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オレをスキ過ぎる姉達がマジで怖いんですが!!?  作者: 低脳イルカ
緊急クエスト編
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四章 16 ムンティスと防衛戦 ④

「ハッハッハッ!!


 レンに言われて来てみれば、滾るなぁおい!」


 南門の上の物見から数百メートル先から先は真っ黒だ。


 横をみれば、南門を守護する衛兵たちが恐怖に打ち震えている。


 それもそのはず、昨日攻めて来た数からすれば比較にならないほど多く感じられるからだ。


 ヴェールはすぐ側の衛兵の背中を軽く叩く。


「うわっ!」


「おっと、すまんすまん。


 うちのレンと同じようにやっちまったよ」


 レンならもうちょっと力入れても平気なのになぁ〜。


「はっはぁ…」


 今いる衛兵たちは、一人を除いてミラの闘いを見たことがない。


 言葉で伝え聞くだけだ。


 そして、そんなものに信用が置けないのが人間だ。


 そんなにこの人が凄いのか?


 昨日の若い狩人ハンターの方がマシじゃないのか?


 でも、凄いところは凄い…。


 衛兵が思ったのは小麦色の肌に、西瓜を連想させる様な巨大な胸だ。


 しかし、お尻はキュッとしまっていて腹筋は綺麗に割れている。


 などと猜疑心と色の潜む目を向けられ、やる気を失いかけているミラに、一人の老齢な衛兵が歩み寄って来た。


「これは闘神ミラ様!!」


「あぁん?」


「覚えてはおられませんでしょう。


 もう二十年以上も前になります。


 今日のように魔物の大群がこのムンティスを襲いました。


 その時、ヴェール様、セリア様、ミラ様が現れあっという間に大群を片付けなされました」


「あーーーー!あった、あったなぁ。」


「ふふふ…その時私は、今いるそこのものと同じ様に震えておりました。」


「あーーー!あの時の兄ちゃんか!」


「はい。今ではこの南門守備隊の隊長を務めさせて頂いております」


「そうかぁ…老けたなぁ…」


「はっはっは。


 龍人族の方々はお年を取りにくいと聞いておりますが…まさにその通り!


 あの時の輝きのままで御座います!」


 そう率直に言われるとミラも武人であり女性だ。


 萎えかけたやる気が膨らんでくる。


「ほっほぅ…。分かってるじゃないか〜」


「はてさて…何のことでしょう?」


 完全に何のことやら?と行った感じで流している。


 素でやってたら凄いな…と内心思いつつ、漸く迫って来た大群に気を向ける。


 腰のポシェットに、いつも忍ばせているウェポンカード。


 特にこのカードは、鎖の模様が襷掛けのように意匠されている紅いシーレッドカードだ。


 この中に封印されている武器は、かつて、古龍種『溶岩龍』と戦い、倒した後に持ち帰った『溶岩龍』の素材を元に、ミョルニルの槌のエルダードワーフが創作した逸品だ。


 名を『爛れを促すもの』


 ランクは二つ星(ダブル)級。


 一等星ファースト級を超える武器だ。


 その区域のギルドマスターが持つ権限、制限解除が許された時にのみ解禁される武具だ。


「おい。私の周囲十メートルに近づくな」


 直ぐに察知した衛兵長が、大声をだしてその場の衛兵を下がらせる。


「フゥー…。リリース、『爛れを促すもの』」


 意匠であるはずの鎖に亀裂が入り、吹き飛ぶと同時にヴェールの身体に専用の防具が張り付く。


『爛れを促すもの』は、大剣だけで完成せず、その効果から使用者を守る防具とセットで顕現する。


 この防具は全身鎧ではあるが、耐熱と排熱を考えて設計されている。


 その専用の防具を身に纏い、『爛れを促すもの』を担ぐヴェールの惨殺ショーが、これから始まるのだ。


 そして、闘神が衛兵長に無邪気なウィンクを一つ飛ばし、フェイスを閉じる。


 それからゆっくり歩を進める。


 そして物見通路のへりに立つと、ふわっとスキップでもするかのように飛び降りる。


 軽く十メートルはある壁を飛び降りた。


 衛兵たちは、乗り出すように皆一斉に下を見た。


 其処には何事も無かったかのように、歩いているヴェールがいた。


 さぁて!ちゃっちゃと終わらせてレンを弄りに行きますか!!


