第四話「依頼完遂」
日没まであと1時間。
琴子はかすみ公園に着いて手がかりをもとに行方不明の男の子を探していた。
(青いトレーナー……黒いズボン……)
琴子と日和、葵が探しに出るも、なかなか男の子は見つからなかった。
(日没まで時間がない。暗くなると見つけづらいし、何より危険だ)
琴子が焦っていると、先ほど指笛で読んだ一頭の鹿が琴子に近づいてきた。
「ミコ様、男の子をみつけました」
「ほんと?! どこ?!」
「こちらでございます」
鹿が案内した場所は公園から少し離れたの池の奥にある木陰だった。
「うわあああーーん!」
女性の探していると思われる男の子が泣きじゃくっている。
(あ、あの子足を怪我してる)
琴子はゆっくりと男の子に近づくと、男の子の頬に自分の頬を摺り寄せた。
すると男の子は鹿に触ってもらったことを喜び、泣き止んだ。
「わあ! しかさんだ! かわいい~」
一頭の鹿が同じく近づくと男の子の横にしゃがみ、目をじっと見つめる。
「しかさん……のせてくれるの?」
男の子は喜び、鹿に飛び乗った。
男の子が乗ったのを確認すると鹿はゆっくりとたちあがった。
「さあ、おばあさんのところに送り届けましょう!」
琴子を筆頭にかすみ公園へと向かっていく―─
一方、お願いに行った女性は叫んで孫の男の子を探していた。
「こうたー!こうたー!!」
すると、後ろから男の子の声で呼び止められた。
「おばあちゃーん!」
「──っ! こうた!」
女性は孫に駆け寄り、強く抱きしめた。
「よかった……こうた……!」
「あのね~しかさんにぼくのったんだー!」
「え?」
すると、女性は男の子のすぐそばの地面に鹿の足跡があるのを見つけた。
(──っ!! ミコ様……ありがとうございます……ありがとうございます……!)
女性は泣きながら、再び強く孫を抱きしめた。
「よかったね、無事におばあちゃんとお孫さん再会できて」
琴子たちは少し離れた木陰よりその様子を眺めていた。
「ミコ様のお働きの賜物ですよ」
「ううん、みんなのおかげだよ」
「さあて、貢物ありがたくいただくとするかな~」
よきかな、よきかな―─
読んでいただきありがとうございました!<m(__)m>
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