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第二十三話 サディオスとの出会い

 セイナはハクを従魔にしてから、二日が経ち、先日からユリエラの処でポーションの製作のお手伝いを始めて、ユリエラから、最初に回復用の初級ポーションの作成の手順を教わった。


 セイナは早速、怪物振りをユリエラとサーラに見せ付けて、普通なら初級ポーションを一日、一人で20本程作れれば良い方なのに、100本を余裕でつくり、ケロっとしていて、ユリエラが苦笑いをする。


「セイナ、貴方は本当に怪物ねぇ、どれだけ作れば満足するの?」

ユリエラは呆れた様子で、セイナに話したのが昨日の事であった。


 さして本日もユリエラの処でポーションをつくりにやって来て、セイナを見たユリエラが、昨日の初級ポーションの効能テストで、中級ポーションとほぼ同じ効能がある事を、聞かされたセイナはただ、苦笑いをして、誤魔化すほか無かった。


「セイナ、貴方は本当に、ハァー、エルミナさんが言っていた通りですねぇ、これはエルミナさんに話して、王城の騎士団に売って貰う事にします。ギルドでは販売できません」

ユリエラは溜息を吐きながら、セイナに告げた。


「ハアアア、どうもすいません、加減が難しくて、魔力を籠めすぎるのでしょうか」

セイナは自分の持つ大聖女の高すぎる能力に、振り回されていた。


「まぁ、セイナ殿、そう悲観せんでも良い、それがセイナ殿の長所だと思えば良いのでは、同じ物で良い物ができる。良い事では無いか」

ハクはセイナに、大聖女の能力を悲観するなと励ました。


「しかしねぇ、これじゃ、一般の人に使って貰え無いのよ、本当に加減するのは難しいです。私はハクみたいに前向きにはなれないわよ」

セイナは肩を落として落ち込んでいた。


「まあ、でもハクさんの言う通りよ、もっと前向きになりなさいよ、優秀なのは間違いないのだから」

ユリエラは笑ってセイナに言った。


「ところで、給湯器の開発はどうなっているの、何か開発している感じには見えないけど」

ユリエラはお風呂の件が気になりセイナに尋ねた。


「はい、魔石を魔晶石に錬金術で造り、炎と浄化の魔力は籠めてありますから、後はエルミナさんに鉄鉱石を用意して貰ってからになりますねぇ」

セイナは途中経過をユリエラに伝えた。


「当然、我とクインも魔力を魔晶石に籠める作業を手伝っている。心配するなユリエラ殿」

ハクが自信あり気にユリエラに答えた。


「へぇ、神獣のフェンリル様も手伝っているのねぇ、それじゃ期待しているわよ」

ユリエラは笑顔になり、ハクとクインを見て言った。


 コンコン、突然ドアがノックされて、『はい』とユリエラとサーラが声を揃えて返事をすると、エルミナが入って来た。


「あっ、セイナ、居るのねぇ、私の弟のサディオスが来たから、紹介するから、ハクとクイン、それにコハクも連れて、来てくれる」

エルミナはセイナ達を笑顔で呼んだ。


「あっ、はい、分りました。エルミナさん、ハク、クイン、一緒に来て」

セイナはコハクを抱き上げて、ハクとクインに声を掛けた。


そしてエルミナの後をついて、冒険者クラウン代表エルミナの執務室に入ると、目の前の応接セットの一人掛け用のソファーにサディオスが一人座っていた。


「サディ、紹介する。サディのパートナーを組んで貰うセイナよ、そしてセイナの従魔のハク様、クイン様、そして其の子どものコハク君です。仲良くするんですよ」

エルミナが笑顔で、弟のサディオスにセイナ達を紹介をした。


「えっ、こんなか弱そうな女性が俺のパートナーなのですか、姉さん、もう少し、頼りになる男性とか居ないのですか」

サディオスはエルミナに不満を言って、セイナを役不足だと決めてかかった。


「ハァー、何だこいつは、エルミナ殿、こ奴は本当にお主の弟なのか、見た目は良いが、中身が残念過ぎるのではないか」

ハクは大きく溜息を吐いて、エルミナに確認をした。


「そうですよ、私のセイナに、なんて無礼な言い草ですか、幾ら、エルミナ様の弟でも、捨て置きませんよ」

クインもサディのセイナに対する態度に対して不満を言った。


「誠に申し訳ない、神獣フェンリル様、どうかお怒りにならないように、お願いします。サディ、セイナに謝りなさい、セイナは槍術でも、私と稽古をして、10本中、二本から三本は、剣聖の私から一本を取るのですよ、決してか弱くは無いのです」

エルミナはハクとクインに謝り、そしてサディを叱った。


 セイナはこの状況の中で、サディオスの事を見て、本当に残念な人と評価をして、これから、どう付き合って行こうか、この様子を見ながら、苦笑いをしながら考えていた。


「えっ、姉さん、今の話は本当なのですか、神獣フェンリル様、あの伝説の神獣なのですか」

サディオスは驚き、ハクとクインを見て、そしてエルミナに確認をした。


「そうよ、本当です。幾ら従魔にしたからと言って、喋る魔物が居ると思うの、その神獣を従魔にするセイナが、只のか弱い女性の訳があるはずがないでしょう、だから私はサディのパートナーにセイナを選んだのですよ」

エルミナはサディを残念な表情をしながら見詰めて話した。


「まったく、こいつは鍛えても脈が無いかも知れんが、世話になっているエルミナ殿の頼みだから、多少は鍛えてやるが、我が主セイナ殿を馬鹿にするような事を言ったり、行動をしたら、容赦なく、潰すから、その心算で覚悟するのだなぁ」

ハクはサディオスを見詰めて、念押しをした。


「えぇ、当然です。私も貴方に容赦する心算は有りませんからねぇ、覚悟してかかると良いです」

クインもサディオスに怒りを露わに話した。


「まあ、まあ、二人とも、頼むから、サディオスさんを殺しちゃ駄目ですよ、程々にしてあげて、私は何とも思っていないからねぇ、お願いねぇ」

セイナはハクとクインを諫める様に、ハクとクインの頭を撫ぜて、お願いをした。


 セイナに頭を撫ぜられていたハクとクインは気持良さそうにして、怒りを鎮めて、ご機嫌を治して、セイナに甘えるように、ハクとクインはセイナに寄り添っていた。

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