第2話 冒険者登録
前回のお話
オルスレンは13歳だ。
冒険者登録をするために父とギルドに向かう。
「草原デビューなんてしないからな。」お父さんは真面目に言った。
『新規登録・登録』と書かれた扉の中にはいると4人掛けのテーブルと椅子があり奥に3人ほど人がいた。
「すいません。新規登録に来たんだが、おおアカネ!俺の息子だ。」
「おはようございます。サリンジャーさん。息子さんですか。」
「ああ。オルスレンだ。13歳になった。」
「こんにちは。オルスレンです。13歳になったので冒険者登録に来ました。」
「あらー。オルスレン。私のことわかる?お母さんの友達なのよ。あなたが小さい頃は遊んであげたのよ。」
「え?」
母さんの友達にしては若い。でもなんか知っているような。幼い感じのする丸顔だ。
「アカネ。憶えているはずないよ。最後にあったのは赤ん坊のころだ。10年ぶりぐらいだろ。知らなかったぞ。戻ってきていたの。」
「オルスレン。アカネは出来が良くてな。出世して首都のギルドで働いていたんだ。」
「ごめんね。戻ってきたのはいいけど、忙しくてオリビアとも連絡とってないのよ。帰ってきたのに連絡入れないなんてオリビアに怒られちゃうわね。」
「怒りゃしないさ。喜ぶから教えていいか。あいつから顔を出させるよ。」
「そうね。そうしてもらおうかしら。帰ってから1週間だけどギルドからほとんど出てないのよ。」
「なんだそりゃ。どういう訳だ。」
「んー。正式に発表するわけじゃないけど戦争が始まりそうなのよ。それもあって移動になったんだけど。私ここのギルド長の補佐なのよ。」
「マジか。補佐っていうけど副ギルド長だろ。すごいな。」
「すごくないわよ。左遷よ左遷。そんなことより息子さんね。オルスレン。冒険者登録するの?身元保証人はお父さん?」
「はい。父です。」
じゃぁこれと渡された用紙は簡単なものだ。名前と年齢、町の名前であるエスト、身元保証人の名前と自分との関係、僕の場合は『父』だな。
「書けました。」
「はい。じゃあプレートね。」
渡された冒険者プレートには『エスト20-15』と記載されている。
エストは町の名前で20は今年のこと。15番目の登録ということかな。
「番号は覚えておいた方がいいわ。万一失くしたときもエストか首都なら再発行もできるのよ。新人研修は受けるのよね。基本的なことはそこで教わるわ。」
「はい。研修はいつですか?」
「明日の朝イチにここに来てね。ちょうど後二人いるから一緒に研修するわ。マッシュくんとミリアンさん。知ってる?」
幼馴染みだ。二人とも同い年の13歳。
僕がうなずくとアケミさんはにっこり笑って
「じゃあギルドでの最初のお仕事です。二人に伝言してください。明日朝イチに研修に参加するように。報酬は5リル。受ける?」
「え!いいんですか?はい。受けます。」
「じゃあ1階の1番カウンターで依頼受諾書を受け取ってください。サインのもらい方とか説明も聞いてね。」
父さんはアケミさんとまだ話があるようなので僕は初めての仕事にむかった。
5リル。僕の初めての仕事は幼馴染にギルドからの伝言をすること。5リルあればパンがひと塊買える。一人で食堂に入ったことはまだない。50リルもあればランチが食べられる。