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オレをスキ過ぎる姉達がマジで怖いんですが!!?  作者: 低脳イルカ
ブルガルド王国行脚編 ドーマ
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八章 ❶

ルーノの街を混乱に陥れた『死の災厄』から一夜が明けた。


魔王に連なるものが襲ってきたとあって、ギルドマスターのデュランは守護騎士達と相談の上、奏上する為に出向く手筈だ。


しかし、留守の時を狙って再び強襲されることもある為、代理でオレに向かうよう要請してきた。


「いやいやいや、ギルドマスターの代理とかないでしょう?」


「んーよく考えたんだが、レン君が一番適任だと思うんだ」


「どうしてですか?」


「ほら、レン君ってさ、今街々を回ってるんでしょ?」


「そ、そうですけど…」


「それなら、一度王都で奏上してからコルネットか、ドーマに向かえばいいと思うんだ」


「ん〜理屈に合っているような…。でもそれなら義姉さんが…「嫌だ」ですよね〜」


「よし、この話はこれでおしまいだな」


「あっ…」


「次に、今回の報酬の件だが…」


「ギガンテス丸々一体と、二等星セカンドクラス通常一回分の討伐報酬で良いですよ」


「何!それで良いのか!?確かにそれだと、うちは助かるが…」


「義姉さんは?」


「アタシもそれで良い、魔王撃退なんざ下手に請求すると街が傾くレベルだからな。それに聖戦士は国から給金も出てる。心配するな」


「良かった。それでは、残りのギガンテス一体とブロサイクロプスはこちらで解体して売却し、街の復興費とギルドの運営費に使わせて頂きます」


「それで大丈夫なんですか?」


「あぁ、ギガンテスなんかは神話級だからね。かなりの高値がつくと思うんだけど、恐らく国が買い取って聖戦士候補の制限武具アームズ製成にまわされると思うよ」


「成る程」


「あと…マリーのことなんだが…」


「はい?」


「一緒に連れて行ってくれないか?」


「えっ?オレと一緒に行くってことはかなり危険になると思うんですが…」


「しかし君は彼女の師匠だ」


「はい」


「それにどんな危険があっても、君の手元に置けば守ってくれるだろう」


「まぁ…」


「だ、そうだぞマリー?」


「やったー!!」


ギルドマスターの執務室の別室から、マリーが飛び出して来た。


「はっ!?」


「有難う師匠!!これからも一緒だね!?」


「お、お前…家はどうするんだ?オレは他の街にもいかなきゃならないんだぞ?」


「それはこちらで管理する。気にするな」


既に退路は断たれているみたいだ。


「言わなかったか?君の知識は貴重なんだ。オレが教えれることはこの街にいる時に仕込めばいいが、君の知識はそうもいかない。マリーが君の元で成長して帰って来てくれると、この町の発展にも繋がる。まぁそういうことだ」


