7話 世界の不純(1)プロローグ
「異世界ねぇ・・・」
「信じられない?」
だって、有り得ないでしょ・・・。外見なきゃね。
どっかの田舎みたいに道路が舗装されていないし・・・。
「そういえばノアって女の子?」
いきなりかい?ボクだって、考え事あったのに・・・。
「確かに、声も低いし髪も短いし、胸だって那瀬みたいに豊満じゃないし・・・・これでも立派な女の子だよ」
「ううん。違うの」
何が違うの?何を言おうとしたの?
「女の子なら顔に傷を付けたらダメだから戦っちゃダメ」
やばっ、可愛いし・・・。ダメって指立てる人初めて見た。
「ボクを傷つける事が出来る人なんていないよ」
だってボク最強だし、一度も怪我したことなんて無いから。
「それでも心配だから」
トクンと胸が鳴った。なんで可愛いことを言うんだろう?
それにボクは、那瀬が傷付くところなんて見たくない。
「外の人は、見た事無い服だしね」
平安時代の平民風の服だった。
そういえば、ボク達の服も変わってたんだ。ボクのは、黒で統一された平安時代の貴族が着るような服で、那瀬のは、薄いピンクの羽衣だった。
「天女みたい・・・」
「え?けっこう動きやすいんだよ。透けてないし」
羽衣って、透明なイメージがあったけど・・・。見た感じは透明っぽいのに、全く透けてない。 羽衣一枚の布で巻かれてるみたいだし。どれだけ長くて大きいんだろう?
「もしかして伸縮するの?」
「うん。伸びるよ・・・・ほら」
那瀬は、羽衣を引っ張った。ゴムみたいに伸びた。
「なんでもアリな世界なの?」
「楽しいね」
うん。無表情で言っても分らないや。もっと那瀬のこと分らないとダメなんだね。
「これからどうするんだい?」
「・・・戻り方分らないし」
そう。どうして、どうやって来たのか分らないから方法なんて見つからない。
「とりあえず助けた人に話を聞きましょう?」
「そうだね」
ボク達は、村で唯一の生き残りだった男の家に向かった。
あぁ。ボクが、やっつけた奴はどっかの野原に衣服無しで放置されてるよ。男がこの後、どうなるか分らないけどね。
「なに妖しい笑みしてるの?行くよ」
「ううん、何でも無いよ。さて、行きますか」
「貴女たちは・・・」
「話を聞きたいんですが・・・」
那瀬が言った途端に暗くなる男の表情。
「実は―――」
男の話はこうだ。
さっきの悪い奴のボスが、他の村人を監禁まがいなことをしてるらしい。
この男は、たまたま出かけてたから助かったらしい。
「じゃあ、さっきの悪い人は残った貴方を?」
「はい・・・」
男が力無く言ったことに不思議に思った那瀬。
「他に何か?」
「娘が・・・隣りの街の貴族の息子と婚約を結ぶはずだったのに・・・」
なるほどね。捕まってしまったか・・・。
ボクは、こういう奴等が一番嫌いだ。
「私達が助けに行きます」
“達”?ボクもか・・・。嫌じゃないんだけどね。那瀬が危ない目に遭うと嫌だし。
「すみません・・・私が不甲斐ないばかりに・・・」
男は悲しげに言った。この世界には騎士団とか無いのだろうか?
現実から目を逸らしたいよ。だって、目の前には山賊やら何やら危ない人達がいるから。
なら、ボクが騎士団を創ってみようかな?