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オレをスキ過ぎる姉達がマジで怖いんですが!!?  作者: 低脳イルカ
ブルガルド王国行脚編 ルーノ編
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七章 ➓

 朝が来た。作戦の決行だ。


 天候は曇り。けれど、雨が降る気配はない。


「じゃぁダンさん。宜しくお願いします」


「あぁ任された。そっちも気をつけろよ」


「はい」


「ギルマス!」


「何だ?」


「御武運を」


「あぁ、お前もな」


「じゃぁ行きましょうか」


 ◆◇◆◇◆


「で、レン。徒歩で行くのか?」


「いえ…ほら、用意してくれてます」


「荷車だけじゃないか」


「ブラド、ヒルデ!」


「「「「「「「うぉ!」」」」」」」


「ちょっ…ビビらせんな!」


「あはは、ごめんなさい。じゃぁ頼むぞ!」


「「ゥオン!!」」


 大き目の荷車をブラドとヒルデに引っ張ってもらう算段だ。


「じゃぁブラド、ヒルデ頼むぞ!最初はゆっくりで最終的には最高速でいい」


 とっとっとっ…


 ゆっくりと走り出した。


「じゃぁ、今日の作戦をもう一度おさらいしながら朝御飯でも食べましょうか」


 この荷車は馬二頭で引くよう作られていて、雨が降っても荷物が濡れないように魔獣の皮で荷台を覆っている。


「では、今回三つのポイントに別れるんですが、一つは俺、一つはデュランさん、そしてもう一つはマリーとカリオさんのパーティーとなります。


 そして、結晶魔穴を破壊したら、直ちにこの荷馬車まで撤退してください。


 良いでしょうか」


「あ、あぁ…しかし、この荷車…殆ど揺れないが、こんな速度で大丈夫なのか?」


 カリオさんが心配して聞いてくる。


「あぁ大丈夫ですよ。今、マリーの特訓をやってますので」


「おい、マリーは俺の横で黙々とサンドイッチを頬張ってるぞ?」


 デュランさんが声を上げる。


「今、マリーが行なっている特訓は、符術を使いながら日常行動を行うという特訓です」


「俺の答えになってないぞ?」


「いえ、その符術と言うのは振動軽減の効果があります」


「「「「「「「!!?」」」」」」」


「つまり、マリーが符術を展開している限り、振動が極めて軽減されるんです」


「ちょっと待って!?そんなことしたらマリーちゃんの魔素無くなっちゃうんじゃ?」


 魔術師のエンダーさんが予想通りの質問をする。


「その点は大丈夫です。マリーの魔素許容量キャパシティなら一割も使わずに目的地まで辿り着けます」


「そ、そんな…」


「それに俺の丸薬でマリーの魔素許容量キャパシティのサポートと、符術の効果の上昇と消費魔素の軽減をしているので大丈夫です」


「こ、こんな時まで修行か…」


 デュランさんの顔が引きつっている。


「ん〜マリーはこの作戦の肝なので、少しでも符術と言うか魔素制御コントロールを養ってもらいたいんです」


「そうか…しかし、殆ど揺れない荷馬車ってのは案外良いもんだな…」


「そうですね、いつか実用化できれば良いんですけど…」


「やる気なのか?」


「構想はあるんですけど…時間とか色々足りませんし、優先度も低いです。今は自分や周りを鍛えないと…」


「そうか…そうだな。何、お前はまだ若い。時間も腐るほどある。


 だからといって本当に腐らすなよ?」


「わ、分かってますよ!」


「どうだ、ルーノに来ないか?俺の後釜は決まっているが、お前なら新人育成なんかを任せたいんだが」


「ギルマス。そいつには俺も賛成だ」


 カリオさんが同意する。


「お前らはどうだ?」


「昨日の試合を見てとんでもないやつだと思った」


 と、シールダーのマルコ。


「前衛職のくせに魔術や法術にも詳しい」


 と、クレリックのカフマン。


「「「「「そして今日はピンピンしてる」」」」」


「こんなやつルーノ《うち》にいたら、俺らのギルドはみんな強くなっちまうなぁ」


 と、モンクのシュウ。


「問題なさそうだぞ?」


 デュランがニカッと笑う。


「う…嬉しい申し出なんですが……。


 多分ムンティスに帰らないとうちの義姉達が激怒します…」


 俺は嬉しい反面、背筋が凍る。


「んんん!!?そ、そう言えばお前の義姉達の事を失念していた…」


 デュランさんの顎に冷や汗が光る。


「あーそうだった…」


「おい、カリオ。義姉達ってのは…?」


 と、シーフのニルグ。


「勇者の直系、そして…闘神と精霊砲だ…」


「「「「「ブフォッ!!!」」」」」


「ま、マジか…」「そりゃ強い訳だ」「ありえねぇ」「嘘だろ」「どーりで…」


「あと…待たせている人もいるので……」


「なんだ惚気か…」「このリア充が…」「爆発しろ」「どう言う事ですか?」


「ん?」


 今何か…殺気が…?