くっ…老獪な…。


「それに、マリーが君に付いて行くと言って聞かなくてな?」


デュランはチラッとマリーに目をやる。


マリーはずっとオレの左腕に抱きついたままだ。


何というか、子猫が親猫に戯れているようだ。


「レン。弟子なんだろ?ちゃんと面倒見ろよ?」


「…分かったよ」


ヴェール義姉さんに言われてはどうしようもない。


「出発はいつにするね?」


「明日以降にします。まだ従魔に近隣を警戒させていますから…。休ませておきたいです」


「そうか、気遣ってくれてたんだな…有難う。」


「レン君もマリーも今日は休みで良いぞ。他の冒険者も休んでるからな」


「ん〜そうしたい所なんですが…」


「何だ?」


「ちょっとマリーの修行ついでに、この町の周辺に岩の柵を作ろうと思って…」


「なっ…マリーの桁外れの魔素許容量キャパシティが、昨日の一件で相当増えたみたいなんですよ。」


「ん?昨日の一件?」


「一度倒しているとはいえ、ゾンビとなって復活したギガンテス、ブロサイクロプス、無数のゾンビ。これらを倒した事になったんでしょうね」


「レベルアップか…」


「そう言えば、昨日マリーが全然起きないって言ってたな」


「恐らく魔道書との繋がりが切れた事で、多量の経験値が流れ込んで酷い負荷が掛かったんだと思います。オレもあの後、姉さん達と飲んでいるときにかなりの負荷がきたので」


「そう言えば、俺も久しくきてなかったレベルアップの負荷がかかったな…」


「まぁそういう事で、岩の柵を作って貰おうかと…」


「防壁としても役立つか…一応貴族にはこちらから打診しておく。大体どこ辺りまで広げるんだ?」


「一応500メートル程度を考えています。今のマリーならそのぐらいは持つかと…」


「そうか、分かった。ヴェールさんはどうしますか?」


「アタシはムンティスに帰るよ。こいつが王都に奏上しに行くんなら、その時にアタシの分まで報告しといてくれればいいからな」


あー絶対ドレファンさんに会いたくないやつだ。


「はぁ〜分かったよ」


「ん!素直でよろしい。アタシを顎で使ったんだそんくらいはな」


「有り難き幸せ」


「よしよし。じゃぁアタシは帰るぞ?」


「はい。お気をつけて」


「あぁ」


義姉さんは手をヒラヒラさせて部屋を出て行った。


◆◇◆◇◆


義姉さんらと別れて、街壁の外に出た。


予定地点までマリーと歩いていると、5分としないうちにブラド、ヒルデ、マハが集まってきた。


交信すると、マハは周囲の野鳥に呼びかけ、ブラドとヒルデは野犬やウルフ達に巡回をさせていたらしい。


何と優秀な…。


なので、そこまで疲れていないらしいので、マハとブラド、ヒルデに手伝ってもらう。


先ずは街壁の外側500メートルの辺りに、魔素による線を這わせる。


それを辿るように、岩壁を地中から突き出させていく。


細かく言うと、マハが空から指示を出しながら、ヴラドがそれを感知し、俺が魔素の線を発生させつつ進み、その後ろをヒルデに乗ったマリーが岩壁を現出させていくという寸法だ。


今回、岩壁発生専用の符を渡してあるので、あとはマリーの調節次第だ。


因みに岩や土、水や氷などは、火や風、雷などと違い、魔術などで現出すると、残り続ける。


勿論、昨日デュランが技として発動したものも残っている。


これを応用して岩壁を立ち上げていく。


厚さ3メートル、地上5メートル地下3メートルの壁は強固だ。


柵というより最早外壁だ。


と、考えつつも数時間が過ぎると、小さな林を含む一帯が岩壁に囲まれた。


◆◇◆◇◆


朝からやっていたので、昼飯に戻ってデュランに報告すると、既に街中の噂になっているらしく、昼からはここで待機して欲しいと告げられた。


街の領主が来るそうだ。


十四時を回った位に、馬車がハンターズギルドの前に止まった。


出迎えはいいとのことで、ギルドマスターの執務室で待った。


入って来た御仁は、体格のいい壮年の男性だった。


「よぉデュラン。昨日は大活躍だったそうだな」


「俺じゃない。そこにいるレンとマリア、もう帰ってしまったが闘神だ」


「はっはっは、そうは言っても、お前が先頭に立つことで狩人ハンター達の士気が全く違うからな」


「では紹介しよう。彼がレン。こっちがマリアだ」


「宜しく、レン。私はトルトレーノ・フォン・ルーノだ。」


「レン・ミングルです。宜しくお願いします」


「宜しく、マリア」


「マリアです。宜しくお願いします」


握手をする。


「では、先ずかけたらどうだ?」


「その前に…、先ずはこの街の代表、そしてこのブルガルド王国西部地区の取りまとめとして礼を言わせてもらおう。有難うよくやってくれた」


トルトレーノさんは深く頭を下げた。


そして対面してソファーに腰掛ける。


しかしムンティスといい、ルーノといい、本当にこの国の貴族は腰が低いな…。


「レン、お前の言いたいことは分かる。ただ、こいつは変わり種でな」


「私は先代の三男で、兄二人が亡くなるまでは狩人ハンターをやっていたんだ。狩人ハンター時代に、こいつと何度か組んだこともあってな?それで二人の時は何時も言葉が緩いのさ」


「そうなんですか」


「だからこう言った場所ではあんまり硬い喋り方をしなくていいぞ?」


デュランさんがニカッと笑う。


「「はい」」


そこからまた報酬の話になったがオレは辞退した。


けれどマリーは金貨数十枚を貰っていた。


まぁやったことの代価としてはかなり破格だ(マリーも辞退したが、こちらは押し切られた)。


また、外壁の一部を視察して街の拡張と、畑を街の内部に作ることと、共同墓地を街壁の外に移転することを検討していると漏らしてくれた。


「そこでだ。君はこれから王都へ奏上しに行くんだろう?そこでこの書簡を国王様に届けて欲しいんだ」


封書を預かる。


「まぁ、中身は街の拡張申請みたいなものだ」


「そんなのもお伺いを立てないといけないんですね…」


「あぁ。色々手続きをしないと叛意有りと見られてしまうからね」


「あれ?っという事は壁を作らない方が良かったでしょうか?」


「そんな事はないさ。拡張によって街が賑わい、行商人や、旅人も500メートルとは言え、安心してこのルーノに入ることができるようになったんだ。勿論、今までこのルーノに住みたくても住めないもの達も、住めるようになるからね」


「良かった」


オレはホッとする。


「あぁ…ただ……」


「えっ?」


「いや、これはいい。それよりいつこの街を立つつもりかい?」


「今日は外壁も作ったので、明日には」


「そうか…。会って早々と言うのは気が引けるが、街がこんな状態では下手に祭りのような大々的なものは開けない。今夜は私の邸宅で細やかながら慰労会を開かせてもらう」


「えっと…そんな…」


「もう準備も始めている。うちのシェフの腕は逸品だ。来てくれるな?」


「レン。行ってやれ」


「お前もだデュラン」


「俺もか?」


「当たり前だろ?あぁ…服装は今来ている服で十分だ。なんせ君らは狩人ハンターだしな?」


この夜、トルトレーノさんが開いた慰労会に出席し、ルーノの郷土料理などを頂いた。

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