四章 ❼ ハンターズギルドと緊急クエスト⑤
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少し疲れたのかブラドの走るペースが落ちている。午前中でこれはキツイ。移動しながら基地になっているハンターズギルドに連絡を入れると他は順調と返事が返ってきた。
レーテの街近くの森に入り、薬草の群生地に腰を落ち着ける。丁度いいので昼食を兼ねて休憩する事にした。
少し待つとマハも戻ってきたのでブラドと一緒に先日狩っていた魔獣の肉を食べさせる。俺はハンターズギルドの軽食コーナーのおばちゃんに作ってもらったサンドイッチを食べる。
マハとブラドを撫でながらふと気付いた様に赤の包みを取り出す。
「ん〜効くのかな?」
赤の包みを開き中の丸薬を二つに割り、食事中のブラドとマハに食べさせてみる。
疲れの見えたブラドはかなり体調を戻し、活力が漲っている。あまり疲れの見えなかったマハは尚更だ。
「結構効くなぁーコレ。」
感心した。他の丸薬にもかなり信頼出来る。と、考えながらおもむろに立ち上がり薬草採取を始める。ん〜体に刷り込まれたルーチンワークとは恐ろしい。
かなりの薬草を集め終わると急に睡魔に襲われた。考えてみれば今朝帰ってきたので睡眠が足りて無い。多分そういう事だ。さっと薬草をカードに収納した。
もう睡魔に耐えれそうになかったので、一眠りする前にハンターズリングの振動を最大にして座っているブラドに寄りかかって目を閉じる。
気絶する様に眠りに落ちてしまった…。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
ん…夢…か……。
「こんにちは。」
「こ…こんにちは…。」
あぁ…この子達は…精霊の森で契約した精霊姉妹だ。
「こんにちは。どうしたの?」
「ん〜。私達ね?もっとお外に出たいの。」
「う…ん。」
「へ?もう精霊の森から出てるよね?」
「違うの。私達はまだ本契約を結んでないの。」
「はっ?」
観るともう一人の子も強く頷いている。
「ちゅう。」
「はっ?」
「ちゅ・う!!」
「ちゅ…ちゅうしないと…私達レンからお外に出れないの…。」
んな阿呆な…。
「もっとお外に出たいの!」
「わ、私も…!」
「え、えぇ…。」
いくら夢でも躊躇するだろ?
俺がいきなりの事に驚いてると…
「時間無いのに…もういい!」
スーが勢いよく抱きついて来た。首に手を回し情熱的なキスをする。何回も何回も舌を舌に絡みつかせる。
ん〜ん…んんんんん!!!?
やばいヤバイです!目の前が点滅中です!
トコトコと足元にルーが寄って来る。スーの服の裾を掴んでクイクイっと引っ張る。スーがチラリとルーを見て抱擁を解く。
今度はルーだ。足元に何かしたと思ったら思いっきり滑った。
「なっ!?あっいっててて…」
思いっきり頭を打った。コレ夢じゃないの?
俺が仰向けになった所をルーは馬乗りになる。そのまま顔を近づけてゆっくり、ねっとりとキスされる。
たっぷりと味わったのか、恍惚の表情を浮かべジッと俺の瞳の奥を見つめて俺の顔から離れていく。
物欲しそうにスーが見つめている。いや、もういいだろ。夢の中でも恥ずかしいから。
「コレでもっと…もっと頑張れる。」
馬乗りのままルーが呟く。
「そうね!いっぱい頑張れるよ!!」
ルーもスーも満足げだ。もしかしてこの夢はルーとスーが…
ヴッヴッヴッ
何も無い左腕から確かに振動が伝わってくる…。
ヴッヴッヴッ
これはっ!?
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
ンハッ!
飛び起きると左腕が震えている。ハンターズリングだ。
見るとポイントと状況が流れている。ルイ達だ。直ぐにマップを開き確認する。
「ブラド!マハ!」
マハは直ぐに飛び立ち、ブラドも飛び出せるよう態勢を切り替える。
『レン!私達もやれるよ!』
スーだ。
『行くよ…。』
ルーまで。
「行きながら話そう!ブラド!」
飛び乗って走り出す。どうもかなりの高レベル帯が数体いるらしい。
オーガか?いや、それなら今のルイ達なら大丈夫だろう。それだけじゃ無い別の要因があるはずだ。
四、五分走ったところで、マハから現状の俯瞰情報が送られて来る。なっ!!これは…!!?
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
師匠…ちょっとヤバそうです…。
数十匹のゴブリンを三人で殲滅し、やっとの思いで魔穴を封滅しようと近づいたところ、大きな木製の棒が出て来た。頭の中を警告音が鳴り響く。
「ちょっと間をあけよう!」
二人もすぐに引いた。そこから出て来たのは身長は僕らの二倍、大振りのメイス、相当な怪力のサイクロプスだ。
心の中で叫ぶ。まだ余裕はあるけどサイクロプスは正直どうかな?っていうかなんでこんな奴が出て来るの!?
