第四十二話 セイナはダンジョン都市づくりで、盛大にやらかす
セイナは朝を迎えて、気分よく起きて、コハクを抱いて、早朝稽古にシルフィと共に行い、シルフィは何やらニヤニヤとしてセイナを見詰めていた事に、セイナは気づき、シルフィに尋ねた。
「ねぇシルフィ、なんで、私を見て、ニヤニヤしているんですか」
セイナは少し不機嫌な表情をして、シルフィに聞いた。
「うーん、後のお楽しみじゃ」
シルフィはセイナに理由は内緒だと、ダンマリを決め込んでいた。
セイナはまだ気づいていなかった自分がやらかした事を、ダンジョン都市がいかに異質な物かを、皆に言われて、その時に初めて気づく事になる。
セイナはシルフィとの早朝稽古を終えると直ぐに、部屋に戻り、汗をかいた身体をタオルで拭いて、魔法で身体を綺麗にしてから着替えていると、聖女の二人も起きて、セイナに朝の挨拶をして、そして着替え始めた。
セイナ達は朝食を摂り終えてから、直ぐにダンジョン都市の見学の為に、宿屋を出発して、馬車が動き始めた時にシルフィが簡単にダンジョン都市を造っのはセイナだと説明をした。
「聖女ミレーナ、聖女アイラナ、良く聞くのじゃ、これから行くダンジョン都市はセイナの妄想で出来た都市じゃ、期待して見ると好い、気っと面白い事になる」
シルフィはクスクス笑いながら、聖女ミレーナと聖女アイラナに話した。
「シルフィ、なんですか、面白い事って、私、そんなに変な事をした覚えはないですよ」
セイナは自分で造った事を認める発言をした。
「そうですねぇ、セイナさんのする事ですから、キッと面白い事でしょうねぇ、期待しているわよ、セイナ」
聖女ミレーナはセイナ事だからと、期待をして笑っていた。
そして国境近くの森の入口に着くと、昨日まで無かった舗装された道があり、その先に大きな観覧車のてっぺんの部分が見えていた。
「オイ、綺麗な道が出来ているけど、その先になんか変な物が見えるぞ」
護衛隊長が大きな声で皆に教えていた。
その隊長の声がセイナの乗る馬車の中まで、聞こえてきて、セイナは変な物に反応をして、不機嫌になって、怒るように話した。
「何ですか、あの隊長は変な物とは、あれは観覧車と云う、立派な乗り物ですよ」
セイナは不機嫌になり、文句を言っていた。
「セイナさん、あれは観覧車って乗り物なのねぇ、私は初めて見ましたわ」
聖女ミレーナはセイナに笑いを堪えながら伝えた。
セイナは聖女ミレーナの言葉を聞いて、ハッ、として、ミルミル顔が赤く成り、その時になって、初めて気づいたセイナは、シルフィを見て、冷や汗を掻き始めて、どう説明をしようかと頭の中で必死に考え込んでいた。
シルフィはエルフィと共に大笑いをして、聖女ミレーナもそれに合わせて笑い始めて、皆は眼から涙を流すくらいに笑い、聖女アイラナは訳が分らないまま、その様子を見ていた。
「聖女ミレーナ、分かったであろう、セイナの妄想は世界一じゃ、中々、ここまで妄想を実現化出来る者がおるかの」
シルフィはけらけら笑い、聖女ミレーナに尋ねた。
「そうですねぇ、流石は私のセイナですわねぇ、期待通りですわ」
聖女ミレーナは余りに期待通りの事をするセイナに、お腹を押さえながら笑っていた。
セイナはシルフィが妄想と言っていたので、私の妄想で、この場を乗り切る算段をして、少し頭の中がクールダウンする事ができた。
「フン、どうせ私の妄想は世界一ですよ、それのどこが可笑しいのですか、妄想が実現化できるのは良い事じゃ、ありませんか」
セイナは開き直り、自分の特技だと自慢する有様であった。
「うふふ、そうじゃなぁ、セイナはドンドン妄想をして、それを底なしの魔力量で、実現をして、世の中を楽しませて暮れれば良い、そうすればこの世界も平和になるじゃろう」
シルフィは笑いながら言っていたが、最初からセイナの妄想で、今回を乗り切る事を考えていた。
「うふふ、そうですねぇ、セイナの突飛よしも無い妄想と魔力量で世の中を変革すれば、この世の中、きっと素晴らしい世界になりますねぇ」
エルフィも笑いながら、シルフィの考えに便乗して、セイナを讃えた。
それから暫く進むとダンジョン都市の入場門の近くで、聖女ミレーナ一行の先頭が止まり、そして全体が止まってから、馬車から、大観覧車とその下にメリーゴーランドが見えて、そして、その手前には立派な聖霊樹があり、その周りには綺麗な花々が咲きほこり、そして近くに小さめな湖があり、畔に白鳥型のボートが五隻並んでいた。
「セイナ、観覧車と云う物の下にある物は何と云う物ですか、御馬さんがいっぱい並んでますが」
聖女ミレーナは眼を輝かせながらセイナに尋ねた。
「あれはメリーゴーランドと云う乗り物を妄想した物ですねぇ、可愛いでしょう」
セイナは視線を泳がせながら、聖女ミレーナに妄想した物として答えた。
「セイナは何を想定して、こんな物を妄想をしたの」
聖女ミレーナは更に突っ込んだ質問をした。
「エ~と、恋人と行くデートスポットを想定しました。恥ずかしいです。これ以上聞かないで下さい。聖女ミレーナ様、お願です」
セイナは顔を赤くして、顔を両手で隠して、聖女ミレーナに訴えていた。
それから、ダンジョン都市の中に馬車でゆっくりと進んでいると、見た事のない可愛らしい家とか、お店など、まさにデートで行くに相応しい、街並みで、見ているだけで楽しくなる程で、聖女アイラナも眼を輝かせて街並みを見詰めていた。
「何だか、私もこの街に住みたくなる程、素敵ですねぇ、私の国にも欲しくなります」
聖女アイラナは感激をして、シルフィに伝えていた。
聖女ミレーナ一行は、ゆっくりと街の中を進み、都市の中央に向けて進み、そこで一旦、昼休憩を取る予定で、その後は一時程の自由時間を取り、街の中の見学をする予定でいた。