第三十九話 ダンジョン都市、誕生
聖女ミレーナ一行は国境沿いにある森の瘴気の浄化を進めていたが、やはり隣国からの瘴気の流入を防がなければ、完全な浄化が出来ず、埒が明かないと聖女ミレーナは思い立った。
「やはり、隣国からの瘴気の流入を何とかしないと、どうにも成らないですねぇ」
聖女ミレーナは苦々しい表情をしていた。
「ウム、手が無いわけでは無いが、サディエンス伯爵よ、ここにダンジョンを造ってはダメか、ダンジョンを造れば、瘴気を元にして魔素をつくり、そして魔物を生成するのじゃ、瘴気を魔素に変換する事ができる。但し、ダンジョンの中の魔物は間引きしなければ成らんが、資源にはなる」
シルフィがサディエンス伯爵に提案をした。
「ダンジョンですか、そこの中の魔物が資源なるなら、歓迎しますが、何処かの国でもダンジョン都市があると聞いた事が有りますから」
サディエンス伯爵は、それなら歓迎するとシルフィの提案に乗る事にした。
「そうじゃなぁ、多分そのダンジョン都市は我が造ったダンジョンを元に都市を造った国であろう、冒険者を街に呼び込んで、冒険者に任せて、回収した素材を買い取れば良いのじゃ」
シルフィは過去に自分が造った物だと、サディエンス伯爵に話した。
「それなら、お願いします。街の活性化にも繋がります。穢れた魔物のお陰で、本来居たはずの魔物達の姿が見えなくなっていたので、助かります」
サディエンス伯爵はシルフィに歓迎する旨を伝えた。
「セイナや、お主の魔力をチトばかり借りたいのじゃ、セイナの魔力量があれば立派なダンジョンが出来るからの」
シルフィはセイナを見て、ニヤと笑い、セイナに頼んだ。
「はい、はい、どうせ私はその位でしか、役に立たないですから」
セイナは少し、不貞腐れて、シルフィの手伝いをする事にした。
「まあ、まあ、セイナさん、ご機嫌を治してください。セイナさんの魔力量が民の為に成るのですから、素晴らしい事ですよ」
聖女ミレーナは、ニコと笑い、セイナの機嫌を取る為にセイナを褒め讃えた。
「それじゃ、我とセイナにハクが居れば充分なので、エルフィは聖女ミレーナ殿と他の者達を連れて街に戻って貰えんか、近くに居ると、魔力を吸い取られる可能性があるのでの」
シルフィは、エルフィに聖女ミレーナ達を連れて街に戻る様に頼んだ。
シルフィは、その時にエルフィに目配せをして、そして皆を街に戻る事を頼み、エルフィも其の意図を組んで、引受けて、聖女ミレーナ達を街に連れて戻る事にした。
聖女ミレーナは可愛いコハクを抱けて嬉しくて、笑顔になり、エルフィの後を付いて行き、クインは聖女ミレーナの横に付き、護衛の騎士達と希望の盾のメンバーも指示に従って、聖女ミレーナと共に護衛をしながら、街に戻って行った。
セイナとシルフィ、そしてハクは聖女ミレーナの一行が街に戻って行ったのを見送った後に、シルフィが呪文を唱えて、手の平大の丸いダンジョンコアを手の平の上に出した。
「セイナよ、これは我の特殊能力の一つ、ダンジョンコアじゃ、これに魔力を籠めるのだが、イメージと魔力量次第では、街も造る事も出来る、セイナなら、立派なダンジョン都市が造れる可能性があるののでなぁ、やって貰えんか」
シルフィは、ダンジョンコアをセイナに渡して説明をした。
「そうなの、面白そうだけど、湖とかもつくれるのかしら、恋人たちの憩いの場も作りたいの、どうかなぁ」
セイナは何時か自分も恋人を作り、二人でデートをする妄想をしていた。
「うふふ、好きにすれば良い、セイナなら、何でもありじゃ」
シルフィは笑いながら、セイナに答えて、それから地面にコアより、少し大き目な穴を開けていた。
「セイナよ、コアに魔力を籠めて、我が良いと言ったら、この穴にコアを落とすのじゃ、それから暫くは、魔力を吸い取られるのでなぁ、自分の魔力量を考えて、街のイメージをするのじゃ、余りに強大た街にすると魔力が枯れる事もあるからの、程々になぁ」
シルフィはセイナに念の為に注意事項を教えた。
「うん、解ったわよ、それじゃ、始めるわねぇ」
セイナはシルフィに返事をしてから、魔力をコアに籠め始めた。
セイナはコアに魔力を籠めながら、街のイメージを行い、ダンジョンの入口を中心にして、近くに冒険者ギルドの建物を置き、その周りに商店街を配置をして、大き目な宿屋に、それに教会があって、その前に噴水公園があるのが好いわよねぇとイメージを膨らませていた。
その時のセイナは顔がニヤけていて、ドンドンと妄想が次々の出てきて、シルフィとハクはその様子を見ていて、ハクは大丈夫のなのかと心配を始めて、シルフィはニヤニヤしていた。
セイナは妄想を続けて、そして住宅街があり、その奥に田園地帯があって、お米が植えられていて、その周りに防御壁があり、入場門より、少し離れた処に小さめな湖が在り、そして聖霊樹があって、その周りにお花畑があり公園になっているイメージをした。
「セイナ、今だ、コアを穴に落とすのじゃ」
シルフィはセイナにコアを穴に落とす様に合図を送った。
セイナはシルフィに言われた通りに、ダンジョンコアを穴に落として、暫く魔力を吸われる感覚が続き、動けなく成り、ハクが巨大化して、セイナを支えていると、周りの風景が変わっていき周辺が街の様相に呈しつつあり、それがドンドンと広がっていた。
それから暫くしてから、その周辺がパァーと一瞬光り、目の前にダンジョンの入口が出来上がり、セイナのイメージした都市が出来上がった。
セイナは暫くは、ハクに支えられていたが、意識ははっきりしていて、少しの間だけ身体が怠かったけど、徐々に手足が動かせられる様になり、そして数分後に普通に動けるようになった。
「フウー、少しやり過ぎたかしら、ようやく、身体が動かせるようになったわねぇ、良かった。ハクありがとう」
セイナは身体を動かしながら、ハクに礼をいった。
「だから、いったであろう、程々にする様にと、しかし、また随分立派なダンジョン都市を造ったものじゃ、呆れて物が言えんの」
シルフィはあきれ顔で、セイナを見て、セイナの頭を撫ぜていた。
それから、セイナはシルフィとハクで、新しいダンジョン都市の街の中を探索してから、街の宿に戻り、サディエンス伯爵に都市が出来たから活用するようとシルフィが話をする事にした。