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第四十四話 オルディノ辺境伯爵領へ出発する

 先日のダンジョン都市の見学を終えて、早朝に宿屋を出発して、その中で、セイナはまた一つ賢くなり、今後は、少し冷静になり、妄想は控え目にする事を自分自身の中で決めて、もう二度と恥ずかしい思いはしたくないと誓った。


「セイナさん、まさかと思うけど、もう二度と恥ずかしい思いはしたくないからって、妄想を控え目にするなんて、考えていないでしょうねぇ、それはダメですからねぇ」

聖女ミレーナはセイナの様子を見て、ニコと笑みを浮かべて、セイナに釘を刺した。


「なっ、なんで分かったのですか、私が考えている事を」

セイナは聖女ミレーナを見て、驚いて尋ねた。


「なんでって、セイナさんの顔に書いてありましたよ、セイナさんは顔に出るから、判りやすいですわ、無駄な努力は良しなさいねぇ、セイナさんは今のままの方が、私は好きなのですわ」

聖女ミレーナはにこやかにセイナに、諭すように伝えた。


「そうですよ、セイナさんは今のままの方が魅力的ですわ、変に変わらないで下さいねぇ」

聖女アイラナもセイナに諭すように伝えた。


 その様子を見ていたシルフィとエルフィはクスクスと笑い、セイナを優しい眼差しで見詰めて、二人の聖女の話に頷きながら聞いていた。


「うふふ、まさに二人の聖女様の言う通りじゃ、セイナは今のままが、我は好きなんじゃ、変に大人びたセイナは面白みのない偏屈な女になってしまう、それは我にとっても面白く無い」

シルフィは今のセイナが大好きであった。


「私もですわ、セイナは今のままが魅力的で可愛いですよ、だから尽くしたくなるのですわ、変に変わって魅力が無くなるのは残念以外何者でも無いですわ」

エルフィもシルフィの同じ考えであった。


 シルフィとエルフィの話を聞いていたハクとクインもウンウンと頷きながら、セイナを見詰めて、コハクもセイナの腕の中で頷いていた。


「ところで、聖女ミレーナ殿、次の目的地まで、どの位で着くのじゃ」

シルフィが聖女ミレーナに尋ねた。


「うーん、そうですわねぇ、確か二日から三日程ですかねぇ、後は領に入ってから何処へ行くかによって変わりますから、領境で待ち合わせているので、その時じゃ無いとハッキリとは分かりませんわねぇ」

聖女ミレーナは今の段階で分っている事だけシルフィに伝えた。


「それで、その領の被害はどの位あるのですか、可成り酷いのですか」

セイナは聖女ミレーナにどの位の被害があるか尋ねた。


「うーん、それがねぇ、今の処は無いらしいの、ただ、念の為に来て欲しいと言われているわ、今回のメインのサディエンス伯爵領はすんなりと終わったでしょう、セイナ達のお陰ですわ」

聖女ミレーナは自分が把握している事を、セイナ達に話した。


「最初はサディエンス伯爵領の方で、どのくらいになるか予想出来ないくらい掛るとか想っていたから、その影響で、オルディノ辺境伯爵領にも影響が出ると予測していたのよねぇ」

聖女ミレーナはその時の事を思い出して話した。


「為らば、今回はサディエンス伯爵領は短期間で終わったのじゃ、影響は出ん筈じゃ」

シルフィは自分の考えを聖女ミレーナに伝えた。


「私もそう思いますけど、行くと言った手前、行かない訳にもいかないので、念の為に行って状況を確認した方が良いと思いますわ、他の要因で瘴気が発生している事も考えられるので」

聖女ミレーナは飽くまでも、念の為に行く事を皆に伝えた。


「ところで、聖女アイラナ様、取敢えず、一月程この国で静養してから、新国王の元へ、私とシルフィで送る事にしましたので、お伝えしておきますねぇ、新国王の要望でそうなりました」

エルフィが聖女アイラナに帰国の時期を伝えた。


「うん、そうした方が良いのじゃ、セイナと一緒に居た方が、精神的にもリフレッシュ出来るであろうからなぁ、身体と精神の静養には丁度良い」

シルフィも聖女アイラナにその方が良いと薦めた。


「そうですねぇ、彼の要望でもあるなら従います。それにセイナさんと一緒に居ると、楽しそうで気分転換にも成りますわ」

聖女アイラナはセイナを見て微笑み、了承した。


 聖女アイラナは、セイナと一緒に居ると色々と面白い事も体験できそうなので、楽しみにしている事と、色々と便利な物があれば、譲って貰い、国に持ち帰りたいと考えていた。


「ところで、セイナさん、頂いたこのマジックバックの容量はどのくらいあるのですか、念の為に確認したいのですが」

聖女アイラナはマジックバックの容量を聞いていなかったので、改めて確認をする為に尋ねた。


 聖女アイラナはセイナから、譲って貰ったマジックバックの容量が、どのくらいか念の為に確認したいと思い、もしセイナが作ったものなら、可成りの容量だと期待はしていた。


「うん、それな、我が代わりに答えるのじゃ、お主が居た王城も楽に入るくらいじゃ、凄いであろう、それでも加減したつもり何じゃと、本人は思っているがの」

シルフィはセイナが言いずらいであろうと、先読みして答えた。


「うふふ、流石は私のセイナねぇ、このマジックバックは私の国でも国宝級以上ですわ」

聖女ミレーナは笑って言った。


「そうですねぇ、うふふ、セイナさんがつくった物なら、規格外な物でも直ぐに納得出来る様になりましたわ」

聖女アイラナも笑って答えた。


「何ですか、二人共、私を何だと思っているのですか」

セイナは頬を膨らませて、二人の聖女に言った。


『セイナさんだと思っています』と二人の聖女が声を揃えて言った。


 そう言った後に聖女ミレーナと聖女アイラナは互いに、顔を見合わせてから大爆笑をして、お腹を押さえながら笑っていた。


 馬車の中はセイナの話題に事切れずに笑いの種になり、オルディノ辺境伯爵領までの旅路は、大変楽しい時間を過ごす事ができた聖女ミレーナは常に笑顔で、セイナは常に頬を膨らませて不機嫌であった。

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