四章 13 ムンティスと防衛戦
いつも読んで頂き誠に有難う御座います。
気分屋なものでかなりアップロードに
ムラがあって申し訳ありません。
感想頂けたり、ブクマされたり、
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是非一言で良いので感想をお寄せ下さい。
「づぅぅあああああああ!!!!!」
ドォォォォン!!
五十%程の破壊力の爪破が決まる。
魔穴の前に立ちはだかっていたモンスター共々粉砕した。
コレで最後だ。
「ルーブ!スーマ!!」
『『う…ん』『ほーい』』
「全速で帰る!近くのファストトラベル迄走れ!!」
言いつつルーブに跨る。
ルーブはルーとブラド、スーとマハはスーマと呼ぶ事にした。
理由は、思考が混濁するからという、精霊お二人からの熱いお願いがあったからだ。
まぁブラドとマハから、ルーとスーが好かれていて相性が良くないといけない訳だけど…
そして、思考が統一されるという事は、精霊憑依の深度が深くなるという事で、全体的な能力の底上げができるようになる。
ヴッヴッヴッ!
ハンターズリングが反応する。
進行はルーブに任せているので、気にせず確認する。
はぁ。
こういう時の直感は何故ハズレてくれないのか…。
全く厳しい。
一旦ハンターズギルドに戻ろう。
俺が仕掛けたファストトラベルの方円が敷いてある森が見えてきた。
レーテの街のすぐ側だ。
このファストトラベルの方円は、一箇所しか飛べないように設定しているだけで、法則と俺の中の三人目が協力すれば別の陣へ飛べる。
「魂魄憑依」
ゾ…ゾ……ゾ………
いつもと違う脈動。
今までの俺なら、この重圧と悪寒に長期間に渡って晒される状況は耐えきれなかったかもしれない。
けれど今は…
『ほぉ〜…俺を乗りこなせるようになったか?坊主?』
『力を貸してくれ』
『俺にゃあ、どうでもいい』
『頼む』
『あん時は色々楽しませてもらった…。
んが…今回は戦うだけだろう?つまんねぇよ。』
俺の中の三人目の人格。
道術とやらに長けていて、この世界の術とも相性が良いい。
第八の性質、無属。
それを生み出し、他に埋め込む付与術も同時に編み出した法師。
そして、俺に魂術と魄術を与えた法師だ。
ただこの性格が問題だ。
けど、今回は餌がある。
『魔族がいるかもしれない』
『…あぁ?』
魔族とは、種族の性質上魔術に長けているもの達だ。
『お前の好きな術比べが出来るかもしれない』
『…よし、行こうか』
『早…』
『行くぞ、彼処に飛ぶんだろぅ?』
『うん』
この人格はどうも『術の探求・術比べ』を大変好む。
それを誘導するのが難しい。
陣に手を置き、鍵言を唱える。
「『瞬転』」
目の前が暗転する。
そしてすぐに戻ってくる。
いつもの見慣れた風景。
そう俺の部屋だ。
『有難う。魔族が見つかったら呼ぶよ』
『あぁ、ちゃんと探せよ?
もしわかりそうになかったら言え、
俺が式を飛ばすからな』
抑揚から心が弾んでいることが分かる。
こう言う人なのだ。
『うん。わかってる』
そう言って魂魄憑依を一旦解いた。
どうも魂魄憑依には、憑依する側がその憑依対象の宿主をどう思っているかによって、憑依される側の憑依されている時に受ける負荷が大きく変わる。
良く呼び出している老練な剣士も、最初はとんでも無いほどの負荷を受けたが、今では全くと言っていいいほど負荷を感じず、逆に魂魄憑依以外でも助けてくれたりする。
要するにコミュニケーションなんだと思う。
二番目の人格の時なんかは、結構あっさりで、然も最初から助けてくれた。
薬に長けた医師らしいので、人助けを旨とする人なんだろう。
「「「「「「ヴォォォォッッ!!!」」」」」」
かなり遠くから魔物どもの唸り声が響いてくる。
しかも三方向方からだ。
そう。今このムンティスは、魔物の群れに三方から包囲されつつある。
〜・〜・〜・〜・〜
予兆はあった。
ちょっと前にレーテの街が襲われた。
そこには騎士団が【いた】。
昨日このムンティス南門に、魔物の群れが押し寄せた。
今回も騎士団が見廻りと称して【いる】。
そんなに都合よく騎士団がいるものだろうか?
