイナに妄想して植えて貰うしかないの」

シルフィはセイナを見て、ニコと微笑み、聖女ミレーナに言った。


「それは名案ですねぇ、セイナお願いねぇ」

聖女ミレーナはシルフィの言った事に賛同して、セイナを見て、お願いをした。


「うぬぬ、ハァー、頑張ります。でもでも、余り妄想と云うのは止めて下さい。私が夢見がちな可笑しな女みたいじゃ無いですか」

セイナはシルフィに抗議をした。


「何を言っておる。夢見がちなのは合っておるのじゃ、しかし、可笑しな女では無いぞ、才能溢れた乙女じゃなぁ」

シルフィはセイナに向かって、ニコと微笑み、自分の思った事を言った。


「うっ、何か微妙な言い回しですねぇ」

セイナはシルフィのバカにされている様に思えていた。


「そうですよ、セイナさんは才能あふれる乙女です。間違いありません」

聖女ミレーナはクスと微笑み、シルフィの言った事に賛同をしていた。


 その話を聞いて、馬車の中にいた聖女アイラナやエルフィにハク親子も頷き、全員でセイナを優しい眼差しで見ていた。


 セイナはその時に誰かに言われた事にいちいち反論すると、何だか自分に何倍かに跳ね返ってくる気がして、反論するのも善し悪しだと、段々思えるようになってきていた。


「ところで、セイナさん、オルディノ辺境伯爵にお会いする時はセイナの事は余り触れずに、シルフィとエルフィを紹介して、聖霊樹の件を話しますから、そのつもりでいて下さいねぇ、セイナも余り目立ちたくは無いでしょう」

聖女ミレーナはセイナに事前に対応の方針を伝えた。


「そうですねぇ、私達は慈愛の女神メルリス様のお導きで、今回お世話する事になったとしますから、シルフィも其れで良いですよねぇ」

エルフィも聖女ミレーナの意見に賛同して、セイナとシルフィに伝えた。


「うん、それで良い、その方が自然じゃなぁ、この国は慈愛の女神メルリス様の教えを国教としおるからなぁ」

シルフィもその案に乗る事にした。


 セイナの話題でも盛り上がった楽しい時間は終わり、オルディノ辺境伯爵と落ち合う予定の宿屋に到着をした聖女ミレーナ一行は、宿屋に入る前に、聖女ミレーナは使いの者に隣国の聖女アイラナを紹介をしてから、五人と従魔三体が泊まれる広いお部屋をお願いしていた。


 そして宿屋の中に入ると、食堂の方で歓迎の宴の準備が、急ピッチで行われていて、それを指揮していた中年の男性がオルディノ辺境伯爵であった。


 オルディノ辺境伯爵の元へ使いの者が行き、耳打ちをすると、ハッとした表情をしてから、直ぐに聖女ミレーナの元へ歩み寄って来て、礼をしてから、聖女ミレーナに挨拶をした。


「これはこれは、ようこそお越し頂き、ありがとう御座います。少し見苦しい処をお見せして、申し訳御座いません」

オルディノ辺境伯爵は挨拶をしてから、丁寧にお辞儀をした。


「いいえ、何時も歓迎して頂き感謝しております。先に部屋で休んでも良いかしら、ここに居るとお邪魔かと思うので」

聖女ミレーナは丁寧に礼を述べて、オルディノ辺境伯爵に休んで良いかを聞いた。


「はい、長旅でお疲れでしょうから、お休みして頂いて結構です。ご用意が出来ましたら、お呼び致しますので、それまではどうぞ、ごゆっくりと休んで頂ければと」

オルディノ辺境伯爵は笑顔で聖女ミレーナに答えた。


 そして聖女ミレーナはオルディノ辺境伯爵に丁寧にお辞儀をしてから、セイナ達を連れて部屋に案内を頼んで、部屋に入ると、直ぐにクスクスと笑みを浮かべて笑い出して、「言った通りでしょう」とシルフィに言っていた。

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