四章 ❶ ミョルニルの槌とシスターズ
大変お待たせ致しました。4章突入です。
気分屋なものでかなりアップロードにムラがあって申し訳ありません。
感想頂けたり、ブクマされたり、評価されるとモチベーションが上がります!!
いつもの如く俺の部屋だ。
外は朧月が漂って少しだけ虫の声が聞こえている。
「レン。大体のことはもう理解してるな?」
ヴェールはジッとレンを見ている。
「うん」
丸いテーブルの中央の椅子に掛けているヴェール姉さんを見返した。
その両隣にはミラ姉さんとセリア姉さんが腰掛けている。
「レン。これからどうしたい?」
「先ずは特訓。このままじゃ100年も戦っている現勇者には到底届かない。
それを突破できる場所があるならそこで特訓したい」
「そうかぁ」
ヴェールは少し俯いた。
「もう一つ」
ヴェールは顔を上げた。
「俺が作られた場所と俺の秘密を知りたい」
「及第点だ」
ヴェールもミラもセリアもホッとしている。
「もう一つ」
「何だ?」
「俺の兄弟達の成功品は?」
「満点だ」
「この三つをクリアしなきゃ勇者の横には立てない。
そんな気がする」
「そうだな。
幾らなんでも100年の年月を経た勇者に経った一年で追いつこうなんざ言葉のまんま100年早い」
「そうね。ねぇレン。
実を言うと貴方が戦う理由はないの」
「何故?」
「それはねぇ、レンちゃん。
貴方は4人目の勇者だから」
「あー。そういこと?
つまり、現勇者、セリア姉さん、そして成功品の3人がいるって事でいいの?」
「ミラぁ…レンが察し良すぎて困るわ…」
「そうね…私達の話すことが無くなるわ…」
「でも、そうなるとセリア姉さんがここにいると言うことと、こんなに戦いが長期化している理由は何なの?」
「レンちゃん。精霊の森で颶風のパズスとやりあったのなら何となく分からない?
そしてその時、ヴェール姉さんはいなかったでしょ?」
「……魔王のコピー?」
「そう。勇者は魔王の天敵。
一対一なら勇者が必ず勝つの。そう言う因果なの。
それに現人類最高のパーティーがバックアップする。
負ける確率は万に一つもない。
まぁ、向こうも最高のバックアップがいるけどね」
「けどな、それは魔王が一体ならの話だ。
残念ながら現魔王はオリジナル含めて三体いやがる。
そして魔王の能力はほぼ均一。ほんの少し弱いくらいだ」
「なのに、こっちの勇者はオリジナル一人。
セリアのような9割の力の育成勇者一人。
完成品と言う9割の力の人造勇者一人なの。
戦力は拮抗していたと言えるわ。」
「ただね?レンちゃん。
精霊の森で複製魔王の一人を消したでしょ?
このダメージの回復にパズスは動けないの。
三割程度だったけど『分体』は精神にも身体的にもかなりの負荷がかかるのよ」
「と、言うことはだ。
パワーバランスはこっちに大きく傾いてんだよ。
このままセリアが戻れば長く続いた今回の戦いも集結する。」
「直ぐに次代の魔王が生まれるけど勇者三人で迎え撃つし、もしもの時のためのレンまでいる」
「さらに言えばね、レンちゃん。
次代の魔王に対する勇者召喚もできるのよ」
勇者五人とそのパーティーによる包囲網。
もはや魔王軍に勝ち目は無く、一方的な殲滅戦となりそうだ。
そう考えると魔王が可哀想に思えてくる。
「それが戦わなくていい理由か…」
「一応な、お前を鍛えるためにセリアが戻ってる。
勇者として勇者を鍛えるためにな。」
「でもね?レン。
それは魔王を倒した後でも遅くはないわ」
駄目だ。それだと今まで通りだ。
「出来れば今、セリア姉さんから勇者の剣技と技を仕込んでもらいたい。と、俺は思ってるんだけど」
「良いわよぉ?今戻っても私の分の魔王は動けないし、復活しても三割減。
時間はたくさんあるわぁ」
「今代の魔王戦に参戦するつもりか?」
「出来れば次代の魔王戦にもね」
「あぁ…レンがどんどんヴェール化してる気がするわ…」
「そう考えると時間が惜しいな。一刻も早く特訓をやりたい。」
「レンちゃん?そんなにせっつかないの。大丈夫よ考えてあるわ。」
「えっ?」
「アタシの里に行くんだ。竜人のな」
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
出発は明後日今回はミラ姉さんの『精霊の道』を使って移動することになっている。
姉さん達が部屋から出た後、弟子達が部屋を訪れた。
「ルイ。ゾッド。モーラ。
お前達に聞いておかなきゃならないことがある」
「「「はい。」」」
皆テーブルを囲み椅子に腰掛けている。
「これから俺がやる事は世界の在りように関わることだ」
「「「はい」」」
「そしてその為にお前達も巻き込むつもりだ」
「「「………」」」
「ついてくるか?来れるか?」
ルイが一番はじめに顔を上げた。
「僕は…師匠について行きます。
大事なものを守れる強さを身につけたい」
「俺は師匠の様に逃げない男になりたい」
と、ゾッド。
「私は師匠に助けて貰いました。
あの時助けて貰わなければ恐らくここにはいないはずです。
だから、師匠と行きます」
十分、言葉に意志が載っている。けれどもう一押し。
「分かった。けれど今のお前達は既に一端の冒険者、フォース(四等星)クラスだろう。
楽にとはいかないが十分に稼げる。
それに対して今から俺が目指すのは一等星クラスだ。
生半可な覚悟ではついてこれないぞ?」
「覚悟は出来てます」
「分かってる」
「ついて行きます」
あぁ…良い弟子達と出逢った。
目が熱くなるのを堪えてきちんと向き直る。
「分かった。
俺が行く道にお前達が共にあり、共に進む事を誓う」
グラスを4個テーブルに並べた。
指先を短刀で切り一滴づつ垂らす。
無言でルイに担当を渡すとルイはそれにならった。
ゾッド、モーラも続く。
そしてカードから出した葡萄酒を順に注いでいく。
ゆっくりと席を立ち、俺がグラスを持つとみんな無言のまま席を立ってグラスを持った。
「ここに偽りなき魂の絆を交わさん。
道半ばで倒れようとその意思を継ぎ、懐きて共に進まん事を。」
俺は一息にグラスを空けた。皆それに続いた。
いつも読んでくださって誠に有難うございます。
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