 ふと徐ろに立ち止まり、前傾姿勢になる。


 ドォン!


 軽い衝撃が街壁と衛兵の顔を叩く。


 そして数百メートル先で火柱十ニ本が立ち上がった。


 ◆◇◆◇◆◇◆


「あのー」


 ふぅ…早く終わらせてレンのところ《あっち》に行きたい。


 以前、レーテの街防衛戦で吹き飛ばした過去が胸を突くが、そんなことは関係ない。


「あ、あのー」


 ただ、一瞬でもレンを見逃したくないのだ。


 実を言うとこんな街どうでもいい。


「あのですねー」


 レンと一緒に森でずっと暮らせればそれでいい。


 レンが全て!でもそのレンがこの街を守るって言ってる。


 なら…


「あの!「何よ!!!」


「ひっ!」


「分かってるわ、あいつらでしょ?」


「はい!」


 そう、数キロ先に迫り来る魔物の大群。


 しかし、ミラにとっては大群というものは一人と変わらない。


 ミラは一体一体をちまちまと狙撃するより、遠距離から一気に焼き払うことを得意とする。


 精霊砲のミラ。


 その二つ名が伊達ではない理由がそれだ。


 能力制限中で、全力を出せない状況下であってもあの位の五〜六千位の烏合の衆ではやる気も出ない。


 と、思ったら増えた。


 あれ?なぜだろう?


