第二十九話 セイナは聖女様の護衛任務の準備をする
セイナは明日からの聖女の護衛任務で、用意する物を準備しており、聖女である王太子妃ミレーナがセイナにあるリクエストを出して、セイナは直ぐに用意出来る物なので、聖女の専用のバックをつくり、それに色々と詰め込んでいた。
「セイナ殿、お主にはアイテムボックスが在るのに、そのバックに何を詰め込んでいるのだ」
ハクはセイナに何を詰め込んでいるのか、不思議に思い尋ねた。
「王太子妃、いや聖女様に頼まれて、下着類と化粧水に生理用品を詰め込んでいるのよ、今回は長旅になりそうだしねぇ、聖女様からのリクエストなの、代金は金貨二枚分で頼まれているの」
セイナはチョットした小遣い稼ぎで引受けていた。
「我はサディオスがなぁ、あ奴は役に立つか、不安でなぁ、以前より益しにはなったが、セイナ殿の足を引っ張りはしないか、心配じゃ」
ハクは弟子であるサディオスが役に立つか気がかりであった。
「そんなに心配なら、サディオスの剣でも借りて来たら、魔晶石を剣につけて魔剣にしてあげるけど」
セイナは小さい魔晶石を幾つか造り、浄化魔法と風魔法の魔晶石を造って持っているので、ハクに提案した。
「ホゥー、セイナ殿はそんな事も出来るのだなぁ、それなら大分益しになるな、分かった借りてくる」
ハクは直ぐにサディオスの処へ向かった。
「ハクったら、何だかんだ言ったって、サディオスの事を可愛がっているのねぇ、優しいじゃない、クインも、そう思うでしょう」
セイナは笑いながら、クインに聞いた。
「アイツは、初めての弟子だから、可愛いのでしょう、今まで、他者に関わる事が無かったからね」
クインはハクに関して辛辣であった。
「クイン、ハクに以前に冷たい仕打ちを受けたから、冷たくするのは分かるけど、そろそろ許してあげたら」
セイナは苦笑いをしながら、クインに助言をした。
「セイナにそう言われてもねぇ、私の感情が収まらないのよ、別に憎くは思っていないけど、どうしてもね」
クインはハクに対しては感情的にまだ、許せず、納得が出来ていなかった。
暫くしてハクが戻り、剣を咥えて持ってきて、セイナの処に持って来て、頭を下げて、セイナにお願いをした。
「セイナ殿、この剣を宜しく頼む。あ奴が戦力になれば、それだけセイナ殿とクインとコハクの安全が担保されるからの、我一人では数によっては難しくなるからの」
ハクは自分一人なら問題無いが、守る相手がいる場合は数によっては、難しくなると考えていた。
セイナはハクから剣を預かると、剣の構造を見て、先ずは剣の取手の先に魔晶石を填め込む金具を錬成して繋げて、一体化させて、重量軽減のエンチャントを施した。
そして剣と取手の間に魔晶石を填め込む為に穴を開けて、そこに風魔法の魔晶石を填め込み、強化と再生のエンチャントを施し、取手先に浄化魔法の魔晶石を填め込んで、固定のエンチャントを施して完成させた。
「うん、こんな感じで良いかな、魔力を通せば風魔法と浄化魔法が剣に纏って切れ味が上がるはずよ、穢れた魔物には効果的だと思うわよ」
セイナは、出来た剣の事を簡単に説明をして渡した。
「そうか、すまんな、セイナ殿、これで何とか大丈夫であろう、あっ、それと聖霊樹の種も幾つか生成して於いて欲しい、瘴気対策には欠かせない物だからなぁ」
ハクはまた、剣を咥えてサディオスの処へ持って行った。
「うん、そうよねぇ、分かったわよハク」
セイナはハクを見送りながら返事をした。
そしてセイナはハクに言われて、聖霊樹の種も幾つか生成をして、直ぐに植えられるようにして、瘴気対策に余念を残さぬように準備を始めた。
セイナは聖霊樹の種を五個ほど生成をして、アイテムボックスにそのまま仕舞い、そして自分の槍にも魔石を取り付ける作業を行い、装備に色々と強化を図り、明日の出発に万全を期していた。
セイナは聖女様からの依頼分と装備の強化などを終えてから、今度はユリエラ達が要る工房へ行き、ポーション作りに励み、回復用のポーションと聖女様の為に魔力回復ポーションも併せて作った。
セイナは回復用と魔力回復用のポーションを、其々100本をずつ作り、アイテムボックスに収納して、その量を一気に作って居る処を見られて、ユリエラとサーラに呆れかえられていた。
聖女ミレーナはセイナに関して、大聖女である事以外は知らされているので、馬車の中にも同乗するように依頼に追加されて、当然従魔のハク、クイン、そしてコハクの同乗も求めていた。
そして聖女ミレーナは出発の前夜に王太子エディオンと、これから暫く会えなくなるので、その夜は共に過ごし、愛を吐く組む事にした。
「ミレーナ、セイナさんとその従魔達が傍に居れば、私も安心して、君を送り出せる。なんせ、その従魔達は神獣フェンリル様なのだから、この国最強と云っていいからねぇ」
王太子エディオンは隣で寝ているミレーナに話しかけていた。
「えぇ、私もそう思います。セイナさんはとても素敵な女性だと、エルミナ様から聞いておりますし、従魔達も大変賢く、優秀だと聞いております」
ミレーナはセイナに会える事を楽しみにしていた。
「只なぁ、今回は可成り長い任務に成るかも知れないから、君に会えなくなるのが淋しくもある。身体には気を付けるだよ、私も手が開けば君に会いに行くからねぇ」
エディオンはミレーナに優しく労り、言葉をかけて、ミレーナを抱き寄せキスをした。
そして、その翌朝は聖女ミレーナは気分よく起きて、隣で寝ている王太子エディオンの頬にキスをしてから、出掛ける為に身なりを整え、出発の為に集合場所へ向かった。