あ、どうも王子様の親友の男Aです。
「俺様はフリッツ=アルコバニーニだ」
あ、どうも俺はマイケル=ジャクソル、7歳。最後の一文字を変えれば前世の有名なダンサーと同じ名前になるが、関連性は皆無。因みにダンスは苦手な分類に入る、ちょっと前世の記憶があるただのしがない伯爵子息だ。
前世では日本で住んでいた成人女性でした。が、いつの間にか転生していた。多分、死んだんだと思われる。
そして、この俺様とかいう痛ーい奴は"恋してレボリューション"とかいうまた痛いタイトルの乙女ゲームの主役キャラだった。
前世の俺は別に乙女ゲームが好きだった訳ではなく、絵を描くのが好きだったみたいで、その参考に美麗イラスト探しが趣味だった。
この恋してレボリューションは絵師が有名な人物で、顔だけイケメンで体が下手という絵師が多い中、バランスがとれていているのを気に入っていた為にスクショをとって保存していた。特に主人公とライバルキャラがきゃわいくてお気に入りだった。
が、ただそれだけである。ストーリーなんて知らない。あらすじさえ見ていない。
ただ、この痛い奴が恋してレボリューションの主要キャラだとだけ分かった。
さて、どうするか。
公式ではマイケル=ジャクソルなんて出てこなかった。いや、多分、出てきてないだろう。だって、名前的にアウトじゃね。いや、名字は出てきてない可能性も・・
うーん。物語というからには何かトラブルが起きたりして巻き込まれる可能性も無きにしもあらずか?
どちらかというと自身は関わりたくはないが
自分の両親には今日のドキドキ初めてのマイケルのパーティー!では権力者、特に殿下(この俺様)と仲良くなっておけと言われていた。ハイハイと適当に返事をして来たのだが・・まさか向こうからやってくるとは思いもしなかったが。
うーん・・当たり障りなくの対応が一番無難だよな。俺は関わりたくはないが、本人は悪くないのに冷たい対応を取ったら可哀想だし、媚びへつらうのも面倒だ。
「マイケル=ジャクソルと申します。」
「マイケルか」
そう言って、フレッツはベラベラと話し始めた。ウンウンと頷いていて、その日は別れたが、どうやらよく分からないが気に入られたらしく、その日から俺様がウチに訪問する事が度々・・いや、毎日の様にやってきた。
両親はよくやった!と、狂犬乱舞していたが、俺は微妙な心境だった。
そう言えば昔(前世)から変な奴に妙に好かれやすかったな・・と遠い目をしながら、何だかんだで俺様と仲良くなってしまっていた。
奴が12歳の頃、俺様殿下に婚約者が出来た。
かの(俺の中で)有名な恋してレボリューションの主人公のライバルキャラ、アイリス=フィードだ。
公式イラストでは銀髪の髪につり目がちな紫水晶の瞳の整った顔の美人だったはず。
俺様殿下は婚約者になったモノの、アイリスの事が気に入らない様で、アイリスの愚痴を俺の家に訪問しては吐いてきた。
曰く、ツンとした態度が気に食わない。曰く、女の癖に可愛げがない。
成績も魔法も何でも殿下より能力が上でそつなくこなす彼女に嫉妬している様だった。まぁ、そつなくこなしている様に見せて陰で努力してるんだろうな。
表で弱く見せないのも令嬢では必要で、殿下を支えていくには優秀ではなくてはならない。結構な事ではないか。
「俺的にああいうツンとした奴をベッドで泣かせるの有りだな、って思うぜ?ああいう外で強がっている令嬢こそ中身は可愛かったりすんだよな」
「はぁ?!な、何いってるんだよ!お前!」
「全く殿下は分かってないな。俺がああいうタイプの魅力を教えてやるよ」
今世の俺は前世とは違い、絵が滅茶苦茶上手い。ので、昔から夢だった漫画家になる事にして、この世界にはなかった漫画となるものを華麗なる踊り手というペンネームで普及していた。
その作品は様々だが、エロい方面が一番多い。エロと胸は男のロマンだからだ。
俺はまだまだお子ちゃまな殿下にエロい漫画を見せた。
殿下は顔を赤らめながらも、気になるお年頃な様でページを捲る。
内容は女騎士がエロに負ける話しだ。
「高潔で気高い女騎士・・まるで、アイリスみたいじゃないか?そんなアイリスだって女なのさ、お前も男として可愛がってやれよ」
「・・あ、あんな奴」
そう言っていながらも殿下は女騎士の表紙に釘付けになっていた。俺は悪い顔をしながらニヤリと笑った。
俺はその日からエロい方面の技術を伝授したり、ツンデレヒロインの魅力を漫画で殿下に伝えた。
そうして、殿下はいつからか、ツンデレヒロインにのめり込む様になっていた。
