四章 11 ハンターズギルドと緊急クエスト⑩
『ワタシをスキすぎる弟達が本当に怖いんですが!!?』も始めました。
どうぞ読んでみてください。
朝だ…。
まだ時だというのに眠り切った感じがする。
まぁ寝たのが九時前だったから結構寝てはいるんだが…。
さて、今日は七時ごろにボルドさんとゴトフリーさんがやって来る。…はず。
まだ早いかもしれないけど親父さんに一言…
あっ!昨日の素材!忘れてた…。
あはは、疲れと睡眠不足は熟睡のお母さんだな。
俺に母親がいるのかどうか正直かなり怪しいが…。
さて、サイクロプスはルイ達用に回して、ブロサイクロプスは…そうだな、グレイブ一本作ってもらったらボルドさんとゴトフリーさんのパーティー用に進呈するか…。
取り敢えず大まかな流れが決まったところで朝の日課を始める。
そして練気剣を飛ばす技を軽く練習し、名前をつけていない事を思い立つ。
姉さん達に言わせれば、つけていない事があり得ないらしい。
理由は発動確率と威力の増強だ。
名前を大声で言わなくても例えば呟いたり、心で念じる事でよりイメージが確立するそうだ。
俺の周りには法術師しかいないが、やはり全然違うのだろうか?
そこで俺の技のイメージを具現化した。そうだブラドとマハだな。
何故なら今も小型犬クラス、小さな隼クラスの大きさで遠目から俺を見守っている。
『ふっ…名付けで悩んでおるか…』
心に響く野太い声。
この頃ご無沙汰だが、方向指示で窮地を何度か救ってもらっている。
目を閉じ対話する。
あぁ…そうなんだ。
『あの飛ぶやつかの?
ならば簡単じゃ、飛燕と名付けよ』
ヒエン?
『そうじゃ。
飛ぶ燕と書いてわが故郷にてそう呼ぶ。
ここいらにも燕はおる。
言いやすかろうし思いを固めるもたやすかろう?』
ふんふん確かに…あの速さと旋回速度はマハによく似ている…。
『では決まりじゃ、他にはあるかの?』
うーん。まだ構想段階なんだけど…。
『んむ?歯切れが悪いの』
うん。地面を走る感じで斬撃…と言うより衝撃を走らせる様な…
『ほぅ…その様な技を考えておったか…』
うん。
『ふーむ…爪破でどうじゃ?』
どう言う意味?
『ソウは爪。ハは打ち破ると言う意味じゃ』
あー…良いかも…
『そこにおる狼が走り抜けながら爪で切り裂いて行く。
そう思うて放つが良かろう』
もう随分と話していた様な気がする。
目を開け、スッと立ち上がり的を見据える。
そしてまた目を瞑り、練気をグレイブの刃に渡らせる。
よく練れたところで、マハが飛んで行くところをイメージして修練場の的に放つ。
「飛燕!!」
フォッ!
ドォゥ!!
全開で放ってないとはいえ、予想以上の出来映えだ。
何よりスピードが尋常では無い。
次に、範囲を抑え地面を抉ぐりながら進むブラドをイメージする。
「爪破!!」
ガガッガガガッ!!
ドォン!!
ちょっとだけ腰を落とした所から発生する刃が、イメージ通りに当たった。
『良し。今のは良しじゃ』
有難う。
『気にするな、宿主よ…ほれ』
ん?