 まぁいい。


 数千程度増えたところで烏合の衆は変わらない。


「ちょっと、あそこ借りるわよ?」


 そう言って物見通路の休憩所の上に飛び乗る。


 ふぅ。


 一つため息をついて腰のポシェットから一枚のカードを取り出す。


 碧色のシーレッドカードだ。


 このシーレッドカードに封印されている武器の名は『星を削るもの』。


 この弓は古龍種『旋風龍』を、激闘の果てに倒し、ミョルニルの槌のエルダードワーフの手で生まれ変わらせた逸品だ。


 これも『爛れを促すもの』に並ぶ、二つ星(ダブル)級の武器だ。


 此方は頭部と、胸、籠手、脛に専用防具が付随される。


 これらの防具は、放った後の衝撃波をほぼゼロにして拡散させる効果を持つ。


「リリース、『星を削るもの』」


 唐突だがミラは美しい。


 エルフの中でも選りすぐりだ。


 その美しく洗練されたスレンダーな身体に、碧色の見たことのない先進的な意匠の防具がフィットする。


 顔の、特に目を覆う防具。


 眼鏡と違い、薄透明の太い線が顳顬から反対の顳顬までを覆い、それを囲うような碧い金属。


 頭部は髪を邪魔者扱いしないよう露出が多く綺麗な銀髪が風に揺蕩っている。


 そして、エルフの特徴であるピンとした耳。


 ちょっとだけ高めの鼻。


 桜色の小さめな唇。


 ちょっとでも触れると、壊れてしまいそうな硝子のような細い顎。


 これも、触れれば折れてしまいそうな首。


 恐らく制度を上げるための、先進的な造形の弓を構える左腕も、魔力を縒って創った矢を受け持つ右腕も共に細く。


 何処に番えるだけの力が宿っているのか知りたいくらいだ。


 そして矢を番える所作も、何万回と繰り返してきたのだろう。


 夕凪に淑やかな風が流れるように、静かでいつのまにか引き絞り終わっている。


 更に衛兵達の二の腕と同程度の腰。


 その倍はあるお尻。


 そこから体を支える少し細めの太腿。


 スラリと伸びる脛。


 ちょっとだけ強調された脹脛。


 その二つを統合するような踝。


 そして大地との接点を告げる足。


 身体の各所全てが、美の集約のような完成された姿。


 それに、衛兵たちはうっとりとしてしまった。


 そして矢が放たれた後、矢が捻れ解され増幅されることで多大な衝撃波を生んだ。


 うっとりと眺めていたものたちは、床に叩きつけられる事で皆我に帰る。


 そして、魔物がいたであろう場所を確認すると…


 ごっそりと削られていた。


 ◆◇◆◇◆◇◆


「さぁって、ちゃっちゃっとやっちゃおうかしら♪」


 衛兵達はチラチラとセリアを見ている。


 ブロンドの髪に白い肌、豊満な身体から溢れる、魅惑の色香にやられているのだ。


 正にエロスの天使だ。


 しかし、勇者の直系でもある。


 下手な目で見ていると、何と言われるか分からない。


「あははは、別に見てもいいのよぉ?でも、お触りはダ〜メ!見、る、だ、け。


 だってレンちゃんにゾッコンだもの〜」


 レンとか言うクソ野郎が、この東門衛兵全ての敵になった瞬間である。


「さぁ…早く片付けないとミラ姉様にレンちゃんを取られちゃうわぁ」


 ミラって精霊砲のミラだよな?


 あの美の神が降臨して歩いていると言う噂の?


 確か西門に行ってるらしいぞ?


 と言うことは、レンとか言うクソ野郎はリア充かっ!!!


 リア充と言う言葉がこの世界、時代にあったかは分からないが紛れもなくレンは苦労せず敵を作った。


 そう、裏で話し合われる衛兵達の言葉には、レンに対する憎悪と憤怒が宿っていた。


 そして翌日には西門の衛兵も全て、敵に回る事になるのが衛兵ネットワークの凄いところだ。


 そんな事が裏方で起こっていると、セリアが徐ろに短めのスカートをちょっとだけ捲り、太腿のポーチから一枚のカードを取り出す。


 その挙動に衛兵全ての視線が動く。


 山吹色のシーレッドカードだ。


 このシーレッドカードに封印されている武器の名は『打ち据えるもの』。


 この神剣と神盾は古龍種『雷塵龍』を、死闘の果てに倒し、ミョルニルの槌のエルダードワーフの手で生まれ変わらせた逸品だ。


 これも『爛れを促すもの』『星を削るもの』に並ぶ、二つ星(ダブル)級の武器。


「さぁ行くわよ!リリース!『打ち据えるもの』!」


 そして前二作に漏れず、この装備も防具とセットでカードのカラーを基調としている。


 この武具は、古の戦乙女の装備を模して作られていて、女性の性的な部分をより保護し、けれど強調させる作りとなっている。


 単純にいうと、普段の格好よりもエッチになってしまっている。


 エッチだなぁ。


 あぁエッチだな。


 いや〜エッチだろ。


 かなりエッチだぁ…。


 あぁ〜エッチの神様…。


 やばっ立っ…


『『『『『オィィィ!!!』』』』』


 という、衛兵達の裏の会話が成されている事をセリアは勇者の超感覚で感知していた。


 そしてニヤニヤしながら、これでレンちゃんを悩殺するのも良いなぁ…


 と思いつつ、見えない様に涎を掬い上げ、華麗に飛立つ。


 そのあまりの自然な動きに、衛兵達は仰天した。


 空を飛ぶ事自体魔術を使わなければならず、魔術が使われた形跡がないからだ。


 セリアに神秘的なものとエロスを感じながら、次の瞬間、空全体が唸りを上げたことにまた仰天する。


 唸りと共に発生した光は、神剣に充填され、神盾で増幅される。


 増幅完了に要した時間は二秒。


 ちょっとしただ。


 そして振り下ろされる『打ち据えるもの』。


 地平を埋める真っ黒な影が、『打ち据えるもの』が発生させた純度の高い神鳴りに駆逐される。


 そして街壁に戻った時には、エロスの女神がエロスの天使に戻ってしまった事で皆は落胆した。


 しかし…


 セリアが去り際に


「誰か今度お茶に誘ってね?」


 っと言い放つと


「「「「「「はいぃぃぃ!!」」」」」」


 と言う神速的な応答が東門外壁に響き渡った。


 また、この一言で東門衛兵は天使でいいやっ!と思ってしまった。

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