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オレをスキ過ぎる姉達がマジで怖いんですが!!?  作者: 低脳イルカ
ブルガルド王国行脚編 旅立ち編
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六章 ❷ ムンティス近辺と盗賊団

 今日は『瞬転』を使わない。


 街道をゆっくり進む。レーテの街近くの森だ。


 飛んだ先が今どういう状況か、今ひとつ分からないからだ。


 飛んだ先で急に襲われては話にならない。


 今後は何か手を打たなければならない。


『ふっふっふ、そういう時こそ俺の出番よ。馬鹿弟子。


 なに、転移に反応しない結界で転移陣を組めばいいだけよ。


 俺にかかれば然程の事でもない。』


 とか俺には想像もつかない事を阿保な師匠が言っている。


 そうだ。俺の強みは外だけじゃない。内にも仲間がいる。


 しかも、それぞれが一級品の武技や知識を蓄えている。


 甘えかもしれないがそれが俺の能力の一つだ。存分に使わせて頂こう。


 みんなの疲れも考えて、ブラドに調査用の器具を乗せた荷車を引いてもらっている。


 そういえば、ブラドやマハが通常の大きさに戻った時は薬師一同びっくりしていた。


 ブラドはなんやかんで、いつも俺の足元でゴロゴロしていて、小さいので薬師ギルドでも可愛がられているからだ。


 それが、こんな大きくなれば引かれるかな、と思ったが番犬に一頭欲しいと言われた。


 そういえばブラドはオスなんだがメスとかどうなんだろうか?


 ん、マハが戻ってきた。


 肩に飛び降り『感覚共有』で思念を伝えてくる。


 なるほど、街道沿いの林に盗賊の集団か…古典的な手だな。


 あと、五十メートル位で林に差し掛かる。


 そうだ、あれを試してみるか。


『ルイ、ゾッド、モーラ』


『『『はい』』』


『マハが言うには、この先の林に盗賊の一団が潜んでいるようだ。薬師の皆んなには悪いけど、言わずにそのまま進む』


『『『はい』』』


『モーラは結界の準備をしつつ、俺の合図で直ぐに展開してくれ。いいな?』


『はい』


『ルイとゾッドは結界に近づく盗賊団の掃討と、結界の外に薬師の皆んなが出ないように気を配れ』


『『はい』』


『最後に俺だけど、速攻で頭をやる。これはレーテの森に魔物が潜んでいた時の為の予行演習だ。気を抜くなよ』


『『『はい』』』


『マハは空中から位置を知らせてくれ、ブラドはジッとしてるんだ。いいね』


『ピー』『アゥ』


 マハは俺の肩から飛び立った。


 今、念話の状況を作り出したのは小さなカードだ。


 これを各人の兜の内側に潜ませる事で、魔力を消費して念話が可能となる。


 効果範囲は二十メートルとやや狭いが、今後改良を行なってこの範囲を広める方向だ。


 現状では世に出す気は無く、周囲の気のしれた仲間内だけの通信手段として使う。


 下手に世に出すと悪用されかねない。


 さぁ行くか。


 林の中間辺りでマハがクルクルしている。


 あそこか…。マハに思念を飛ばした。


 ◆◇◆◇◆◇◆


「オラァ!!」

「止まれや!!」


「あぁ…テンプレだなぁ…」


 前に二人、右に五人左に五人十二人か。


「うわぁ!」

「「「きゃあぁ!!」」」


「聖結界!」

 すかさずモーラが法術師の結界を張る。


「その光から出ないで下さい!」

 ルイがソードと盾、俺がブレードを構えながら脇を固める。


「じゃぁ頼むよ?あと、極力殺すな」


「「「はい!」」」


 ひとっ飛びで囲いから抜ける。


 師匠は去り際に、目の前の二人に向かって剛拳を打ち込み、意識を刈りとった。


「あのっ!レン君は!?」


「師匠は大元を叩きに行ったんです」


 俺は切り込んできた盗賊の剣をいなす、そして相手の右側に回り込んで右腕の骨を砕く。


 斬るのではなく当てる。そして直ぐに戻す。


 そして右脇腹を押すように蹴り、他の盗賊にまわす。


 コレで一人だ。


 しかし、なぜ殺さないように指示をされたのか?


 こんな奴らは魔物と一緒だ。人を何とも思っちゃいない。


 そんな奴らに手心を加える必要が有るのだろうか?