「どう言う意味ですか?」


「ま、マリー?」


「どう言う意味ですかぁ?


「え、いや、その…」


「わ、私…師匠の事……ぅ…うわ〜〜〜ん」


 う、嘘やろマリー?


「あんたサイテーだね?」


 エンダーさん…何かの間違いっス。


「レンよ…まさか手を出したとか?」


「んな訳ないじゃないですか!!信じてくださいデュランさん!!」


「レン…『作戦』中だぞ?」


「カリオさんまで!」


「いやーないわ」「地獄に落ちろ」「潰れてしまえ」「もげろ」


「違うからーーーーー!!!」


 ◆◇◆◇◆


 そして、何とかポイントに到着した。


 感心したのは、あの感情の起伏の中でもマリーの魔素供給は続けられていた事だ。


 とんでもない魔術師になりそうだ。でも、だからといって俺を攻撃しないでね?


 割と本気でマリーの全力符術・三重に今の俺でも耐えれるかどうか疑問だ。


「マリー。これを」


「はい」


「一応五包渡しておく。まぁ一瞬で終わると思うけど念のためだ。


 それじゃぁ、エンダーさん。エンダーさんの魔法が合図です」


「分かってる」


「デュランさん」


「おぅ」


「行きましょう」


 タンッ!


 二等星セカンド以上の身体能力は、既に人間の潜在能力の限界をギリギリ、一等星ファーストになれば遥か先を行く。


 デュランさんは恐らく超越者スーパーだろう。


 その力を持って、俺とデュランさんは別のポイントまで数秒で辿り着く。


 既に、全ての結晶魔穴は剥き出しにしてあり、後は合図を待つだけだ。


 ぐぅん…


 何だ?この感覚…


「『凝視』」


 魔素が…盆地の底に流れ込んでる…?形成する魔穴が大きい!何だあの大きさは!?


 カリオのパーティーが動いた!


 不味い…ここは先に目の前の結晶魔穴を潰すべきだろう。仕方ない…。


「ハァーーーーー」


 グレイブの刃先に強烈な力を練り込む。


「ハァッ!」


 カリオのパーティーが盆地の底の半分の距離に到達する前に、俺の特大の飛燕が形成途中の巨大魔穴を霧散させた。


「ギア・セカンド」


 そして一気にマリー達のポイントに移動する。


 思った通り、魔素の供給がされない。異変に気付いたデュランさんも一旦戻ってきた。


「何で戻ってきた?」


 カリオさんが聞いてきた。


「話し合いが必要だからです。さっきの巨大魔穴ですが、発生元はこの結晶魔穴です」


「何?どうして分かる?」


「俺は魔素の流れを読み取るスキルを持っています。


 さっきの盆地の底の魔穴は、俺とデュランさんがポイントに着いたと同時に発生し始めました。」


「あぁ、確かに俺も嫌な感じを受けた。恐らく、あれが魔素の供給だったんだろうな」


 デュランさんも何となくだが気配を察知していたのか…流石…。


「だから先に下を破壊しても、また再形成されるかもしれません。


 これは俺とデュランさんがポイントに戻れば分かる事です」


「じゃぁ俺らが下の魔穴に気を取られて、下の魔穴を破壊して元の位置に戻れば、またあそこに魔穴が形成されるっつう事か!?」


「はい、つまり、これはそういうトラップです」


「くそっ!すまねぇ…」


 カリオさんは本気で悔しがっている。けど。


「このトラップは恐らく疲弊と足留めをさせる為のものです。


 という事は、恐らく敵さんはここに振られた戦力を、もっと長い間ここに引き留めておきたかったはずです。


 つまり、このトラップの発動とともに別のトラップが発動しているはずです」


「なにぃ!?」


「じゃぁ、本命は…」


「そうルーノです」

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