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オレをスキ過ぎる姉達がマジで怖いんですが!!?  作者: 低脳イルカ
緊急クエスト編
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四章 15 ムンティスと防衛戦 ③

「開門!!」


 衛兵の高らかな声と同時に、閂が外され門が開いていく。


 外に出ると、ルイ達三人、ボルドさん、ゴドフリーさん率いるパーティー、その下について昨日動いてもらっていた狩人ハンター達が集合していた。


 ドド


 まだ、少し時間があるので班分けと指示を出すことにした。


「ボルドさん、ゴドフリーさんは、昨日と同じ編成で他の狩人ハンター達と組んでください」


「「オゥ!!」」


「そして試作段階ではあるそうなんですが、今使っている武器より数段上のブロサイクロプス製の武器です。


 あまり時間はありませんが、素振りをして馴染んでください」


「なっ…今朝依頼したばかりだぞ!?」


「今回は突貫でボルドさんとゴドフリーさんの分だけです。


 これが終わったら返しに行ってくださいね?


 さて、それと全員分の『丸薬』です。


 回復力・即効性、コンパクトさが売りです」


 ポーションよりも割安ですが、効果はポーションと同等か少し上です。


 そして取り回しがしやすいです」


 ドドド


「そんなもの…いつから…売ってたんだ?」


 ゴドフリーさんが驚愕している。


「まだ、販売していません」


「な…こりゃあ試作品か?」


 流石にいきなり試作品を試す勇気がない…。


 豪快なボルドさんでもそう思ってしまう。


「いえ、コレは私がちょっと前に開発して運用していたんです。


 そのレシピを、昨日薬師ギルドに渡して特急で作って貰ってたんです。


 だから、一人頭一セットしかありません。


 それでも…出し惜しみせずに使って下さい。


 今度の戦いは、皆さんの支援に回れるかどうか分かりません。


 どうか、生き抜いて下さい」


「「「「「オゥッ!!!」」」」」


 どうやら、俺の気遣いを察してくれたようだ。


 実際狩人ハンターは自己責任だ。


 普通、ここまで面倒を見る筋合いはない。


 ドドドドッ


「私とこの子達で先手を取ります。


 それで漏れた魔物を確実に一体ずつ、仕留めて下さい」


 言いながらルーブとスーマを撫でる。


 ここ最近『お遊び』が出来るためか、気分は上々だ。


「そして…コレも私が考案したモノですが、このカードにほんの少しでもいいので魔力を通します。


 そして、地面に叩きつける様に置いて『退け』と叫んでください。


 半径五メートルくらいの魔物を寄せ付けない陣が発生します。


 ただ、こちら側からの攻撃も通りませんし、使い切りで最低五分は持ちます。


 コレも差し上げます。上手く使って下さい」


「戦士系の俺でも使えんのか?」


 ボルドさんは心配そうだ。


「使えますが、出来れば近接系以外の方が持っていた方が良いかなと思います。


 前衛が魔物と相対しながらソレを使うのはかなり難しそうですし…」


「あぁ…そりゃぁそうだな」


 ボルドさんもゴドフリーさんも納得して、自分のパーティーの後裔に手渡している。


 ドドドドドッ!


 おっと、後はルイ達だ。


「ルイ、ゾッド、モーラ。お前達にもコレを渡しておく」


 そう言って丸薬の包みと結界符を渡す。


「師匠…」


「なんだ?ルイ」


「怖く…ないんですか?」


「こういう風なのに立ち向かうのはコレで三度目だからなぁ…」


「三度目…?」


「そうだ、ゾッド。


 レーテの村一戦。


 昨日南門で一戦。


 そしてコレで三度目だ。


 前の二戦に関しては従魔を除けば俺一人だったから、今回は気が楽だ。


 だって、後ろにみんなが控えてるからな」


 あっけらかんと笑う。


 ゾッドの顔は引きつっている。


「私達はどう動けばいいですか?」


「基本的に三人一組で、何時ものフォーメーションを崩さずに戦えばいい。


 数に惑わされず、けれど意識を広げる感じでね。


 一番怖いのは包囲される事。


 だけどそうなった場合でも、囲まれる前に一番弱いところから、バーニングチャージとかで突き崩して包囲を脱出するか、炎や風、雷で薙ぎ払うとか皆んなには手段が沢山あるからなぁ…


 なるべく乱戦をさせないように、前線で適度に間引いてくるから」


「でも…それって…」


 ドドドドドドドドッ!!!!


