三章 ❷ 練武場と必殺技
遂にレンがっ!!!
出来れば簡単なご意見、ご感想をお願いします。
俺達が練武場の申請を得るのを見ていたハンター達が、何人か登ってきた。
ちょうど素振りが終わって実技に移るところだった。
「よし、先ずはルイからだ。」
「はい!」
ルイは力が強い。速さも勿論あるがどっちかというとパワータイプだ。シールドバッシュからの袈裟斬りを得意としている。
シンプルだが肩にハマれば強い。更に元々フィジカルは高いので一気に攻め込める。案の定多用する。
シールドバッシュを交わし連撃を入れる。これだけでもう打つ手がなくなった。
「ルイ。お前はもっと斬り合え。柔軟に対応しろ。盾をもっと上手く使うんだ。シールドバッシュからのスラッシュは奇襲か決め技に取っておけ。シンプル故に読まれやすい。」
「はい。」
「でも良かったよ。得意技があることはいい事だ。」
「有難う御座います!」
「次!ゾッド!」
「はい!」
ゾッドはスピードがずば抜けている。それを持ち味に仕掛けてくる。
けれど、盾で合わせて大きく弾いたり、流されると重心を直ぐに崩してしまう。
「ゾッドは剣戟の中にフェイントを入れたり、一撃を重くするために脚のバネと踏ん張りを上手く使うんだ。走ることだけに気を取られすぎてる!」
「は、はい!。」
「最後!モーラ!」
「えっえぇ…と」
「確かに今日から棍の練習は始めたけど、モンスターは明日からでも襲われる危険性がある!」
「は、はい!」
ジョブ適正はあったのだが、個人的にも適正があったのだろう。突進攻撃や捻転を使った払いなど、脚のバネや体の柔らかさなど獣人の血が活きている。
一番育成に力を入れる必要があると思いきや、案外掘り出し物かもしれない。
「よし、良いだろう。先ずは型を練習しつつ様子を見よう」
「ハァハァ…はい!」
取り敢えず休もうかとした時だった。
「オイオイ。俺も忘れてくれるなよ。」
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「えっ?なんで?」
「ん〜。なんていうか…やってみたいんだよ。」
「わかった。ガッツリ行くよ?」
「じゃぁ…」
「待てよ、お前の得物はそっちだろ?」
立て掛けてあるグレイブを指した。
「そう言うわけでもないんだけど…そうだ、2回戦やろうソードとグレイブで!」
「はぁ?まぁいいけどよ。」
「じゃぁ先ずはグレイブでやろうかな…。誰か審判を…。」
「それは私が引き受けようかなー。」
「ギルマス!!?」
「師匠!!」
いつからいたんだこの人?なんかギャラリーも増えてるし…。
「ガルム〜水臭いぞーこんな楽しい事。」
「あっいえ…すみません。」
「冗談だよ。さっ始めようかー。」
お互いに少し離れて向き合って構えた。
「始め!!」
「オォッ!」
ガルムは気合いを発した。対照的に、俺は気配を限りなく消した。ガルムは困惑して隙を見せる。
そこへ俺が流れる様に瞬時に間合いを詰め、右足をガルムの一人分左に置く。そして刃ではなく柄の部分を軽く捻転してガルムの正面から横薙ぎに叩きつける。
流石に木剣を縦にして受け止めるが、重心が盛大に崩れる。そこへ直ぐさま返しの一撃が見舞われる。
寸止めだ。ガルムの頰を冷汗が流れる。こんなにも技量が違うと実感した様だ。
「はい。勝負ありだね。どうだいガルム。これが今の君の実力だ。これからも精進してレンくんに追いつくよう頑張ってほしい。」
「師匠…」
見捨てず激励の言葉をかける事で、ガルムの中に火が灯った。成る程、ああ言う風に人を育てるのか…。
「そしてギルドのみんな!こんなにも雄々しい若星が育って来ている!誰か挑戦してみないか!?」
「は?」
「だってさ、二本勝負だったよね?」
「あっはい。そうですけど」
「じゃぁ、もう一本やってもいいんじゃない?」
「あーそーですねー。」
なんか…うまく乗せられてる気がする。
「じゃぁアタシがやるよ。」
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
いやいやいやいや…なんでヴェール姉さんが…
「レーン〜。アンタ面白いことやってんじゃないかぁ…。ちょーっと久し振りに揉んでやるよ〜。」
「あーいいっすー。」
「何でだよ〜。」
「今の雰囲気だと半殺しにされかねないやつだから!」
「そんな事しねーから。ちょーっとだけ本気出すだけ出し。」
「おぉーっとぉ?師弟対決かぁ!?いいねいいねー。よーし。魔術師諸君は結界魔法を使って被害が出ないように!法術師諸君はレンの治療に直ぐに当たれる用に準備だ!!」
何ですか?俺吹っ飛ぶ確定なんですね?あぁーなんて日だ…。
「レン本気で来いよ?出し惜しみすんじゃねーぞ?」
「姉さんそれは…。」
「いいか?もう一回言うぞ?出し惜しみすんじゃねーぞ?」
「………。わかったよ。」
姉さんはこう言ってるんだ『使え』と。
