第九十七話 四天王のエンリ、アイスリ、クリハ、ライハ、登場
セイナ達は別館に戻り、セイナは自室にコハク、ルビー、クインと共に夕食を済ませてから戻り、何時もの様にコハクとルビーをベッドの上でモフモフタイムで、心身共に癒しながら、サディオスとの形だけの夫婦になる事のメリットを考えていた。
サディオスと夫婦に成る一番のメリットは、公爵家の当主を押し付けられる点で、王都に戻ったら、公爵家の当主就任のお披露目パーティーが開催される予定になると、聞いていたので、その前にサディオスと婚姻すれば、当主をサディオスに据えかえる事が出来ると考えた。
セイナにとって、貴族社会は未知の領域で、ましてや。公爵家の当主となると荷が勝ちすぎて、セイナ取っ手は、これほど厄介な事は無く、其れから解放される事は何より嬉しい事でもあった。
それにサディオスの婚姻については反対する者が誰も居ない事、王家もエルミナも、そして義父も諸手を上げて喜んでくれるはずだと、セイナは確信をしていた。
「うん、サディオスと婚姻する事は悪い事ばかりではなく、メリットの方が大きいのよねぇ、私は兎に角、自由な時間が欲しいの、やりたい事が沢山有るのよねぇ」
セイナはコハクとルビー相手に、話していた。
「セイナ、私はサディオスは決して、悪い相手とは思っていませんよ、只、不器用なだけで、真面目で誠実な方だと思いますよ」
クインはセイナにサディオスに対して思っている事を伝えた。
「まぁ、そうねぇ、クインの云う通りかもねぇ、ただねぇ、心の中で、まだ蟠りが有るのも事実なの、でも、一緒に住んでいれば解消するかも知れないわ」
セイナはサディオスの事を毛嫌いはしているが、心底嫌ってはいなかった。
セイナは取敢えず、クイン達と共にお風呂に入り、その後は明日のセイナ御所の訪問に備えて、コハクとルビーを抱きながら眠る事にした。
朝を迎えたセイナは一人で、中庭に出て、槍の鍛錬を軽くしてから、コハク達と連れて食堂でメンバー全員で朝食を摂った。
「そうだ、サディオスも一緒に行くのよねぇ」
セイナは念の為にサディオスに確認をした。
「セイナさんが良ければ、お供したいと思っております」
サディオスは何時の間にか、セイナに敬語を使う様になっていた。
「サディオス君、私に敬語は使わない様に話て、何か私の方が気疲れしちゃうから、ねぇ、お願い」
「えっ、そうなのですか、分かりました。努力します」
「ねぇ、サディオス、そこ努力するほど事なの、敬語を使う事の方が必要じゃないの」
「いいえ、私にとって、最早セイナさんは女神に匹敵する存在です。ですので普通に話す方が、難しいのです」
「嫌々、私は女神でも何でもないので、サディオス君が嫌う、ただのごく普通の女性ですよ」
「では、そう云う事にしておきます。セイナさん」
「う~ん、本当にそう思っているのか、怪しいけど、そう云う事で、お願いねぇ、ご同行をお願いしすねぇ、サディオス」
「はい、ィャ、ウッン、分かった。宜しく頼む」
サディオスは丁寧に返事をしそうになり、咳払いをして、普通の言葉使いで言い直した。
「うん、まぁ良いわ、それじゃ、出かける準備をしましょうか」
セイナはサディオスを見て、苦笑いをした後に、皆に一言、言って、自室に戻った。
セイナは自室に戻り、冒険者の装備を身に着けて、用意を整えてから、何時もの集合場所の玄関前に向かい、シルフィ達と合流して、ダンジョンへ向かった。
ダンジョンの入口に到着すると、昨日に比べて、冒険者の人数が増えていて、次々と入口を警備しているギルド職員に、冒険者証を見せて入口の中に入って行っていた。
「ワァ、結構冒険者の人数が増えたわねぇ、良い事だわ」
セイナは、コハクとルビーの顔を見ながら、ダンジョンが賑わってきた事を素直に喜んでいた。
「あっ、お早う御座います。希望の盾の皆さん、今日も探索なさるのですねぇ、気を付けて、行って来て下さい」
ギルド職員はセイナ達を見て、笑顔で挨拶をしてきていた。
「お早う御座います。ご苦労様です。はい、ありがとう、気を付けて行ってきますねぇ」
セイナも明るく笑顔で、ギルド職員に挨拶をした。
セイナ達はそれから、昨日同様に転移魔法陣のある入り口の扉を開けて中に入り、魔法陣の上に全員で立ち、セイナは全員が居る事を確認してから、セイナ御所と念じた。
セイナ達は何時もの様にスキャンされて、光の環が全身を足元から頭へ、そしてまた足元へスキャンが終わった時に、光に覆われた。
光から解放されると、セイナ達の目の前に四天王の四人の女性が待機していて、セイナ達が姿を現した時に、礼を執り歓迎をしてくれた。
「ようこそ、いらっしゃいました。セイナ様、シルフィ様、其れとご一行の方達、歓迎いたします」
四天王の一人の赤い髪の女性が代表で、挨拶をしてきた。
「うん、お出迎え、ありがとう、え~と、名前は何時名付ければ良いかしら」
セイナは名前が無かったので、言葉を交わすにも、不便に感じて、その女性に聞いた。
「はい、何時でもどうぞ、今でも良いですよ」
「うん、そうする、何かと不便だから、今、名付けますねぇ、赤い髪の貴方は、エンリねぇ、如何かしら」
「エンリですか、分かりました、素敵な名を頂き感謝致します」
エンリは嬉しそうに、心の中で、エンリと、自分で何度も呼んでいた。
「うん、気に入ってくれたなら嬉しいわ、次は青色の髪の方は、アイスリです。如何ですか」
「はい、アイスリですねぇ、素敵な名を頂き感謝致します」
「気に入った様ねぇ、次は茶髪な方は、クリハで如何ですか」
「クリハですか、はい、気に入りました。ありがとう御座います」
「うんうん、良かったわ気に入ってくれて嬉しいわ、次は金髪の方はライハで如何かなぁ」
「ライハですか、はい、有難く名乗らせて頂きます。セイナ様」
「気に入ってくれたのねぇ、これで全員の名を命名致しますねぇ」
『はい、セイナ様』と四人の女性は返事をした時に、セイナと同時に光に包まれて、そして光が消えて、契約が完了した事を示した。