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オレをスキ過ぎる姉達がマジで怖いんですが!!?  作者: 低脳イルカ
ブルガルド王国行脚編 ルーノ編
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七章 ❼

 ホールを通り越して二階、三階へと上がる。


 そこは、大規模戦闘用司令室兼会議室がある。


 そしてもう既に100名を超える狩人ハンターが集結していた。


「それでは、ルーノ地方魔穴排除作戦の作戦内容、割り振りを話すぞ。


 その前に、噂にはなっているかもしれないが、彼がムンティスから出向してもらっているレン君だ。


 ランクは二等星セカンド、今回のような『作戦』ではランクが重視される。


 歳は関係ないからな?もし、不服がある奴は俺を叩きのめしてからいえ」


 デュランも一等星ファーストだ。ここにいる全ての冒険者とやり合ってもそう簡単に負けはしない。それに、人望もある。


「では、レン君挨拶を」


「はい。


 今、お話に上がりましたレン・ミングルです。いま、マリアさんとコンビを組ませていただいていますが、中々優秀な方です。


 この作戦説明のあと、またマリアさんの修行に付き合いますが、もし、修行をされたい方には、私の知識を出せる範囲で披露させて頂きます。


 今回の作戦で、少しでもポイントを稼ぎたい方はどうぞご一緒下さい」


 みんなどよどよと騒ぎ出した。それもそのはず『無能マリー』が優秀と言われたのだ。


 けれど、既にその修行の風景を目にしていた者たちは、そんなことは思わない。


 昨日までの『無能マリー』はもういないのだ。


「あー、彼の修行は独特でな、彼の用いる手法やアイテムに関しては今後国に提出するものもある。


 教えてもらっても他言は無用だ。破ったものは懲罰を課す。


 それだけに、貴重だ。分かっているな?」


 ◆◇◆◇◆


貴重レア』…この世界においてこんなに心踊る言葉はない。


 しかもギルドマスターが発するのだ。信用に足る。


 ギルドマスターであるデュランは、ギルドマスターという役職について真の意味で『育成』の重要性を知った。


 なぜ、マイスター制度があるのか、運の良い獅子であったデュランには到底理解できなかった。けれど、マイスター制度を利用した狩人ハンターとそうでない狩人では明らかに狩人としての寿命が違うのだ。


 勿論、素養も大きく介在する。けれど、『教え』は素養を凌駕する時があるのだ。


 狩人ハンターとしての最低限の知識、コミュニケーションの重要、魔獣の動向や生態、ダンジョンのトラップなど…先人が吸収した知識が如何に狩人を活かして生かすのか、全く気づかず育っていった。傲慢だった。


 あれだけ無能と嘲った先代ギルドマスターの元で、どれだけ負傷者が少なく仕事オーダーが回っているのか…そんな事もわからずに罵っていた。


 狩人は名声を求める傾向がある。


 その通りだ。そして、身の丈に合わない仕事オーダー狩人ハンターを殺す。


 そして、狩人の求める仕事オーダーと発注される仕事オーダーの数は綺麗に反比例する。


 勿論、今現在のような魔獣の大量出没は異例だ。


 けれど、通常の依頼は四等星フォース迄が格段に多い。


 そこから急速に減っていく。しかし、名を上げたい狩人はそこを求めるのだ。


 かつての自分だ。


 長く付き合った仲間が一人二人と減っていく。残ったのは俺と数人だった。


 周りは勇者のように俺を褒め称えたが、残念なことに俺の孤独は埋まらなかった。


 何故なら、戦う時は俺一人なのだ。倒した時の歓びを分かち合う仲間はもういない。


 達成感はある。守った町や村の住民からも感謝もされる。


 けれど…虚しい。そんな気持ちをコイツらに味あわせたくはないのだ。


 例え体にガタがきて、狩人からただの人へ移ろうとしても五体満足で見送りたい。


 そう、思うようになったのはいつ頃からだろうか?


 だからこそ、このレンと言う狩人ハンターは貴重なのだ。


 ここ最近の懸案事項は間違いなくマリーだった。


 小さい頃から、祖父の魔術師の爺さん(と言ってもまだ六十にも達していなかったはずだ)や剣士や修拳士のおっさんの下で修行を積んだ。


 だが、その才能を開花させるはずの爺さんは、スタンピードが起こった時、他のパーティーを庇って死んだ。


 孫にはキツかったみたいだが良い爺さんだった。


 きちんと孫に『教え』を施していた。


 だからこそ、女の子でもこの半年生き抜いてきた。


 けれど、肝心要の部分が埋めれていなかった。


 けれど、丁度いい機会が訪れた。レンだ。コイツもソロがメインだと聞く。


 しかし、経歴を見ると既に弟子を三人も育て、皆四等星フォースだと言う。


 然も獣人だ。差別意識が希薄なのもいいが人種が違えば感覚も違う。


 教えるのも一苦労なはずだ。なのにやってのけている。


 だから、職種が違おうがレンが出した条件に合致しなかろうが、無理矢理にでもマリーを突っ込もうかと思っていた。


 まぁ、杞憂に終わったが…。


 しかし、たった半日で何という成果!


 全く有り得ない。


 符というカードを使って一気にマリーの暗雲を切り拓いた!


 だからこそ、あれはおおっぴらにしてはダメだ。


 そして、今日もこれが終われば修行だという。


 全く…これは全面支援決定だな!!


