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明るい未来へ
妻の妊娠が分かる少し前に
世界はコロナ禍であり、緊急事態宣言が発令されていた。
その影響で妻は職を失った。
ただ妊娠もあり、いずれは退職を希望していたので
良いタイミングだとも思った。
妊婦の妻、そしていずれ生まれてくる子の為に
僕は中古の庭付き一戸建てを購入し、県外へと引っ越しをした。
小さい頃から、一戸建て購入と暖かい家庭を築くことが夢であった僕にとっては
目標通りの人生に着々と近づいていた。
いずれ子供が生まれ、ここで家族3人仲良く暮らすためにリフォームもしよう。
家族との時間を多く設けるために、遠くなった職場を辞めて転職も考えよう。
そう、未来は明るいものだと夢に一直線に僕は行動に移していったのだ。
将来はどこの部屋を子供部屋にしようか
生まれてくる子の名前はどうしようか
男の子かな、女の子かな
健康な子であればどちらでもよい
そんな会話ばかり夫婦で話しており、話が尽きなかった。
当初の僕らからすると考えもしなかった未来を、
こうして迎える前
笑顔が絶えなく夫婦の中にあったのだ。
「何としても絶対にこの家庭を守る」
僕自身に守るものの責任ができた瞬間でもあった。