第三十八話 国境沿いの森の浄化へ
セイナは宿に入ると、何時もの様にジャージに着替えて、夕食の時間まで、聖女ミレーナとシルフィ達と襲撃の件を少し話合ってから、明日からの聖女のお仕事について、聖女ミレーナから話を聞いていた。
「聖女のお仕事としては、私の場合は瘴気の浄化がメインですねぇ、後は魔物達と戦って負傷した騎士達の怪我の治癒でしょうか、私に出来るのはこれ位ですよ」
聖女ミレーナは自分のできる事をセイナ達に教えた。
「そうじゃなぁ、元々聖女と云うのは、瘴気の浄化が出来て、初めて聖女と認められる、怪我の治癒だけでは、認められまい、それは只の回復術士に成ってしまうからの」
シルフィは聖女になる条件に付いて話した。
「そう言えば、セイナさんも回復魔法を使えるのでしたね、セイナさんはある意味凄いですねぇ、特に魔力量が、凄い量をお持ちだとか」
聖女ミレーナは少し笑いながらセイナに尋ねた。
「聖女様、それだけは、私に聞かないで、私の唯一の悩み種ですから、自分でもどうしたら良いか解らないですから」
セイナは自分の両耳を塞いで、聖女ミレーナにお願いをした。
「うふふ、セイナの魔力量は底が見えんからの、ヘタすれば、我とエルフィの二人を足しても敵わないかも知れんからの」
シルフィはセイナの顔を見て、ニヤと笑い、セイナに告げた。
「えぇぇ、それは流石に無いと思うけど・・・・」
セイナは驚いて、否定をしようと思ったが、自信がなかったのか、最後は小さい声に成ってしまった。
「うふふ、セイナは自覚をしているのですねぇ、最後は何を言っているか聞こえませんでしたよ、否定しきれないのでしょう、自分の魔力量の多さに」
エルフィは笑いながら、セイナに告げた。
セイナはエルフィに言われて、最後は俯いてしまい、自分の魔力量の多さを素直に認めて「はい」と言って頷いた。
「まぁ、そんなにしょげる事はないのじゃ、セイナは他人の為にその魔力を使っおるのじゃ、自信を持って良い、何事も使い方じゃ、セイナは間違いなく、世の中の為になっておる」
シルフィはセイナの背中を優しく摩りながら、最後は励ましていた。
「そうですよ、現に私達はセイナさんに、救われているのですから」
聖女ミレーナは、しょげているセイナに優しい言葉をかけていた。
「セイナ、そんなにしょげないで下さい、私は間違いなく、セイナさんに命を救って頂いたのですから、その恩は生涯、忘れる事は無いでしょう」
クインはしょげているセイナに命の恩人である事を告げた。
「そうですよね、私は皆の為に、今ある能力を使って頑張れば良いのよねぇ」
セイナは自分を奮い立たせるために言った。
そんな話をしていると、部屋の扉がノックされて、夕食の時間の知らせが入り、聖女ミレーナとセイナ達は食堂に向かい、そして席に着くと、暫くして、サディエンス伯爵が食堂に来て、その場で明日の日程が知らされた。
「聖女ミレーナ様、お疲れ様です。そして警護の方々もお疲れ様です」
サディエンス伯爵は食堂に入ると、聖女様一向に挨拶を丁寧した。
「明日ですが、明日の早朝に、この宿を出発して頂き、被害が多く、汚れた魔物が一番多く出現する国境沿いの森での瘴気の浄化をお願いします。先日神龍様が敵軍を撃退していた地域です。あの日以来、だいぶ改善はされてますが、ここで完全な浄化をして頂きたい」
サディエンス伯爵は明日の予定を説明してお願いをした。
「それと聖女ミレーナ様、先程連絡がありまして、隣国の聖女様が意識を取り戻しまして、是非、聖女ミレーナ様にお会いしたいと申しまして、明日、こちらの宿に来て頂く事になりましたので、お伝えいたします」
サディエンス伯爵は聖女ミレーナに、隣国の聖女が明日こちらに来る事を知らせた。
「はい、承知いたしました、宿についたら、ゆっくりと静養して頂く様に、お伝えて下さい」
聖女ミレーナは笑顔で、サディエンス伯爵に答えた。
サディエンス伯爵の話が終わったところで、食事が配膳されて、夕食を頂き、そして部屋に戻った聖女ミレーナとセイナ達は簡易お風呂に入り、その後に少し会話を楽しんでから就寝をした。
早朝になり、聖女ミレーナの一行は早めの朝食を摂った後に、直ぐに国境沿いの森に出発をして、お昼前に到着をして、そこで昼食のお弁当を食べてから、少しの休憩を取ってから、森の中へと入って行った。
森の中へ入ると、樹木は黒く染まり、瘴気に汚染されている事が直ぐに判り、聖女ミレーナはここで一旦止まり、浄化の魔法を周辺に放ち、それに合わせて、ハクがセイナの魔力を解き放ち、浄化の作用の強化を図った。
聖女ミレーナの浄化魔法で、その周辺の瘴気と汚染された樹木は瞬く間に浄化されて、元の緑豊かな物ら改善されていった。
「あら、何時もより、効果が早いですねぇ、これはシルフィ様とエルフィ様が傍にいて下さるお陰でしょうか」
聖女ミレーナは何時もより、浄化魔法の効果が強い事に少し驚き、シルフィとエルフィの方を向き尋ねた。
「うーん、そうかも知れんなぁ」
「そう云う事にしておいて下さい」
シルフィとエルフィはお互い、曖昧な答えを聖女ミレーナにした。
「そうなんですか? でも、この効果なら、直ぐに森の浄化は終わりますわねぇ」
聖女ミレーナは笑顔で、シルフィとエルフィのに伝えた。
それから聖女ミレーナは順調に森の浄化を進め、魔物の襲撃も軽微で、ハクがセイナの魔力を少しずつ放出していったお陰で、穢れた魔物の大半は塵となり消滅していた。
お陰で、セイナの出る幕がほとんど無く、セイナは少し欲求不満気味になって、魔物を見つけると自ら、戦いに挑みに行く始末であった。