七章 11
今日からちょっとだけゲームにハマるので更新遅くなります。
バン!
思いっきりドアが開く。
「ダン!!」
「どうした!?」
「魔物が…魔物が街をぐるっと包囲してやがる…」
「あいつの読み通りか…だからこれだけの人数を街の防衛に回したんだな…」
「なに、問題ない。ギルマス達が戻るまで俺らで死守すればいいだけの話だ」
「数が…数が半端じゃねぇんだ!!」
「どれだけいるんだ?」
「せ、千は下らねぇ…」
「千…だと…?見間違いじゃないのか?」
「馬鹿野郎!こんな時に冗談言うかよ!?」
「すまん、悪かった。だけどな、千だろうが万だろうがやらなきゃならん。ギルマスに預かったからな」
「うっ…それはそうだが……」
「それに、千という事は一方位毎に二百五十程度。相当ランクの高いモンスターがいなければ、一方位はうちのパーティーだけで何とかなる。他をみんなで埋めてくれればいい」
◆◇◆◇◆
ハンターズギルド・ルーノ支部は、パーティー毎の狩人の熟練度が極めて高い。
それは一重にギルマス・デュランの『扱き』と『育成』プログラムのお陰だ。
更に一月に二・三回は押し寄せるモンスターの軽い襲撃の所為で、『作戦』に入った場合の個々の意識を、個から駒へ移行させることがスムーズに出来ていた。
今回もダンが最前線に立ちながら、街の衛兵と連携を行う事で当初は乗り切っていた。
「ぐっ」
「ダン!前に出過ぎだ!!」
「しかし!コイツを倒さないと!!」
「落ち着け!お前が焦ってどうする!」
「ちっぃぃぃ!」
ダンは焦っていた。一体一体なら問題ない。集団でもデュラン直伝の槍術を駆使して切り抜ける。なら、アンデッドでは?
最初は『アンデッドが混じってるな』程度しか思っていなかった。
しかし、新たに倒したモンスターまでアンデッド化し始めるとそうはいかなかった。
つまり、戦う相手の規模が膨らむのだ。最初の戦力はもうあてにならない。少しづつ少しづつ膨らむ。
しかも、アンデッドには炎か光、スキル・ターンアッデッドで還さないと復活する。
光の属性を操る職業は限られている。だから、使える手が極端に限られてくる。
直ぐに、門の上から矢で応援する衛兵達に火矢での攻撃を支持したが、そんな都合よく火矢の準備もなく、ストックは早々に切れた。
そうすると、切り札は三等星以降で火属性の前衛職か、魔術師や法術師でチビチビと削っていくしかない。耐久戦だ。
当初、目の前の二百五十を斬り払い、早い段階で応援に行く予定だった。
しかし、もうそんな考えはもう通じない。
どうやら、相手はこのルーノを分析していたらしい。
属性の偏りを見抜いている。ギルマス・デュランは土の属性だ。
二つ名に森と入っているから木属性の風か雷と勘違いされやすい。
けれど『森槍』は土を自在に操りながら、随所に剣気を発生させ射抜く技だ。
受けた者はまるで、森の中で八方から攻撃を受けている感覚に陥るので『森槍』の二つ名がついたのだ。
そして、それに憧れるものが多い為、自然と前衛職に土の属性が多くなる。
結構ポピュラーな属性の火が、数を減らしているのだ。
つまり、堅固に防衛することはできるが、アンデッドとは格段に相性が悪い。
更には魔術師や法術師の魔素許容量にも限界がある。
これは、落ちる。
いくらギルマスが戻って来ても、戦況を引っ繰り返す事など不可能だ…。
ドン!ドドドドドドドドドドド!!
