三章 ❶ ミョルニルの槌と弟子達
三章突入です。
気分屋なものでかなりアップロードにムラがあって申し訳ありません。
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今日、弟子が三人も出来てしまった。明日から始める訓練に備え、各人の適正を踏まえてどういう方向性で育てるべきかを当人達と話し合った。
聞けば、3人は獣人のハーフでルイはジャガー、ゾッドはチーター、ルイはパンサーとの事だ。見た目ヒューマンと変わりのないことに驚きだった。
先ずは基礎訓練と、個々にあった武器の修練に励んで貰うつもりだ。その間も何らかの仕事を請け負わなければ食べてはいけない為、薬草収集と簡単な討伐に勤しんで貰う。
ただ、問題なのはモーラだ。下位精霊術の手解きはミラ姉さんから受けているが法術の方はさっぱりだ。達人とはいえなくともそれなりの人を探さないといけない。
まぁ、あまり考えても仕方ないので今日はもう寝ることにした。さてさてどうなる事やら…。
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朝、6時にミョルニルの槌前に集まり街の外へ出て軽くランニングをした。やはり獣人の、しかも走力に特化した獣種なので早めに切り上げる。モーラでさえも普通についてこれているところを見ると案外早く育ちそうな気がした。
さて各人の練度を見る為五分ずつ打ち合う。その間は俺の動きを見ておいてもらう。上位者の動きを見て真似る『見取り稽古』というやつだ。
得意な武器種はルイ、ゾッドは剣。モーラは杖と言った所だが、モーラにはジョブ適性のある棍を学んで貰う事にした。
また、ルイ、ゾッドにはおいおい小剣や小盾、中盾を使った戦い方や下位精霊術も学んでもらう。
朝一の稽古は滞りなく終わった。皆物足りないようだが、その分討伐依頼で発散させる事にする。
朝一で疲れ切っては依頼をこなせない。その分は、夕方から夜にかけてもう一度訓練をする事にした。
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「お早うレン。それと…」
「お早う御座います。ルイです。」
「えっと…ゾッドです。」
「モーラです。宜しくお願いし。」
「お早う御座います。今日から朝食お世話になります。急に無理言ってすみません。」
「良いんだよ!ちゃーんとお題は頂いてるからね。」
並んだ料理に唖然としている。
「こんなに食べるんですか?」
「あぁ。動けなきゃ話にならんし飯を食べる事で頭も回る。じゃぁ頂こうか?」
皆無心になって手をつけている。
「慌てるなよ?誰も取りはしないんだからな?あーゾッド水、水!ルイ溢してるぞ!モーラ、スープのお代わりはどうだ?」
横で女将さんがくっくっくと笑っている。
「あのレンがねぇ…。」
「女将さ〜ん。」
「ここに来た時は本当にどうなるもんかと思ったよ。」
「みんな、目を丸くしてる。」
「あーそうだ?皆は何処に住んでるんだい?」
ルイがリーダーらしく答える。
「えーっと、ハンターズギルドの裏の宿舎です。」
「あーあそこかい!あそこ、飯も出ないし風呂もない、個室もないって聞くよ?どうなんだい。」
「はい。そうです。」
「そーかいそーかい…。それならうちに来なよ!うちのアパートにはまだまだ空きがあるからね。下宿代も安くしとくよ!それに…レンが何やら副業してるみたいだしね…」
「なっ…何なんですか…女将さん…。」
「昨日の夕方ごろね。薬師ギルドの何とかって人が来て、あんたとフォーゲルで作ってた水筒を大口で注文していったんだよ。」
「お陰で工房は大忙しだよ。」
「えー昨日のお昼に話してたのに早いなぁ…。」
「どうもねぇ…商家のドワンゴさんとこの若旦那に話したら、直ぐにでも買いたいって言ったらしくてね?」
「旦那の飲み仲間にも、仕事回さなきゃいけないくらいなんだよ。」
「だから、あんた達のニ月分の下宿代なんざこっちでもってあげるから、レンに散々扱かれて稼げるようになんな?」
ルイが目配せして皆立ち上がった。そして
「「「有難うございます!お世話にならせて頂きます!!」」」
と、下宿が決まった。
