偉大なる台地(３)エピローグ
「・・・」
「大丈夫よ・・・フィル」
僕が迷ってると那瀬サマは、僕の手を握って話した。
「みんな、悪い子じゃないから・・・優しいから大丈夫」
那瀬サマは優しい表情で話した。
おかげで勇気が出た。
『ん？お主は・・・』
「はい・・・僕・・・いえ・・・・私は、ブランシュ王国サンド王の娘・・・・リフィルです」
僕の言葉に驚いたみんな。
「フィル・・・」
嫌われた？怖い・・・
「凄いねー！！お姫様だったんだ！！」
僕の手を握って喜んでる三月。嫌ってない？
「三月・・・話はあと、宝石を・・・」
うん。僕は宝箱に近付いた。
『お主は、掟を知ってるか？』
「はい。先祖代々男が来てました。でも、私は女です」
ダメかもしれない。だけど、僕は、気分爽快だった。だって、僕を嫌いって言わなかった。
本当の友達が出来たから・・・
『掟というのは破るためにあるもの・・・』
はい？そんなこと言って良いの？
クスッと声がして見ると、那瀬サマが笑ってた。声だけ・・・表情は変わって無い。
「そうね。いつまでも、こだわってはいけない」
『ふむ。お主とは話が合いそうじゃ』
気に入られた那瀬サマ。凄いなぁ神様さえも惚れさせるなんて・・・
『昔から女は強いからのぉ』
確かに、父様は尻に敷かれてるものね。
ん？まさか、この神様も？
『フォッフォフォ・・・では、運命の翡翠を持ってくが良い』
変な笑い方をしたあと声がしなくなった。
消える前に「サンドによろしくな」と、言っていた。
よろしく？知ってたのかな？
「じゃあ帰りましょうか」
「・・・う、うん」
「フィル・・・貴女も行くのよ？」
うっ・・・やっぱり帰らなきゃダメ？
嫌なのになぁ。
き、緊張する。だって、何年ぶりに帰って来たんだもんね。
「姫！！」
門番が、僕を呼んだ。久し振りだなぁ。
「お父様に会いますので面会を・・・」
「どうぞ！！」
王の間に入った。全く変わって無いなぁ。
「リフィル！！」
「・・・ただいま帰りました」
ホントは嫌なんだけどね！！那瀬サマのためだし・・・
「運命の翡翠と姫を連れて来た」
那瀬サマ？
「親子の関係だけは切り離せませんから・・・何が理由でも・・・離れちゃダメなんだよ・・・フィル」
「・・・」
なんで寂しそうに言うの？那瀬サマは何にも悪くないのに・・・
「何があっても、ここは貴女の家・・・帰るのが当たり前なのよ」
僕の家、かぁ・・・例えどこにいても、家が恋しいんだよなぁ。
「でもでも！なんで・・・ふぃ・・リフィル様が家出なんて！？」
「フィルで良いです三月・・・理由は・・・」
「言いたくないなら言わないで良い。根掘り葉掘り聞くなんて失礼よ・・・三月」
那瀬サマは大人だぁ。正直、言うの戸惑った。
「そっか・・・ゴメンね」
「ううん・・・」
三月は優しい子だね。勘違いされやすいけど。
「うむ・・・確か、噴水の街の近くだったな」
「はい・・・」
「そこのお前・・・食料を先程の場所へ！！」
父様は近くにいた兵士に命令した。兵士は「はっ」と、従った。
「良かったね〜」
「ホントにな」
那瀬サマの仲間達の食糧確保は大丈夫として、那瀬サマ達はどうするのかな？
「これからどうすんの〜？」
「・・・う〜ん」
三月は、僕と同じ事を考え、十代は悩んでる。
「魔王に会ってみたいな」
え！？那瀬サマぁぁあ！！
アイツに会いたいのぉ！？
「そういえば魔王ってフィルを捜してたんだよね？」
三月の、ふと言った言葉に「あっ・・・」と、みんな言った。
「どうして魔王が？」
「なるほどね・・・」
ギクッとした。那瀬サマって勘が良いんだなぁ。
「何がなるほどなの？」
「そういや、琉川って知ってたのか？」
三月の発言を無視して琉川に聞いた十代。
知ってたって・・・？
「薄々です。魔王に対しての発言だったり、知識が良過ぎで、王宮に入らなかったのが決め手です」
うひゃあ。琉川も勘が良いんだ・・・
「もうぅ！！十代のせいで話が逸れたぁ！！」
「いつも話を逸らしてるテメーに言われたくねーな」
口喧嘩し合ってる。ダメだよ。
「恋人同士？」
僕の一言に、真っ赤になりながら否定した。息がピッタリ。
「私は！ナッチャンが好きなの！！」
「俺だって那瀬・・・が・・・」
最後の部分は小さくなってた。
でも、僕には聞こえた。「好きだ」って・・・
みんな那瀬サマが好きなんだなぁ。
良いなぁ・・・
いつか帰るんだよね？そうしたら、那瀬サマや三月と遊べないの？
寂しいな・・・