 そう思いながら、また一人行動不能にしていく。


 ◆◇◆◇◆◇◆


 ガァン!


 僕は盾で受け止め、押し返し、隙の出来た左脇腹を叩く。


「ぐぅっ!?」


 余りの痛さに悶絶したらしい。


 コレは…余り強く当てていないはずなのに…。


 かなり注意を払わなければすぐにでも殺しそうだ。


 今までは魔物相手で手加減をする意味なんてなかった。


 そもそも、手加減をする意味さえなかった。


「ルイ!?」


 慌てて盾でパリィを決める。


 かなり強引に決めた。決めれた。


 僕達と盗賊の力量が違いすぎるのだ。


「ごめんモーラ。ちょっと考え事してた」


「戦闘中に考え事は危ないよ?」


「あぁそうだ。気をつける!」


 全力で手加減すると心に決めて、次の盗賊に襲い掛かった。


 ◆◇◆◇◆◇◆


 聖結界が安定して来たところを見計らって、精霊術で援護する。


 足元に氷を張って滑らせたり、顔面に水の球を当てたりする。


 加えて軽い電撃で痺れを引き起こす。


 それ自体に殺傷力はない。


 しかし十分な足止めの効果になる。


 師匠が一体何を狙って無殺を言い残したのかは分からないが、全力でルイとゾッドを支援することにした。


 ◆◇◆◇◆◇◆


「どうも♪」


 木の陰に隠れていることは、気配察知で気付いていた。


「チッ…アイツら、こんなガキどもに何手こずってやがんだ!」


 あー確かにガキなんだけど、ちょっとそこいらのガキとは違うんだけどね…。


「そのガキの代表ですが…降参しませんか?」


 俺は一歩ずつ近付きながら説得を試みる。


 俺はムンティスを出てから一度も武器を携帯していない。


「はっ!ふざけんな!ムンティスの英雄とやらなら考えても見るが、ただのガキじゃねぇか!」


 あーそう言えばそんな風に呼ばれているような気がします。ハイ。


「もう一度考えて下さい。そのムンティスの英雄だったらどうします?」


「ふざけんなっ!」


 まぁ〜信じないよね?普通。


「分かりました」


 フッ


「なっ!?うっ!?」


 盗賊の首領は、目の前のガキに斬りかかろうとした。


 するとそのガキは目の前から忽然と姿を消し、代わりに腹部に強烈な打撃と共に全身の痺れが襲い掛かった。


 盗賊団の首領は気絶した。


 ◆◇◆◇◆◇◆


 きつく縛って引き摺りながら戻ると、盗賊団は全員呻いているか失神していた。


「よしよし、殺さなかったな。


 じゃぁ、皆んなで手分けして縛るぞ?」


「「「はい」」」


 縛りながらリスティさんに聞く。


「怪我はありませんでした?」


「はい。皆んな無事です」


「そっか。良かった」


 ニコッと笑ってみせる。


「師匠、どうして殺しちゃいけなかったんですか?」


 ゾッドが聞いてくる。


 まぁ好戦的なゾッドなら、その反応も当たり前だ。


 他のみんなも聞き耳を立てている。リスティさんもだ。


「何個か理由はあるけど、一番の理由は勿体ないからかな?」


「「「「「「えっ?」」」」」」


「もちろんこいつらが名のある盗賊なら懸賞金も貰える。


 けど五体満足で捕まえると、更に奴隷売却益としてお金を貰えるんだよ」


「「「「「「えっ!?」」」」」」


「懸賞金+奴隷売却益だったらそこそこ実入りもいいし、まだここはムンティスに近いから…」


「あのー!!」


 衛士が二人、馬でやってきた。


「あっすみません。こいつら盗賊です」


「あっ!コイツらは…分かりました!じゃぁ後はこちらで引き受けますのでどうぞ先へお進み下さい。


 戻ったら衛士詰所に来て下さい」


「はい」


 俺達は先へ進むことにした。


「と、いう風に処理も楽なんだ。更に殺していて手配も無ければ、犯罪者なのか立証が難しくなるんだ」


「「「「「「成る程〜」」」」」」


 みんな納得してくれた。


「でも、衛士さんはどうしてあんなに都合よく来たんですか?」


 モーラが不思議そうに尋ねる。


「戦闘に入る前に、マハに伝令を頼んだんだ」


「あっそう言う…」


「さっ急ごう。ちょっと時間を食っちゃったからね」

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