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五章 ❻ ミョルニルの槌と聖戦士

お早うございます。


アップして数分は調整等をしているため

出来ればアップ後数分時間を置いてください。

 日も傾いてきた頃、今迄の服装やイメージとは全く違った男が、執務室の隣の資料室から出てきた。


 おー。これは一体?


「やぁ、お待たせしたね?じゃぁ行こうか。


 あ、騎士団の護衛も遠慮させてもらうよ?


 相手はあのヴェールやミラだからね。」


 全身を黒や藍色で纏めている。


 しかし、纏っている衣服から滲み出る雰囲気は、どうもそれだけじゃなさそうだ。


 ん〜俺は、どう接して良いのか迷っていると、


「あーレン君、ドレファンは宰相をやる前はギルド直属の諜報員だったんだよ。


 僕と彼は何度もパーティーを組んだことがあるからね」


「えっ?そうだったんですか…?でも異色ですね?」


「まぁ、ドレファンのスキルの多様性あってのこともあるんだけど、真面目だし、仕事の正確さや達成までの早さが群を抜いていた。


 そこを買われて王国からのスカウトされたんだ」


「へー…凄いですね」


「レン君。我が国は国民に誠実だ。


 王国といっても多少の自治を認めてるし、税金も安い。


 しかし、だからこそ締めるところは締める。


 王族も、勇者をバックアップする為に聖戦士や聖戦士候補の選定や育成に余念がなく。


 国民の為に国が強くあるべきという立場から、特殊能力スペシャル保持者ホルダーの探索や選定や育成にも力を入れています。


 まぁ…ファティナ様が殆ど場内に居られないのには困っておりますが…」


 ドレファンさんはちらっとファティナさんを見ると、ファティナさんはわかっていたのか、明後日の方向を向いてしまう。


「レン殿は聖戦士候補生でありながら、特殊能力スペシャル保持者ホルダーとしても十分な資質が有りますので、その力をブルガルド王国に対して存分に奮って頂きたいのです」


「はい!頑張ります」


 制限武具アームズの為だ…頑張ろう……。


「じゃぁ、ちょっと行こうか?」


 ギルドマスターの執務室をギルマス以外の全員が出て、階段を降りたところでラムさんに呼び止められた。


「あっ、レン君。昨日はすぐに打ち上げになったから、賞金と褒賞金を取りに来てないよね」


「あっ、そういえばまだでした…」


 後ろでドレファンさんが苦笑している。


「その賞金と褒賞金なんだけど、ハンターズギルドバンクのレン君の口座に入れといたから後で確認しといてね?


 そして今回これがレン君に支払われた総額ね」


 一枚の紙を渡される。


「おっと…なんて額だ…。二千五百万マルカ?


 白金貨二枚と真金貨五十枚…。大金だな。」


 普通に家が立つレベルだ。


 後ろからドレファンさんが覗きこんでいる。


「失礼…ん〜これは少ない感じがするね。


 ムンティス防衛、鬼神討伐に加え薬丸の功績を加えると…。


 白金貨十枚分、一億マルカを私の権限で国庫から追加しよう」


「!!?」


 ラムさん、目が丸くなってる。


 そして、なんて人だ!なんてぇ日だ!!


