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第三十三話 天罰

 聖女ミレーナと共もに、西のサディエンス伯爵領への旅を続けていたセイナ達は、馬車を止めて馬車から降りて、遠く上空で龍が旋回しながら、下の方へプレスを放ち攻撃をしている様子を見ていた。


「うぬ、あれは間違いなく神龍じゃ、セイナ殿は覚悟しておく様に、あれは間違いなく天罰を与えておる。隣国もお終いだなぁ」

ハクは神龍が天罰を下したら、間違いなくセイナの処に来ると読んでいた。


「ハク、もう一体、こちらに飛んで来ているけど、あれは何かしら」

セイナはもう一体、神龍の他にこちらに飛んで来ている物がいると、ハクに尋ねた。


「うっ、あれは不死鳥じゃ、まさか二体で天罰を下す気か、それはやり過ぎじゃないか」

ハクは驚き、二体での天罰は聞いた事がなかったので、びっくりした顔をして、セイナが見ても解る程であった。


 そして不死鳥はハクの近くまで飛んで来て、ハクに声を掛けて、一人の女性を預かる様に頼み、そしてセイナを見て一言告げた。


「良い処にいたなぁ、神獣フェンリル、そなたにこの女性を預けるから、保護してくれるか、疲労で倒れているから、介護も頼む」

不死鳥がハクに言うと、ハクの背中の真上にその女性を放して、ハクがその女性を背で受け取った。


「うふふ、流石じゃな、フェンリル、頼むぞ、うーん、其方には、後でゆっくりと会おうじゃないか、女神の導かれし者よ」

不死鳥はセイナの顔を見て、笑ったような表情をしてから、また来た方へ飛び立っていった。


「ハク、今、私の方を見ていったわよねぇ、何なのあの鳥の大きいのは何なの」

セイナは自分を見てまた後でと言われて、気が動転していた。


「あれは不死鳥じゃ、女神が生み出した天罰を与える物の一つじゃ、神龍と同等の力を持つ者だ」

ハクは不死鳥の事をセイナに教えた。


「まさか、従魔にしてなんて、言わないわよねぇ」

センナはビビりながらハクに聞いた。


「諦めろ、セイナ殿、そんな期待はせん方が良い、覚悟だけしておけ」

ハクは冷たくセイナを突き放した。


「ハクが冷たい、クイン、何とかして」

セイナはハクに冷たくされて、クインに泣きついた。


「セイナ、それは私でも無理な相談ですよ」

クインは自分でも歯が立たない相手と認識している為に、セイナの期待に応えられなかった。


 それよりもハクの背に乗った女性は疲労で可成り弱っていたので、セイナは回復用のポーションを飲ませながら、セイナ自身も彼女に回復魔法を掛けて、彼女の体力と魔力不足を解消させると顔色が良くなっていた。


 そして遠方で軍への攻撃を行っていた龍は、軍を壊滅状態にしてから、不死鳥と同じ方向へと飛び去って行ったのを見たセイナは、ハクに何で同じ方向に行ったかを聞いてた。


「ねぇ、ハク、神龍さんもさっき飛んで行ったのと、同じ方向に飛んで行ったけど何の為に行ったの」

セイナは分かっていたけど、念の為にハクに確認をした。


「うん、恐らく天罰を隣国の国王に下しに行ったのだろう、王都は間違いなく火の海に変わるだろう」

ハクは天罰を与える神龍と不死鳥が二体つるんでいた事に驚きはしたが、冷静にセイナに教えた。


 聖女ミレーナの一行は神龍が飛び去ったのを確認したので、不死鳥が置いていった聖女は、希望の盾の幌馬車に乗せてから、目的地は神龍が攻撃をしていた処の手前の街であった。


 一行は安全の為に予定を変更をして、次の街で泊まり、目的地には先馬を走らせて、状況を確認してから向かう事にした。


「まさか、伝説の神龍と不死鳥を目にする事になるなんて、今回は何か色々と起こる予感がします」

聖女ミレーナは、一生に一度あるかどうかの奇跡を目にした事に、驚きを感じていた。


「本来なら。目にする事が無い物達だ、無理もない、言っている我も本来は人前に出る物では無いがの」

ハクはセイナをチラ見してから、驚いている聖女ミレーナに同情をした。


「うーん、嫌な予感しかしない、女神様、どうか私に平穏な日々が、送れますようにお願いします」

セイナは天に向かって、女神にどうか私の目の前にあの二体が、現れないようにと、必死に祈っていた。


「ハアー、セイナ殿、無駄な努力をしても無理じゃ、不死鳥に目撃されてしまったからの、もう逃げられまい」

ハクにセイナに諦めて覚悟をする様に告げた。


「ハク様、なんでセイナ様に神龍様達が、絡んでくるのですか」

聖女ミレーナは先程から、セイナとハクの会話を聞いて、不思議に思っていた。


「うーん、何と説明したら良いかの、聖女ミレーナはセイナの魔力量が異常に多い事をご存知か」

ハクは聖女ミレーナに確認をした。


「はい、笑えてしまう程にと、なんでも魔力が駄々洩れする程多く、それにハク様が感じ取って従魔になったとエルミナ様から聞いております」

聖女ミレーナは、その話をしている時に想い出し笑いをしていた。


「うん、その通りなんだが、その魔力が、神獣である我らにとって甘味であってなぁ、それで寄り付く様になっておる。まさに神の申し子という存在じゃ」

ハクはセイナの魔力の性質で、神獣が寄り付く事を説明をした。


 ハクは聖女ミレーナにセイナの魔力の事を説明をして、聖女ミレーナはハクの話に納得をして、笑顔でセイナを見詰めて、セイナはガックリと肩を落として、そして、また天に向かって、お祈りをするセイナであった。


「うふふ、セイナさん、女神に祈っても無駄だと思いますよ、魔力の性質はそう簡単に変わる物ではありませんから、運命を受け入れましょうねぇ」

聖女ミレーナは笑顔で、セイナに止めの言葉をかけて、セイナはショックを受けていた。

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