実る月
【実る月】
肉塊になるか。
塵になるか。
繰り返しはするが、
変わらずそこに居た。
あれは
眼窩の見せた
嘘っぱち?
違うだろう。
滴る蜜は月に似て。
じっと探るそれは
何なのか?
思考は放棄。
「お前にはあげない」
ならば盗む。
もう決まっていた。
【あえか散り散り】
柔い花の乙女ではなく、
薄い薄い下弦です。
私は貴方に向かわず、
ただ伏せるだけです。
それが私の有り様です。
この腕は骨。
何も安らかに
出来ません。
貴方が望むものは
ありません。
羨むばかり。
なんて空っぽ。
花は散り散りに、
私は腹肚に。
浅ましいばかり。
【あなたに】
あなたを殺して
死ぬのなら
後悔なんて
ありはしない。