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第二十四話 サディオスとの稽古

 セイナは、ハクとクインの機嫌を直すと、エルミナに目線を送り、苦笑いをしながら、【本当に残念な弟さんですねぇ】と思いを伝えると、エルミナも苦笑いをして、【やっぱり、そう想う、本当は良い子なんだけどねぇ】とセイナに目線で返して、二人で溜息を吐いた。


「ところでセイナ、明日からの早朝稽古は、サディにつけてあげてくれるかしら、腕前はソコソコだから、手加減は入らないと思うわよ」

エルミナは、セイナに朝稽古をサディオスとする様にお願いをした。


「はい、分かりました。サディオスさん、明日の早朝稽古から、お願いしますねぇ、ハクとクインもいいわよねぇ」

セイナはエルミナに稽古の件を了解をして、ハクとクインにも確認をした。


「ふん、まぁ、見てあげるがの、残念な奴に、セイナ殿に何か変な事をされても困るのでなぁ」

ハクはサディオスを軽蔑の眼差しで見詰めて、セイナに返答をした。


 その時のサディオスは神獣フェンリルのハクに残念な奴と云われて、内心【残念、残念と、幾ら神獣フェンリルとは言え、何度も言うなぁ、今に見ていろ、何時か、きっとセイナの夫にと云わせて見せる】と思い、何気にセイナの事を気に入っていた。


「それで、セイナ、鉄鉱石の件だけど、明日か明後日には此処に届くみたいだから、それで、もし良ければ王家御用達の鍛冶屋を紹介しても良いけど、どうかしら」

エルミナが、セイナに鉄鉱石の件を伝えた。


「うーん、鍛冶屋ですか、自分で取敢えず、やってみて、ダメそうなら紹介して貰います。それで良いですか、エルミナさん」

セイナは自分で一度やって、ダメならエルミナの紹介する鍛冶屋に頼む事にした。


「まぁ、その辺はセイナに任せるわよ、何かあれば、言って貰えば良いわ、そうすれば後は私の方で対応するわね」

エルミナは、セイナに任せる事を決めて、頼まれれば自分でも動くと約束をした。


 セイナは、サディオスとは早朝稽古の事だけ話して、後はエルミナとの会話に終始して、サディオスにまったく興味を示さず、エルミナとの用件が済んだ後は、直ぐに執務室から出て行ってしまった。


 サディオスはこの国の王子で、王家主催のお茶会などでは、貴族の令嬢にチヤホヤされて、喧しいくらいに絡まれていたので、全く自分に興味を示さなかったセイナに興味を覚えていた。


 セイナはサディオスの事に関しては、エルミナさんの弟で王子だけど、自分には縁の無い人物と思うだけで、自分の恋人には不向きと結論付けた。


 エルミナはセイナとサディの二人の様子を見て、残念そうな表情をして溜息を二回してから、サディオスにダメ出しをして、セイナに関して少しだけ話した。


「サディ、セイナは貴方を見て、呆れていたわよ、セイナは本当に凄い子なのよ、そんな子に残念な人と思われて、貴方はそれで良いのかしら、一国の王子として、余りにも惨めですよ、私は貴方とセイナが夫婦になればいいのにと思っていたのに、本当に残念です」

エルミナは心の底から、悔しそうに残念がっていた。


「姉さん、ごめん・・・・」

サディオスは小さい声でエルミナに謝り、自分の未熟さに歯痒さを感じていた。


 そして、その翌朝セイナはサディオスを起こして、セイナはジャージ姿でサディオスと早朝稽古を行い、サディオスはセイナの槍術に全く歯が立たずに、打ちのめされ、コハクは大喜びでハクとクインの間ではしゃぎ周り、ハクは呆れて、クインはざぁまあみろと冷たい視線をサディオスに送っていた。


「サディオスさん、私から一本も取れないなんて、情けないですよ、男の意地を私に見せなさい」

セイナは、キツイ目線をサディオスに送り、そして言い放った。


 その時のサディオスはセイナにコテンパンに打ちのめされて、悔しいやら、情けないやらと自分の中で格闘して、それから五本ほど稽古をしたが、その日は結局、セイナから一本も取れなかった。


「セイナ殿、こ奴を今日一日、我が預かり。森に行き、レベリングをしてくる。こ奴はレベルが低すぎるのだ、このままでは、何時まで経ってもセイナ殿から一本も取れまい、エルミナ殿には、我から話を通しておく、クインはセイナ殿の傍に居て守護を頼む」

ハクはサディオスの様子を見て、痺れを切らして、セイナに提案した。


「うん、分かったわ、ちゃんとエルミナさんに許可を取ってからにして、仮にも一国の王子様だからね」

セイナはハクの提案に条件付きで、承認をした。


 セイナはサディオスの稽古が終わり、何時もの様にコハクを抱いて、クインと共に自室に戻り、着替えてから、朝食を摂りに食堂に行くと、ユリエラに会い、一緒に会話をしながら、クインとコハクと共に朝食を摂り、サディオスとハクが遅れて食堂に来た。


「セイナ殿、エルミナ殿から許可は取った。朝食を摂ったら、直ぐにでも出掛ける。こ奴の事は我に任せるが良い」

ハクはセイナに、これからの事を話した。


 それから、セイナはコハクを抱き、ユリエラとクインと共にユリエラの工房へと行き、そして、メリアンの為に化粧水の制作に取り掛かった。


 そしてハクはサディオスを連れて、森へ行き、地獄の特訓を行ない、オークとオーガを相手にサディオスは戦いレベリングを行い、最初は逃げまどいながらも、ハクの手を借りながら、何とかオークの首を切りつけて倒した。


 その後もオークを何とか一人で倒せる様に成るまで、休みなく戦わらせて、漸くハクから渋い採点でも合格点を貰い、一休みした後は今度はオーガ相手に戦闘訓練を続けられて、帰る頃には死にそうな表情をしていた。


 サディオスは、ハクの地獄の特訓のお陰で、その日一日で、何とかレベルを上げる事に成功して、それでもレベル27から39までは、一応上がったが、ハク事態はその結果に満足いくものでは無かった。

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