「さて、そろそろお時間だ」


 俺は去り際に、ルイに二つ指示を出した。


 百五十メートル位の先にに魔物の群れが見えた。


「死ぬな!!」


「「「ハイッ!!!」」」


『スーマ!真横から一直線に敵の鼻っ柱を薙ぎ払いつつ、地面スレスレに飛んで大地を抉れ!!』


『うんー!』


『ソレを二、三回やれば敵の進軍は緩くなる筈だ!!』


『わかったー!』


 スーマは大きく旋回して、音速による衝撃波攻撃の準備に入った。


 ルーブに跨り目を瞑る。


 ドックゥ…


 心臓の音が聴こえる。


 大きく深呼吸をする。


 ドックゥ…


 ドックゥ…


『一心同体』


 俺のハクとルーブとスーマのハクが共鳴する…


 ドックゥ…


 ドックゥ…


 ドックゥ…


『魂魄憑依』


 俺のコンと、俺の中に住まう古の侍のコンの繋がりが強固になる。


『ふ…待ち侘びたわ…』


 武器もグレイブに持ち替えた。左翼では既に長距離魔法射撃の充填をしている。


「いいっっけぇぇぇええ!!!!!!」


 ルーブが駆け出す!


 次の瞬間、城門から百メートル付近で一条の光が戦線を真横に分断する。


『疾風迅雷!!』


 ルーブと侍に特上の『速さ』を上乗せ。


『ルーブ!、頭を低くしながら走れ!』


『ん…!!』


「飛燕!連ッ刃!!」


 今朝会得したばかりのこの技は、少しずつだが魄を削る。


 乱発は避けたいが、出し惜しみできる数じゃない。


 みんな…死ぬなよ!


 ◆◇◆◇◆◇◆


「なっ!!」


 大群の右方向から、光る何かが駆け抜けた瞬間爆風が起こり、大群の足が止まった。


 いや止まってはいないが、どうやらあの光の閃光はかなり地面を抉っているらしい。


 加えて金色の刃が飛んでいき、先鋒の広範囲に当たって爆散した。


 こっちも負けてらんないわ!


「爆炎魔術!撃てーーーッ!!」


 小さい緋色の塊が十個程飛んでいき、此方も先方に着弾すると真っ赤な大きい炎を咲かせた。


 すかさず、


「突風魔術!撃てーーーッ!!」


 前の部隊が炎を維持したまま、次の部隊が突風の魔法を一定の方向に向けて発生させる。


 風が逆巻いていく、どんどん空気を、酸素を吸い上げていく。


 これにより、超高熱の火柱数本が立ち上がる。


 その炎の竜巻は、辺りの酸素を吸い尽くし、更なる被害を求めてゆっくりと動き回る。


 単に火属炎単一魔術と、木属風単一魔術というシンプルな組み合わせで魔力の温存ができる。


 しかしその割に、被害を甚大化させる事の出来るお手軽な戦術級合成魔術だ。


 結果左翼の先鋒は、熱傷と酸素欠乏症の両面から進軍不可能、被害は甚大、そして屍と呻き声の障害物と化した。


 ◆◇◆◇◆◇◆


「すご…」


 あれが戦術級魔術か…怖いなぁ…


 さて、


「飛燕!連ッ刃!!」


 この戦闘で三回目の飛燕。


 連続で放ってるから六回目。


 魄を少しづつ削ってるはずなんだけど、一向に疲労感が襲って来ない…。


『ふん。そんなものは儂が肩代わっておる。


 しかも、この程度…後一万は軽くいけるわい』


 やばい…撃ち放題発言頂きました。


 只でさえ『魂魄憑依』の深度が深まり、『疾風迅雷で』かなりの速度とそこそこの威力が増加している。


 コレで撃ち放題となると…


 やるしかないですよね?


 数体の魔獣が脇を通り過ぎた。


 しかし放って置く。


 コレで後陣の低ランク狩人ハンターが、経験を積めるから。


『ルーブ』


『ん?』


『俺が飛び降りたら好きに動いていいよ?』


『ほ…んと?』


『あぁ…ただ、左翼に行くと、巻き込まれちゃうから気を付けてな?』


『ん』


『じゃぁ…遠慮なく……行かせてらいますか!!』


『その息や良し!!!』


「『オオォォォォッ!!!』」


 俺と侍はルーブから飛び降りた。


 それから、着地するまでに飛燕八発を魔物の群れに浴びせた。


 ◆◇◆◇◆◇◆


「ボルドさん!ゴドフリーさん!