「えっと…君は…」


「はっはい!ラムと申します!」


「ラムさんね。明日のお昼までにはハンターズギルドバンクに振り込んでお来ますので、その後でレン君の口座に移しておいて下さい」


「はっ…はい……」


 何だろう…ラムさんの目がハートになっている気がする。


「スルートス」


「はっ!」


「頼んだよ?」


「畏まりました!」


「じゃぁレン君、行こうか」


「はいっ!!」


 これが人心掌握術なのか?もうドレファンさんが良い人にしか見えない。


 そんなやりとりがあって少し遅くなったが、ドアを開け、少しづつ藍色に変わりつつある空を見上げながら歩く。


 一分も歩くと、ドレファンさんの姿が歪んで見える。


 もう一分歩くと、周りの景色に同化しているようにさえ感じる。


 更に一分歩くと、感覚がおかしくなったのか辛うじてドレファンさんを感じ取ることができる。


「そのまま歩いてくれ。


 いま、出来る限り気配を薄めて歩いてる。


 私は何故かヴェールやミラに嫌われてるからね。


 こうでもしないと、近づく事さえ出来ないんだ」


 一体どれだけ嫌われてるんだ。


「店に着いたら、私は気にせずに…いや、

 無視してヴェールの部屋まで進んでくれ」


 実際ハンターズギルドからミョルニルの槌はそんなに遠くない。


 すぐにミョルニルの槌に着いてしまった。


 普通に店の入り口とは違う、建物の横の人が一人位余裕持って歩ける幅の、小さな通路を抜ける。


 店の裏にある下宿先に繋がる直通の通路だ。


 そして、建物の一階、一〇一号室の扉の前に立つ。


 コンコン


「ん?レンか?入れよ」


 流石ヴェール姉さんだ。気配で俺だと察知してる。


「うん」


 ノブを回すとカチャッと音を立ててドアを向こう側に押す。


 すると、女性にしてはかなりさっぱりしている部屋が目に入る。


「けど…珍しいなお前から…げぇっ!?」


 瞬間、脱走しようとするヴェール姉さん。


 俺の横を闇がぬるりと通り過ぎる。


 そう、脱走を許さないドレファンさんだ。


 何と、あっと言う間に…本当にあっと言う間に捕縛されていた。


「ヴェール。君、何時も私から逃げるけど、逃げれた覚えあるかい?」


「おっおい!レン!!この裏切り者!!」


 えぇ…ただ連れてきただけで裏切り者扱いなんて…


「ヴェール。レン君は何も悪くない。


 私のお願いを聞いてもらっただけなんだ」


 きっちり捕縛し終わった直後…


「何?煩いわよ。もうちょっと静かに出来ないの?…げっ!?」


「ふっ…」


 ドレファンさんが、別の獲物も釣れたと言わんがばかりの笑みを残して瞬間移動する。


 何の事もなく、いつの間にかミラ姉さんも捕縛された。


 ◆◇◆◇◆◇◆


 その後に「う〜る〜さ〜い〜」っと寝起きの顔で部屋に入ってきたセリア姉さんは、「あれ?ドレファンじゃーん」と友好雰囲気を漂わせた。


 しかしネグリジェ状態で入って来て、ミラ姉さんから着替え要望が出されたので、一旦自室に退去して着替えて来た。


 小さなテーブルには、俺を中心に、右回りにセリア姉さん、ミラ姉さん、そしてドレファンさんだ。


 ヴェール姉さんは、最後まで抵抗したのでベッドの上に転がしてある。まぁ、手首足首を縛られて座らせられているミラ姉さんも大概だが。


「で、今日は何?」


「別に借金の件をどうとか、言いに来たわけではありませんよ?」


「何ですかそれ?」


 姉さんの顔が赤くなっていく。


「ちょっと!レンの前で言わなくて良いでしょ!?」


「ん〜。それは私と会っても嫌な顔をしない。逃げないと約束してくれたら良いですよ?」


「くっ?…ぜ、善処するわ……」


 姉さんはすごく嫌そうだ。


 ドレファンさんの目を見ずに、俯きながら左に目を逸らしている。


「ヴェールは如何ですか?」


「あっあぁ。こっちも善処する」


 それを見て「あはは〜」と、セリア姉さんは笑っている。


「ふぅ…まぁいいでしょう。今日個々に来たのはレン君のことです」


「「「レンの事?」」」


 三人は声を揃える。


「はい」


「一月ほどレン君をお借りしたいのです」


「どう言う事?」


「今回の緊急クエストから鬼神討伐までの一件で、ブルガルド王国の聖戦士候補としてレン君を認定しました」


「何ぃ!?」

「えぇっ!?」

「ふーん」


「ちょっと、セリア?何であんただけ「ふーん」なのよ?」


「だって、昨日のゼオっちとの試合見てて、普通に一等星ファーストクラスの実力あると思ったし、制限武具アームズも今朝依頼してたよね?ならいつかは聖戦士候補生認定されちゃうかな〜って。


 もっと言えば、ファティナちゃんが昨日変な動きしてたし、ドレファン君が宰相の国だしねぇ〜。


 ん〜強いて言えば予想よりはちょっと早かったかな〜」


 す、鋭い考察…何時も温いセリア姉さんとは思えない…。


 いや、俺がセリア姉さんの本性を見抜けていないだけなのか…。


「ふふふっ…流石『勇者の直系』。鋭い洞察力だ。」


 ドレファンさんは満足そうだ。


「でも、レンちゃんは武具が治ったら龍人の里に修行に行くんじゃなかったかな?」


「はい。それはレン君より聞いてます。


 なので、その前にお借りしたいと言う事です」


「私は今のレンちゃんなら別にいいと思うよ?」


 ここで、ミラとヴェールは直感が働く。


 何でコイツはドレファンの意見に、こうも好意的なのかと…


「しかしなぁ…今回の龍人の里行きは、レンの重要課題の一つ。


 回避、防御に関してだからな。


 出来ればこっちを先に済ませたいんだけどな?」


 ヴェール姉さんが反論する。


「何かあるの?ドレファン君?」


「はい。このブルガルド王国の魔物による異常事態収拾を目的に、主要の街に一週間づつ派遣させて頂きたいのです」


「成る程…じゃぁ、フリーの私がついて行くね?」


「あんたそれが狙いなのね!?」


 ミラ姉さんの顔が般若だ。


「セリアァ……」


 ヴェール姉さんが、ベッドの上から怒気を飛ばしている。


 そして今の二人に共通しているロープでの捕縛状態。


 恐らく二人ほどの力でもそう簡単に千切れないロープの筈なのにミシミシと悲鳴を上げている。


「だってぇ…お姉さま達は国からの依頼があるでしょう?なら私が…」


「いえ、セリア様にも明日付で国からの依頼が発布されます」


「ふぇっ!?」


「そもそも、セリア様は魔界からの一時帰還報告が出されておりません」


「ひっ!」


「明日付で王都へ来て頂き、登城して頂きます」


「ドレファンく〜ん…」


 ドレファンさんに泣きついている。


「ふっ…自業自得よ…」


「それに、勇者や聖戦士が同行するとなると、過度に街々の不安を煽り、心配を掛けかねません


 なので、基本的にはレン君の信頼できるパーティー一組を対象とさせて頂きたいのですが…そこは明日にでもこのムンティスのギルドマスターゼオと話をして頂ければ宜しいかと思います」


「はい」


「それから出発の準備が整い次第、王都に来ていただくか、ハンターズギルドで出発報告を出して頂ければ問題御座いません」


「はい。分かりました」


「さて…ヴェール?ミラ?セリア様?各々、異論は御座いませんね?」


 三人は渋々首を縦に降るのだった。

本日はお花見に行こうかと思っているので

もしかすると本日のアップ一本だけかもしれません。

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