会える日を(2)
「んっ・・・あれ?」
ボクが目を覚ましたのは、どこかの屋敷だった。
センスの良い毛布だった。カーテンも癒される色だったし。
「大丈夫ですか?」
この男、確か那瀬の運転手だった男・・・。
もしかして戻って来た?
昨日は、宴会があって沢山の酒を呑んだ。那瀬も飲んでたよな?
「那瀬は?」
「お嬢は、まだ眠ってます」
変な呼び方・・・。
那瀬はまだ寝てたんだ。って、那瀬も帰って来てたのか。
ボクは、ベットから下りて那瀬の部屋に向かった。男は止めることすらしなかった。
「寝てる・・・」
グッスリと眠ってる那瀬。頬を撫でても起きる気配がしない。
「ボクが強くなるまで那瀬には会わないよ。だから、待ってて?ボクが、心を強くするまで」
キミに狂気しないように。キミを傷付けたくないから。
「帰るのですか?」
「うん。ボクは弱いから修行するよ」
玄関付近に近付いたら男がボクに寄って来て話し掛けた。
「貴女の名前は?」
「ボクはノア」
「ノア様ですか。私は琉川です」
なぜ自己紹介したんだろう?どうでも良いけどね。
「呼び捨てで良いよ。那瀬に伝えて?」
「何でしょう?」
ボクは、目を瞑って、一度自分の言葉を探した。琉川は何も言わない。
「しばらくは会えないけど異世界に行ったら絶対戦わないでねって・・・」
ボクが言ったら、息を飲む音がした。
琉川は「またか」と、喋った。
どうやら琉川も一緒に行ったらしい。
ボクは「さよなら」と、言って行くべき場所に向かった。
みなさんこんにちは。私は、琉川です。分りますって?そうですか。
お嬢は、また異世界に行かれたようですね。私も行きたかったです。
あのノアという子は、お嬢を守ったようで安心致しました。
だけど、なにかあったようですね。辛そうな表情で屋敷を出て行かれました。
でも、何かを決心したようでもありました。
「んっ・・・」
起きたようですね。良かったです。
「頭いたい・・・」
第一声がソレですか?二日酔いなんて・・・。
「お酒でも飲まれたのですか?」
「ん・・・めでたい日だった」
め、めでたいですか?お嬢らしくない発言ですね。
「ねむい・・・」
「寝過ぎですよ。お酒お強いのに、どうしましたか?」
私の言葉に悩んだお嬢。らしくない。悩み終え答えた。
「嬉しかったのかな?」
「え・・・」
「友達が結婚したのって・・・」
嬉しそうな声だけど表情に変化なし。
あちらの世界に友達を作ったのですね。
「ちょっと出かけても?」
「良いですが、お一人で?また異世界に行かれるかもしれません」
少し考える素振りをしたお嬢。自己解決した。
「当分は大丈夫みたいなの・・・」
どういう意味?何を知ってるんだ?お嬢。
「じゃあ行ってくるね」
「あ・・・・・行ってしまった」
なんなんだろう?何を考えてるんだ?
微妙にムカつきます。私だけ置いていかれてるようで・・・。
私に何かを言う権利は無いのは分ってる。でも、私は貴女が好きなのです。他の誰にも渡したく無いんです。
貴女を独り占めしたいんです。
帰って来ちゃった!!ノアは当分出ません(と思う)でも、いつかはオリジナルストーリーを創る(つもり)