 先に僕らが当たります!!」


 ゴブリンライダーが八体だ。


「「「スピリットエンチャント!!」」」


 三人同時に、各々が考える武具に精霊を付与させる。


「「「「「「えっ!!?」」」」」」


 そこに居る全ての狩人ハンターが驚いた。


 精霊の使役だけでもとんでもないのに、ルイは盾、ゾッドはブレード、モーラなんか棍と防具に纏わせている。


 数ヶ月前までは、まだまだヒヨッコだった筈なのに、何だこの成長ぶりは…いや、もう進化じゃないか?


 そうボルドもゴドフリーも考えた。


 やはり原因は『アイツ』何だろうな、とも思った。


 すかさずゾッドが前に出た。


 ◆◇◆◇◆◇◆


「ハァッ!」


 俺はが二筋の風の刃を放つ。


 今迄、風の刃は数メートル先迄しか届かなかった。


 どうしても距離が出せず苛立っていた。


 それで、無理を言ってヴェールさんに稽古をつけてもらった。


 けれど腕前は相当上がっている筈なのに、飛距離はちょっぴりしか伸びなかった。


 ミラさんに相談した。


 ヒントを貰えた。


 レン、ルイ、モーラを見ていれば分かると。


 それから毎日、師匠やルイ、モーラを観察した。


 なんと驚いた事に精霊様とよく雑談をしている。


 それも俺たちと同じようにだ…。


 契約したからといって、精霊様と対話をしていなかった訳ではない。


 逆により信仰対象として敬っていた。


 しかし…違った。それぞれ付き合い方があるのだ。


 師匠、ルイ、モーラはそれぞれ相棒パートナーとして、精霊様を見て、聞いて、感じている。


 一気に窓が広がった感じがした。


 精霊様は、獣人種からすれば信仰対象だ。


 ルイやモーラの方がおかしいのかもしれない。


 けれど…おかしかったのは一つの枠に当て嵌めていた俺の方だった!


 ◆◇◆◇◆◇◆


 風の刃が走る。走る。走る。


 まだ結構な距離があったというのに、ゴブリンライダー二体を纏めて両断した。


 更に、後方を走っていたゴブリンライダーにも手傷を負わせた。


 今迄のゾッドの風刃ならあんなに飛距離は出せなかった。


 けれど答えはもう知っている。


 モーラはここ数日で、ゾッドと風の精霊の間で深まりを感じていた。


 恐らくそれが原因なのだ。


 そして今迄、見守るだけで寂しそうにしていた風の精霊の歓びが、手に取るように伝わってきて心地良かった。


 それに共鳴して水人と雷の雌鹿との深度も深まった。


「ゾッド!合わせて!!」


 急に指示された。


 何をどう合わせればいいのかなんて分からない。


 そんな顔をゾッドはしている。


 でも大丈夫よね?風の雄鹿さん?


 導いてくれるよね?


 私の左手に雷の雌鹿、右手に水人。


 そして前にいるゾッドの頭上に、風の雄鹿が顕現しているのが分かる。


「いっけぇぇぇぇぇ!!」


「『『「『嵐!!!』」』』」


 私、雷の雌鹿、水人、ゾッド、風の雄鹿が同時に叫ぶ。


 相当な力場を全員が感じた。


 現実にまだその力場は残っている。


 けれど何も起こらない。


 微動だにしない私達を皆が注目している。


 ルイは一人駆け出し、盾から剣に精霊を移して炎の斬撃を飛ばしている。


 近寄らせないためだろう。


 今度は精霊を盾に移して、防御と同時に吹き飛ばす。


 更にその爆炎に、別の二体のゴブリンライダーが巻き添えを食う。


 ルイの十八番のバーニングチャージだ。


 たった一人でゴブリンライダーを殲滅する気なんだろうか?


 まったく…本当に頼りなるリーダーだ(師匠の次くらい)。


 漸く影響が現れ始める。


 焦らせてくれるわ…


 魔物の群勢の中央上空に、暗雲が集結していく。


 頼むわよ…雄鹿さん。


 中心に向かって風が集まっていく。


 円を描くように、早く早くと急かすように加速していく。


 流石…雌鹿さん、水人さん私達も負けてられないわ!


 聖水が雨となり、魔物を浄化しながら濡らしていく。


 そこへ稲光が走り、飛行系の魔物は吸われながらに焼かれている。


 そしてゆっくりと、どす黒い竜巻が立ち上がる。


 その竜巻の外には暴風と風の刃が溢れかえる。


 大地を切り刻み、辺りのモノを引き剥がす。


 中には雷の轟音が降り注ぎ、手当たり次第に跳ね回る。


 そして吸い込んだモノを、舞い上げながら容赦なく打ち据える。


 結果、五分後には晴天が空を満たし、大きな虹がかかった。

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