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急遽下宿が決まった事で、その日は三人の引越しを手伝う事になった。とは言っても退寮の手続きと少量の荷物だけだったので、ミョルニルのリヤカーを借りて一往復で済んだ。
時間も午前中で済んでしまったので、そのままギルド内のホールで今後について話し合う事になった。
「取り敢えず一月は無理に遠出せず、街の周辺に現れるスライム、ウルフ、ゴブリンだけを対象とする事。その間に薬草群生の穴場を一つ教えるのでそこを活用する事。他のハンターさん達、ギルド内で働く人達に迷惑をかけない事。この三つを守ってくれ。」
「「「はい。」」」
「じゃぁ、三階の訓練場を借りて稽古でもするか!」
「「「はい!」」」
直ぐに立ち上がって受付けへ赴く。
「こんにちは、ラムさん。」
「こんにちは、レンさん。聞きましたよー。大活躍だったそうじゃないですか〜。」
「いやー、俺なんかまだまだです。」
「またまたぁ…謙遜は他のハンターさんからすると嫌味に聞こえちゃいますよ〜?」
「いや、だって最後には姉さん達が解決してますし…頭が上がらないんです…」
「ふーん。でも『闘神』と『精霊砲』はしようがないですよ〜。あ、そーだ。昇格祝いに夜、ご飯に行きませんか?」
「えっ?っとー…」
「んっ!んーん。」
シンシアさんだ。そりゃそうだよね。お仕事中だしね。
「あー今日はあの子達と予定があるので、またいつか誘ってください。それでは三階の練武場借りたいんですけど…。」
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「シンシア〜なーんで邪魔するかなー?」
「なーに?仕事中でしょ?」
「いーや、絶対邪魔してた。」
「気の所為じゃない?」
「でもさ、レン君って優良物件よね?若くて実力あってもうフォースに上がっちゃって!」
「まぁそれは…そうね。」
「あっ!認めたねー?ほらーシンシアもそういう風に見てんじゃーん。」
「うっ煩いわね!仕事よ!し!ご!と!」
このムンティスギルド看板娘二人のやり取りを、遠巻きにハンター達は目撃しレンはまた敵を増やすのだった。
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三回は真ん中に柱を立ててあり他は何も無い結構広い空間となっている。
流石に今日は誰もいないかと思ったらガルムがいた。
「よぉ!ん?お前ら!昨日は災難だったな…で…どうした?」
憑き物が落ちたようにサバサバとした感じで話しかけてきた。
「あぁお疲れ。…知り合いか?」
「ガルム兄ちゃんは、レーテの村の先輩なんだ。」
「へぇ…そうか。」
「ガルム兄ちゃん!俺達レイさんに弟子入りしたんだ。そして今日引越しもしたんだ。」
「なっ?お前ら金はどうしたんだ?」
「『ミョルニルの槌』の女将さんが二月は融通してくれるって!」
「何?お前ら『ミョルニルの槌』に下宿するのか?」
「うん。」
「しかし、あそこがそんな事をしてるなんて知らなかったぜ。」
ガルムは改めて向き直って深々と頭を下げた。
「レン、有難う。こいつらの事よろしく頼む。」
「分かった。任されたよ。」
「で、だ。お前らココに練習しに来たんだろ?俺も混ぜろ!」
「あぁ、皆んなでやれば良い刺激になるからな。」
五人で汗を流す。
「先ずは素振りから!力を入れるな!剣や棍は手が伸びたものだと思え!」
ヴェール姉さんの受け売りだ。
「お前、様になってるな?誰かに教えてたことあるのか?いや、ただ姉さん達に徹底的に扱かれたからな。」
「『闘神』と『精霊砲』かぁ…だからお前は強いんだな…」
「お前だって『紫電』に支持してるじゃないか。」
「んーゼノさんはギルマスの仕事で忙しいから中々稽古が出来ないんだ。」
「そういう事か…。ガルムも朝稽古に来ても良いぜ?」
「本当か!?ではお言葉に甘えさせてもらうわ!」
この時は一人くらい増えても…何て思っていた。
次は遂にレンが覚醒します。
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