 ◆◇◆◇◆


 っと…デュランの口元が歪んでいるのを大半の狩人ハンターは見逃さなかった。


 デュランが人望を集めるのは、その『扱き』だ。


 確かにデュランの『扱き』は想像を絶する。


 しかし、このハンターズギルドに属せば三日間はこの『扱き』を受ける。


 ギルドマスターの方針で拒否は不可。嫌なら別の街に行かなければならない。


 この『扱き』を受け最初は文句を垂れていた奴も、殆どが感謝するようになる。


 狩人ハンターなら一度や二度は死地に足を踏み入れる。


 その時、この『扱き』を思い出すのだ。


 アレよりはマシだと…。そして、立ち上がる。


 狩人は死と隣り合わせだ、だからこそ生きる意志が不足しているものは死んでしまう。


 あの『扱き』を越えられない奴に狩人は務まらない。


 このハンターズギルドに属しているものは皆そう考える。


 だからこそ、何だかんだ言ってもその『扱き』を越えたマリアは同士なのだ。


 けれどだからこそ、成果が出せない以前に本来の役割がこなせないマリアが壊れる前に、脱落させたかった。


 それが虐めの正体だ。


 けれど、ムンティスから来た英雄のマジックに皆んなは目を見張った。


 マリアを本来の位置に立たせ、笑顔を湧き上がらせた手法に興味があった。


 恐らくこの討伐会議に出ている殆どが、修行に参加するだろう。


 ◆◇◆◇◆


「では、作戦の概要をレンから伝えてもらう」


「はい。それでは…まず場所から、以前このルーノの街から西南西に二十キロ程向かった場所で調査をされたと思います。そこになります」


「ちょっと待ってくれ、俺たちはあそこを調べた時何もなかったぞ?」


「私は…魔素の流れを見るスキルを持っています」


 どよっと全員が騒ついた。例え一部でさえ、自分のスキルを他人に明かすのは、相当な信頼関係を築いた間柄でしか行われないからだ。


「そこで魔素の流れを読んだ結果、地中から湧いていることを確認し、辺りを私のスキルで吹き飛ばすと、結晶に包まれた魔穴を確認しました」


『オォッ!』『そりゃ解らないはずだ』などとちらほら聞こえてくる。


「そして破壊した結果、爆発しました。


 更に、他二箇所から供給される魔素で、破壊した結晶魔穴は復元され、その余剰効果で三十体程の魔獣が発生しました。


『まじかよ…』『どうすんだよ…』


「三十体程の魔獣は、既にマリーさんの手によって討伐されています」


『嘘だろ!?』『でも、凄い魔術使ってたし…』『本当か!?』


「私の推測では、ほぼ同時に結晶魔穴を破壊する必要性があるのだと思われます。


 しかし、破壊直後の魔素爆発だけは食い止める術はなく、その後何が起こるかも分かりません。


 然も、ここに大勢の人員を割いてしまうと、このルーノの守りが薄くなってしまいます」


 二等星セカンド三等星サードクラスのパーティーが頷いている。


「そこで…出向くのは私、ギルマス、マリー、そしてカリオさんのパーティーだけとします」


「おい!!」


「何か?」


「幾ら何でもたった九人でか!?」


「はい。で、因みに貴方は…」


「俺は『ライジング』のリーダーでダンだ。俺らのメンバーは全員二等星セカンドだ」


「ではダンさんに、本作戦における狩人ハンター側のルーノ防衛の権利を移譲します。まぁルーノ防衛におけるギルドマスター代行ですね」


「お前にそんな権限ねぇだろうが!」


「ある」


「ギルマス?」


「この作戦中のルーノギルドマスターの全権を一時的にレンに移譲した」


「なっ何故!?」


「何ごとも無ければいい。だが、何かあった時の対処がレンには出来るが俺にはできないからだ。それに…久々に一狩人として使われてみたくなった」


「ギルマス…」


「な〜に、もし危なそうだったら俺が直ぐにサポートに回る」


「…はい…承諾しました」


「作戦決行は明日、朝一で行軍します。


 カリオさんのパーティー以外はダンさんの指揮下に入って下さい。


 ここからは各責任者の元で配置などを決めて下さい。以上解散!」


 ◆◇◆◇◆


 俺、マリー、ギルマス、カリオのパーティーは小会議室のある二階に移動した。


「はっはっは。ダンめ…笑える顔だったな」


「ギルマス…」


 カリオさんが顔を引きつらせて笑っている。


「ギルマス…なんか口調まで変わってませんか?」


「まぁ良いじゃないか、それに今は一狩人のデュランだ。呼び方もデュランでいい。さ〜て、ギルマス代行。よろしく頼むぞ?」


 どうも、抑圧されていた一狩人時代の何かが解き放たれたようだ。


「はい。それでは、デュランさん、マリー、カリオさん、そして…パーティーの皆さんもよろしくお願いします」


 カリオさんが前に出る。


 まず俺…『クロウ』のリーダー、剣士ソードマンのカリオだ。


 そして、盾騎士シールダーのマルコ。修拳士モンクのシュウ。盗賊シーフの二ルグ。


 法術師クレリックのカフマン。魔術師マジシャンのエンダー。これで全員、全員三等星サードだ。


「分かりました!明日はよろしくお願いします。では、作戦を伝えます」

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