空気が変わったことにルイ、ゾッド、モーラでさえ気付いてる。いつのまにかミラ姉さんが壁にもたれてこっちを見てる。もう誰も笑っちゃいない。そう言う場が作られてしまったからだ。唯一この人を除いては…。
「はっはっはー。いーよー真剣勝負。いーよー。じゃぁ…始め!」
昨日、死にかけた。ハンターのレベルが一番多く上がるのは、命の存亡に関わる事態に陥った時とあと一つだ。
恐らくまた、かなりのレベルアップが俺を強くしている。強化された、今出せる全身全霊の速さと力でグレイブの上段攻撃を見舞った。
カン。
木製のグレイブの刃の部分が切れて床に落ちた。そう『折れた』のでは無い。『切れた』のだ。どれだけの研鑽と錬磨が必要か…ハンター達は喉を鳴らした。
「レーン〜?アタシは本気で来いと言ったんだよ?あ〜そうか得物が違うもんな?そこの坊や?そいつをレンによこしな。」
ガルムのことだ。次元の違う戦いを見せつけられ目が離せないでいる。ふっと横を見るとラムさんとシンシアさんも見ている。
こんな中でネタバレかぁ…いや、どれだけの人がネタに気付けるのか?単純に『人が変わった』ように見えるだけだろう。
使う。
『魂魄憑依』
フォッ
なっ……今迄と違う…何か別の…
『主よ。昨日迄の我等の関係は絶たれ、新たに強く、強く結ばれ直された。主が望むなら望む分だけ持っていくが良かろう。』
「ふんっ、やりゃ〜出来るじゃねぇか。」
バチィィィン。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
木剣と木剣がぶつかり合う音じゃ無い。そんな半端な音じゃ無い。セカンド以上の戦士系ハンターが体得する『練気剣』だ。
まだフォース如きのレンが使っていい力では無い。そんな技が発揮されている。その現実に皆が刮目している。
勿論、受ける方のヴェールも練気剣で対応している。けれどこちらはレンとは違い木剣を纏うオーラの圧縮度違う。
その事にレンは気付いた。そしてそれに習うように、一合ずつレンの剣が洗練されて行く。更にレンの剣が光を纏い始める。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
予想以上だよ。まったく…。
確かにハンターは、ハンターリングの影響で通常の人間より経験値が溜まりやすい。しかも、死に掛ける直前の行動はより強固に魂に刻まれる。
アイツは死ぬ間際、恐らく何かしらと繋がっていたんだろう。今、アイツはもっと深く何かと繋がってやがる。もう『練気剣』を発動しちまいやがった。
更に属性付与まで…。あぁ…そうか、おっちゃんのあの武器のせいか!魔装武器で感覚を掴んでやがったんだな!?それに付与属性が光とは…またレアな属性引きやがって…。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
あぁ…レン、レン。遂にその域まで達したのね…。
ほら、ヴェールも驚いてる。自分から焚き付けといてまったくお馬鹿なんだから。
あら?ギルマスが何か難しい顔してるわ?あのギルマスが驚くなんて意外だわ。
あららら?レンの剣に薄っすらと…光!?光だなんて…。私達精霊術師の秘めたる精霊も光。もう私が中位精霊術教えなくったって無限召喚陣破壊できちゃう…。まったく悪い子何だから…。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
はぁ〜何か隠してるとは思ってたんだけどねー。
急に動きが良くなった所を見るとアレだね?精霊か何かと繋がってるんじゃ無いかな?それに練気剣!やるなぁ〜。ガルムをレン君に預けても良さそうだなー。
それで私がもっと楽出来たらなー。あれ?アレは属性付与?然も光と来た。今王国で光の属性付与できる奴いないな〜。んー。二つ名どうしよっかなー。
それにしても…良くあれだけ維持していられるなー?
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レンの剣が一合ごとに早くなっていく。然も全然衰えない。練気剣は体内の気を剣に纏わせるから竜種である私でさえ長くは使えない。然も属性付与なんてしてれば尚更だ。
さてと、そろそろ辛くなってきたな、決めるか…。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「オオォォォッ!」
一気に闘気が溢れ出た。コレが姉さんの本気…か?
姉さんの剣が燃えてる!なんだアレ!初めて見る!!
ヤバイヤバイヤバイッ!!ヤバイッて!!!姉さんが片手上段。なら!!
「コォォォッ!!」
下段から跳ね上げるッ!!
「「ハァッ」」
ヴバババババババッバチィンッ
俺は結界まで吹き飛ばされ激突し意識を失った。
レンがレジェンドに名を連ねる瞬間です。
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