後ろにずらっと並んでいる。
「へぇ…なかなか様になってきたじゃ無いかぁ」
「朝から近所迷惑なことしてるから、目が覚めちゃったじゃ無い」
「レン君…もっとこう腰を…」
「し、師匠!凄かったです!!」
「師匠…精霊も読んで無いのに…!クソッ修行だ!!」
「やはりお師匠様は素敵ですぅ…」
「流石、三等星候補だな…。
こんな朝ぱらから修行に精を出すから、強いんだろうなぁ…。
参っちまうぜ」
「あぁ…恐らく練気剣の応用なんだろう。
だがあぁ言うのはセカンドからと聞いていたが…」
ヴェール姉さん、ミラ姉さん、とルイ達三人、ボルドさんとゴトフリーさん、そしてそのパーティーメンバーが並んでいる。
窓からは女将のカーラさんとリーンさんが見ている。
「あ、あれ?まだ早く無い?」
「そんな事ねえよ。もう良い時間だ」
と、ヴェール姉さん。続くミラ姉さん…
「そうよ、レンが集中しっ放しだから気付かなかっただけよ」
「だからこう背中を…」
事あるごとに俺の体を触ろうとしてくるセリア姉さんは、事あるごとにミラ姉さんに潰されている。
懲りないなぁ。
さてさて、
「ご飯は後で食べるんで先に親方のとこに行って来まーす」
と、カーラさんに声をかけると
「早く来てねー♪」
とリーンさんだ。
「はーい」
と答えたら何本か視線が刺さって痛かった。
そんな視線を無反応で躱して、鍛冶場に顔を出す。
「親方」
「おーレン。今日はどうすんだ?」
「はい。サイクロプスでルイ達の装備を、ブロサイクロプスでここにいるボルドさんとゴトフリーさんのパーティーの装備を見繕って欲しいんです。」
「「「「「「!!!!!????」」」」」」
熱かったはずの鍛冶場が一気に冷めた気がした。
辛うじて頰を伝う汗と、ゴウゴウと炭が燃える音が熱さを取り戻させてくれる。
「レン…お前…今…ブロサイクロプスとか言ったか?
「いつ倒した?」
「えっ?昨日…です。なあルイ」
「はい。師匠はサイクロプスを倒してヘトヘトだった僕たちの前で、より大きく強いサイクロプスをあっという間に倒しちゃいましたよ!?」
「あーありゃ、凄かった!俺の剣も通らなかったしなぁ」
「私の精霊術も全然だった」
「ガキども煩せぇぇ!!!」
ビクッと三人が止まった。
「おぅレン、中庭でそれを出せ、見聞する」
「あっはい。」
折角中庭から入って来たのに、また中庭に逆戻りだ。
あれから、ミラ姉さん、ヴェール姉さん、セリア姉さんが何か考えている。
ボルドさん、ゴトフリーさん、そしてそのパーティーメンバーも緊張している。
中庭でサイクロプスと、ブロサイクロプスを収納したカードを取り出し封緘を解く。
すると、新鮮な死体が二体現れた。
余りの巨体に一同絶句する。
大きさもあったが、この明らかに格上のモンスターを、年端もいかない若者達が倒したのだ。
しかもレンに至ってはソロで、だ。
親方だけでなく、三姉妹も見たり触ったりしている。
特にブロサイクロプスの断面については特に念入りに調べている。
先ずは親方から一言。
「どっちも間違いねぇ。
が、ブロサイクロプスなんてもんは、そうそうお目に掛かれるもんじぇねえ。
お前が使っても良いと思うが?」
「それなら素材でグレイブと改造盾を作ってください。それで良いですし、俺一人強くなったところでこの街は守れません」
「ふー…殊勝なことだ。
もっとガツガツ行っても良いと思うんだけどなぁ?」
ジロッと睨まれ、俺はニコッと笑って返し、続いて姉さん達を見た。
「ふー堪えねぇ野郎だ…おら!お前ら名前は?
あと、ルイ!ゾッド!モーラ聞き取りするぞ!!
中に入れ!!」
と、一団を連れて中に入っていった。
そして、姉さん達だ。
「レン。ありゃ…昨日お前がやったって言ってたな?」
「うん」
「正気か?ありゃ二等星相当のもんだぞ?
アタシだってアイツの再生能力には手を焼かされる。
他に傷跡も見られないところを見ると、他のダメージは通らなかったか、治したんだろうよ。
つまり正中線の一撃で勝負を決めてるっつうことだ違うか?」
「さすが姉さん。その通りだよ。」
ミラ姉さんとセリア姉さんが口を開く。
「レン。貴方アンバランスなのよ。」
「そうだね〜レンちゃんは攻撃に特化し過ぎてる。
このままじゃ危険だわ」
「確かに練気剣、烈光剣、精霊剣と一撃に特化し過ぎてる。
それに耐えうるだけの武器もある。
更に今日、練気剣の第二段階に到達した。
だからこそ、防御が疎かなんだよなぁ」
「ふぅ〜早目に彼処に行かなきゃ取り返しのつかんことになるかもな…」
「そうね」
「レンちゃん頑張ってね〜」
「お前もいくんだよ!」
「やっぱり〜?」
「アタシだけじゃ、変な癖がついちまうからな。
徹底的に鍛え直さなきゃ駄目だろう」
「まぁ?レンちゃんの為なら?」
「レン。取り敢えずこのギルドクエストを耐え抜きなさい?いい?」
「はい」
今日も一日が開ける。