誰だ?振るった武器の衝撃波が、大地毎アンデッドを吹き飛ばして行く。更に炎が絡まる。なんて豪快な技なんだ…。
「あーレンのやつ…人使い荒くなって来やがった…誰に似たんだかなー」
誰だ…。こんな負け戦に意気揚々と戦えるのは…。
「おい、ガキ…。ブルってんじゃねーぞ?もっと気合い入れな!!」
あの…大剣…真っ赤にもえる髪……。
全身が戦う為に生まれたようなしなやかな筋肉。
けれど、美しい。
「闘…神……?」
「あーアタシをそういうやつもいるなー。ふっ…ヴェールってんだ宜しくな?大将」
◆◇◆◇◆
「さぁ行くぜ?」
真紅を纏う大剣が唸りを上げる。
いいね。今日も愛剣ヴィヘイヴィアは燃えてやがる。
技なんてもんは、この暴力の前に容易に屈する。レンがこの頃いい線いってやがるがまだまだだ。
さぁ、ヴィヘイヴィアの餌食になりやがれ!
「ふん!!」
軽く一薙する。すると炎の斬撃が飛んで行く。
着弾とともに、火柱が上がる。
「おい!ここはアタシ一人で相手してやる!あんたは他所を手伝って来な!!」
この、セカンドらしきパーティーは、アタシの圧倒的なまでの破壊力に打ち震えていた。
全く…この程度でびびってどうすんだ。確かに、今回アタシとアンデッドの相性は最高だ。
けれど、自分の属性と最悪な敵でさえ一定の戦果を挙げ、壊滅させることができなければ…その手段を持っていなければ二等星としては不十分だ。
後でデュランはお仕置きかな〜。
ふふっ…レンならどうやり合うかな?
あいつ、光と闇の精霊と契約してるし、従魔も同じく光と闇の属性持ちだ。
自身も光と闇の属性強化使えるし、装備もミョルニルの槌の一級品でアタシ直伝の技もある。あと、なんだか分からん奥の手まである…。
なんだ…。あいつがいればこの状況終わらせれんじゃねーか?
まぁいい。
「おい…返事!!聞いてんのかぁ!?」
「は、はい!」
「なら行け!!」
小僧とそのパーティーは直ぐに持ち場を移動した。
「さて…こんな奴らアタシと相棒の目じゃねぇっての…。
けど、制限武具も使えねぇし…。手間だな…」
確かにまだ百は残っていやがる。ん〜〜〜よし、あれを使おう!
一歩引く様に体を半身にして、大剣の切っ先をアンデッドの群れに向ける。
「竜剣術…」
アタシの闘気を愛剣に吸わせて行く。それに呼応して、アタシの愛剣に炎が迸る。
「竜の吐息」
炎が、溢れる。
剣を中心に、直径十メートル程の円柱が高速で伸びる。それは、アンデッドの集団を易々と貫く。まぁ当たり前だ。
そして、右から左、左から右を二往復すると…炭しか残らなかった。
「ふぅ…これで一安心かぁ。
あいつらは時計回りで行ったから、アタシは逆で行くか」
◆◇◆◇◆
「では、直ぐにでもここを破壊してルーノに戻ります」
「分かった。そうしよう」
「マリー繰り返すけど、所定の位置についたら直ぐに斬空符で破壊してくれ」
「はい!」
「その後の大規模な爆発は、金剛符を中程度二回連続で使えば楽に防げるはずだ。
そして、エンダーさんは魔力障壁。カフマンさんは聖障壁を張ってください。これは念のためです」
「「分かった」」
「これ以上のトラップはここにには無いと思うんですが、結晶魔穴破壊に参加していない方は周囲の警戒を行なって、マリー、エンダーさん、カフマンさんの護衛をお願いします」
「ギルマスも師匠も一人で大丈夫何ですか?」
「あぁ、俺達は技を放った後、全力で逃げる」
デュランさんはさらっと答え、俺は頷く。
そもそも油断していた為、色んな意味で後手に回ってしまっていた。
よくよく考えれば、俺一人なら『ギア』を全力で離脱に使っていれば、あの状態からでも魔素爆発から回避できたのだ。
破壊の直後に全力で逃走するなら、何事もなく離脱出来る。
ブラドを破壊に同行させたのが…あ、今度試してみたい事が頭に浮かんだ。
上手く行けば、とんでもない事になりそうだ。
「それでは破壊します」
「エンダーさん。合図お願いします」
「分かったわ」