「「どうするルイ!!?」」
ゾッドもモーラも慌てている。そりゃそうだ。いきなり三等星クラスの怪物が現れたのだ。今の三人なら四等星クラスでもいけるだろう。けれどこれは…。
すぐに今回のクエスト用に手渡された、ハンターズリングの緊急事態のボタンを押す。
「取り敢えず救難要請を送った。すぐに師匠が来てくれるはずだから、それまで凌ぐよ!」
「おう!」
「うん!」
各々が契約精霊を、武器や防具にエンチャントさせる。無論練気剣を会得していないので効果は格段に落ちるが、それでも爆発的に戦闘力が増す。
僕はシールド。ゾッドはブレード。モーラはバーとアンダースーツにエンチャントさせている。
わざとエンチャントさせるのは、基本的な精霊召喚は負荷が双方にかかる為だ。しかも召喚中の顕現は双方の力を持続的に消耗する。
理由は単純で元々精霊が現界に存在しない為、一時的に魔力で維持する仮初めの身体を用意するのだ。
しかし武器や防具にエンチャントすると、制限はかかるが仮初めの身体を用意しなくていいばかりでなく、維持する魔力も必要なくなる。
勿論それなりの武器や防具でないと器が形成出来ずエンチャント出来ない。しかし運のいい事に僕達の持つ武具は伝説級なのだ。上位クラスの精霊でもエンチャント出来る。
「ハァァァァ!」
僕は間髪入れず突っかける。サイクロプスもエンチャントに気を取られ一瞬出だしが鈍った。
元々僕達三人共獣人の中で敏捷性の高い部族だ。更に一歩出し抜く。
サイクロプスの左側に切込み、撫で斬りで強度を確かめる。
スパッ
いける。これまた伝説級のソードだ。切れない筈はない。だが、浅い。
そして、サイクロプスが僕に気を取られた瞬間、メイスを持つ右手側に回り込んだゾッドが手首を斬りつける。
流石に反応されたが、前腕を大きく切り裂く。
直ぐに飛び退く。
苦痛で顔を歪ますサイクロプスに、バーを構えたモーラが力ある言葉を発す。
「雷よ!」
ヴァッーン!!
言葉と同時に殺傷力は低いが威力ある雷が右腕前腕に飛来する。サイクロプスは痺れる右腕に堪らずメイスを落とした。
すかさず僕は左足の斜め後ろからシールドチャージを仕掛ける。もうサイクロプスは僕に反応できていない。
ドォン!
小規模の爆発を引き起こす。バーニングチャージだ。しかも僕は敏捷を活かした突進に全体重を載せ腰を落としてチャージしている。
これでサイクロプスは転倒した。そこへ真空を纏ったブレードがゾッドの手でサイクロプスの右腕手首へ振り下ろされる。
鮮血が舞う。恐るべき切断力だ。
サイクロプスが失った右手の痛みに転げ回る。直ぐに回避したゾッドが間に合わず吹き飛ばされる。
何とか受身を取ったが相当なダメージ見たいだ。しかし、師匠から渡された丸薬を一息に飲み込んでいる。
上体を起こしたサイクロプスが左腕を僕の真上から振り下ろす。真横に最小限に回避しながら盾で斜めに反らす。
ドォン!
ここでも盾が小爆発させる。その勢いで吹き飛びながら受け身をとり、サイクロプスの背後に回る。
直後真正面から水弾が一つ目に当たり、頭全体を水浸しにする。モーラがバーにエンチャントする精霊をアンダースーツにエンチャントした水の精霊と入れ替えて水弾を放ったのだ。
ヴァッヴァッヴァッヴァッ
目を抑え悶えるサイクロプスに、風の斬撃が襲いかかる。ゾッドだ。もう復帰したのか…師匠の丸薬恐るべしだ。
ヴァッーン!!
今度は雷だ。水弾で雷撃の通りを良くしての一撃。サイクロプスは気絶して仰向けに倒れる。
シールドからソードへスライドエンチャントし、ソードを太くそして延長させた超高温の炎の刃を掲げる。
それをサイクロプスの僕の胴程もある首へと叩きつけ、焼け焦げる肉の匂い撒き散らしながら切断した。
ホッとした瞬間だった。強烈な衝撃が身体を揺らす。そしてその真横からの一撃になすすべも無く吹っ飛び無様に転がった。
盾のお陰で何とか意識を保てたが、身体中を駆け巡る激痛は早々に退散してくれそうになかった。
その中でモーラが身体を起こしてくれて気付いた。もう一体サイクロプスが出て来ていたのだ。
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