二章 ❸ 薬師ギルドと新レシピ
新章冒頭で煎じたアレです。
出来れば簡単なご意見、ご感想をお願いします。
思い立って、薬師ギルドに来ている。直接薬草を持ち込んだ時もあった為顔馴染みだ。
「こんにちは。」
「あー!レンさんじゃないですかぁ!薬草の収集有難うございました!薬師さん達がホッとしてました!」
「そっか、そりゃ良かった。」
「今日はどう言ったご用事ですか?」
「うん。ちょっと依頼先で良い薬の作り方を教えてもらってさ。そのレシピの申請をと思ってね。」
「あ、はい。では担当官を呼びますので彼方の席に掛けてお待ち下さい。」
いつもほんわかする笑顔を振り撒いている薬師ギルドの受付嬢ターニャさんだ。
薬師ギルドはハンターズギルドと違って狭い。と言っても一軒家の壁を取り払った位の広さはあるのだが、人の流入が希薄な為この位の広さで事足りてしまう。
「あぁ、レンさん…。どうぞ…。」
「ベイルさん。どうしたんですか?具合悪そうですけど?」
「お恥ずかしい話、昨晩ちょっと呑みすぎまして…。」
「ちょうど良かった。このレシピが役に立ちますよ。」
「えっ?どういうことですか?」
「基本的には、状態異常回復薬なんですが5つの薬草を乾燥させて適量を混ぜ合わせます。」
「それに水を加え固めたものがコレです。」
机の上に薬包紙を3包置く。
「普通に飲んでもいいのですが、薬湯にした方が効きが早いので…あ〜、コップはありますか?」
「はい。コレでいいですか?」
「あー大丈夫です。」
「そして…っと」
カードを一枚取り出し、水筒を現出させる。
「な、何ですか?それは?」
「水筒と言って中に飲み物を入れておくものです。」
「ミョルニルの槌のフォーゲルさんと共同で作りました。」
水筒と言っても金属で作る分難しい。なので鋳型でベースの角柱を作り、そこに穴の空いた蓋を溶接するという方法で作った。
さらに『防錆』を水筒そのものに、水筒を包む魔狼の皮に『保温』『衝撃耐性』の概念付与を行い完成としたが。もっとスマートな物を作るんだとフォーゲルさんは息巻いていた。
溶接も四元素の内、土と火の相性の良いドワーフ族ならではの方法で開発し、今ではミョルニルの槌の秘匿技術の1つとなっている。
俺は緑丸をコップに入れ、軽く解して水筒から白湯を注いだ。
「えっ!?お湯ですか…?」
ニコッと笑顔だけ返した。そして更に3、4回混ぜてベイルさんの前に差し出す。
「色はアレですが…取り敢えず騙されたと思って飲んでください。」
スンスンと匂いを嗅いでいる。それでも口に持って行くのは早かった。
「軽く口で濯いで飲んで下さい。」
ベイルさんは一瞬目を見開いていたが支持した通りに飲んでくれた。
「ぷっはー。すみません。口直しにもう一杯お湯を頂けますか?」
「はい。良いですよ〜」
軽く水で薬湯を流してからまた、トプトプと白湯を注いだ。それを一口飲んでベイルさんが答える。
「これ?水ですか?何か違う気がします。」
「はい。白湯と言って、沸騰させたお湯を更に10分程熱し続けて作るものです。」
「これにはどのような効果が?」
「はい。ゆっくりと体を温め、血の巡りを良くするそうです。」
「たったお湯を煮詰めるだけでですか?」
「はい。その集落ではそう信じられていましたし、実際長生きの方が多かったですね。」
「はぁ〜。」
「世の中は広いですね〜。」
「ですね。」
「んん?あれ?大分頭痛も吐き気も落ち着いてきているような?」
「それは良かった。」
「コレは…素晴らしい…。」
なにやら考えている。
「レンさん。『緑丸』『白湯』『水筒』を即時治験に回させて頂きます!」
「えっ?『緑丸』は分かるんですが、『白湯』『水筒』は何故です?『白湯』は余りにも簡単ですし、『水筒』は旅の必需品くらいなものですよ?」
「いえっ、『白湯』は明らかに発見ですよ!他2つは発明です。確かに『白湯』でお金を頂くことはできませんが、街の皆の健康保全に大いに役立つはずです。」
立ち上がって、拳を握りしめている。良かったんだろうか?
「また『水筒』ですが、温度を一定に保つなんらかの工夫がされてあるはず。それがなんなのかは分かりませんが非常に有益です!」
「しかし、恐らく高いですよ?素材だけでも相当なものではと?」
「それならそれで薬師ギルドムンティス支店が独占販売の約定を結び、王家や貴族・商家に率先して買って頂きます。そして、『水筒』の生産が増えれば購入金額も下がるので、最低でも薬師ギルドの面々が持てるだけの金額までは落とすことができます!」
やばい…魔狼が可哀想になってきた。
「あーじゃぁ取り敢えずその方向でお願いします。では『緑丸』と『白湯』のレシピと効能、用法の届書を今書いちゃいますね?あと、『水筒』は後日ミョルニルの槌のフォーゲルさんに話を持って行ってください。」
「承知いたしました。」
「また何か有用なものを見つけたら持って来ますね。」
「はい。よろしくお願いします。」
15分程でレシピ等を書き上げ提出し、頃合いになったのでハンターズギルドへ赴いた。
次はフィアナさんとのお話です。
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