しかし、あの団長さんや壮年の副団長さんが手挽いているようには感じない。
けれど今日、黒幕が堂々とハンターズギルドに入ってきた。
騎士団が複数名。
そう、騎士団員に紛れている二人の魔族をルーが発見した。
『レ…ン』
『ルー?』
『あの人と…あの人…魔族だ…よ?』
『どうしてわかった?』
『ルーちゃんね〜闇の精霊さんだから〜魔道具で魔族の気配を絶ってても分かるんだよ〜?』
『ん!?魔道具?』
『腰…アミュレット…』
『あいつら確か…レーテの村の時もいたな!』
何処まで策略なのか分からない…
今動けばなんの対策もないまま、街を危険に晒す…』
〜・〜・〜・〜・〜
そこで直ぐに手紙を認め、街門を出てから各方面へスーマに飛んでもらった。
勿論うまくいくかも分からないし、特に相手が街中にいるから、もしもの時の対応はギルドマスター次第だ。
俺は朝から通るいつもの道を、走りながらなぞっている。
街中は混乱していて、特に王都へ逃げようと北門へ逃げている人達がいた。
ハンターズギルドに入ると、カウンターでラムさんとシンシアさんが対応に追われている。
俺に気付いたラムさんが、立ち上がって大きな声で叫んだ。
「三階の練武場へ行って!」
「はい!」
俺は段飛ばしで駆け上がる。
二階辺りで上から大声が響いてくる。凛とした女性の声だ。
「どういう事ですか!
何故北門を解放しないんです!?
黙ってないで答えてください!!
なんでこんな時に『闘神』や『精霊砲』がいないんですか!?」
「はい。もう少しお待ち頂けますか?」
「一体いつまで待てというのですか!
魔物の群れはすぐそこまで来ているんですよ?」
そこで漸く三階へ辿り着いた。
「おっ?来たねぇ。レン君。じゃぁ頼むよ」
「はい。ギルマス」
席を立とうとするギルマスに、
「ギルマス。
お力をお借りしたいので少し待って頂けますか?」
「うん?あぁ、良いよ♪」
ちょっと嬉しそうだ。
また、椅子にかけ直してくれた。
「いま、このムンティスの街に魔物の群れが三方から迫っています」
「そんな事はっ!」
焦りの色の深い団長さんの声を、手を上げて抑止して続ける。
「昨日も魔物の群れが押し寄せたんですが…余りに早い」
「しかし、こうして来てるじゃないか!」
「時間がないんだぞ!こんな議論を!」
他の騎士団員から避難の声が上がる。その声を無視して続ける。
「このムンティスは狙われている。
そしてその状況下で、北方だけ逃げ道がある理由は何でしょうか?」
「知るか!そもそも北方には王都があり我ら騎士団が備えている!だから北方に用意出来るはずがない!!」
「それに我々が入って来たときは、特にそんな兆候はなかった!」
副団長であるマクレイルさんは、俺が何を言いたいのか察してくれているようだが、まだ信じきれない顔をしている。
「レン君…君は何が言いたい?」
団長であるフィアナさんは、まだ答えに到達してはいないが違和感は感じているようだ。
「はい。原因は騎士団にあると言っています」
騎士団に衝撃が走る。そして団員に一斉に反発が吹き上がる。
「ふざけるな!誇り高きムルガルド王国騎士団に何たる暴言!!」
「そうだ!そんな事があるはずがない!!」
口々に溶岩が吹き出す。
「静かに!!」
マクレイルさんが一喝する。
「戯言でも聞き捨ては出来ません。理由はあるのですか?」
ファティナさんが堪えながら声を絞り出す。
「一ヶ月間、レーテの村が襲われた時、このムンティスへお越しになられていたのは偶然ですか?」
「いえ、団員の…そこにいるグルドからの具申です」
「では、今回此方へ足を向けたのは?」
「グルドの隣にいるルウの具申です」
「お二人は何か関係が?」
「兄弟です」
「では、ギルマス。彼らの腰のアミュレットを切ってください」
「分かった」
一瞬だった。紫電の二つ名は伊達じゃない。
兄の方のアミュレットは反応され、破壊出来なかったが弟の方は四つに割れていた。
「へぇ…私の剣を止めるとはね…君、何者だい?」
ルウと呼ばれた団員の皮膚の色と耳の形がみるみる内に変わっていく。
「あっ…」
「ちっ!深淵の闇!」
闇が辺りを急速に染める。
直ぐにガラスの割れる音が響き、視界が晴れた。