「はぁ・・今日もアイリスが可愛かった。キスをしたら顔を赤らめていたんだ。いつもはあんなすました顔をしているのに・・」
そして、いつの間にか殿下はアイリスに恋に落ちたみたいだった。
「ほーお?信じがたいな、あの冷たげで完璧なアイリス=フィードにもそんな一面があるなんてな。皆、聞いても信じないだろうな、それは」
「俺様だけがアイリスの可愛い姿は知っていればいいのさ!」
「前から思っていたが一人称、俺様はどうかと思うぞ・・おっと、そういえば」
ゴソゴソと俺はエログッズを取り出した。
「お前もそろそろ必要な年頃かと思ってな、 やるよ」
「な、これは・・」
「これがあれば子供が出来る心配なくエロを追求出来る革命的な道具さ。後はこれは・・」
俺はグッズの説明をして、殿下に手渡した。殿下は顔を赤らめながらも鼻歌を歌いながら帰って行った。
***
最近、(漫画の)スランプ気味なマイケルだ。ハァ・・どうしようと、マイケルは歩いていたら、ドンッと誰かにぶつかった。銀髪に紫目の美少女・・ん?彼女は
「アイリス=フィード?」
「な、私を知ってますの?」
「俺様ゴホンッ・・えーと殿下の友達でね、よく君の事は殿下から聞いてるんだよ」
・・やべ、殿下の名前忘れた。仕方ないよね、殿下としか呼んでないし
「フリッツ殿下が・・?」
フリッツ!そう奴はそんな名前だった!目から鱗の俺だったが、アイリス=フィードをよく見ると涙の跡があった。
「どうせ・・私の悪口でしょうね」
そう悲しげに笑うアイリス=フィード。
「エーと、殿下と何かあったのかい?」
「・・何もありませんわ」
「よく分からないけど、殿下と君が上手くいってないのは俺にとっても問題なんだよ」
「・・貴方は優しいのね」
「いや、殿下は君が好き過ぎて最近鬱陶しいんだよ、リア充爆発しろ。じゃなくて、だから、君に責任を取ってもらおうと思ってね」
「殿下が私を好き?そんなのは有り得ませんわ。あんな私に意地悪ばかりするお方・・」
そう言いながら顔を赤らめるアイリス=フィード。
「お子ちゃまな男っていうのは好きな女の子にちょっかいを掛けるんだよ。かまって欲しくってな。だからナニをしたかは分からないが殿下の愛情の裏返しなんだよ、それは」
「で、ですが・・だからって」
「アイリス=フィード。殿下の隣りに立つのは相応しい能力も必要だ。けど、結婚ってのは人生のパートナーって事で支え合い、歩みよる事だって必要なんだぜ。」
殿下が何を考えているか考えた事はあるか?心から愛し合おうとした事はあるか?義務で政略的結婚だったかもしれない、けれど、これも何かの縁、お互いに歩みあう努力をすべきだ。
「弱さも強さも分かち合い、お互いに支えあうのがパートナーだ。外側の強い気高い上っ面は取り除いて、殿下には見せてやってもいいんじゃないか?」
「上っ面ではありませんわ!これは・・」
「ならお前が悩んでいる、その思い、殿下に話してやれよ。本音で話しをしなきゃ、本当の関係になんてなれねぇぜ?」
アイリス=フィードにそう言って、俺はスタスタと立ち去った。
やべぇ!元々の元凶は俺じゃねぇか!と内心は汗をダラダラとたらしながら
***
数日後、殿下が訪問してきた。・・ライバルキャラと共に
「お前のお蔭で晴れて両思いになった!」
「感謝致しますわ」
そう御礼を言った後に目の前でラブラブイチャイチャし始めるリア充共。
「お前ら、イチャつくなら出てけーー!」
独り身の俺には目の毒だった。
くそっ、これからはテメェの事、プリッツで呼んでやるからな!
二人のキューピットになり、もう、これで殿下の訪問はなくなるかと思っていたが、それからも、いや、それからは二人で俺の家に訪問してはイチャつく様になりあがった。・・げせぬ。
**とあるヒロイン視点
私はライラ。日本で暮らしていた記憶がある転生者なの。
気が付いたらライラに転生していた時は驚いたわ。
まさか前世で大好きだった恋してレボリューションに転生するなんて!
ストーリーは王道だったけど有名な絵師に声優陣で売れた作品なのよね。
俺様殿下、宰相候補、有名な魔法使い一家の息子、騎士・・そして隠しキャラに俺様殿下の友人、確かマイケルだったかしら?の計5名!
ふふ・・待っていてね、攻略者達
と、逆ハーエンドを夢見て学園に行ったモノの上手くいかなかった。
何故か殿下はライバルキャラとラブラブだし、隠しキャラのマイケルは見掛けても殿下とライバルキャラと一緒にいて近付けないし
でも、フリッツ殿下!目を覚まさせてあげるからね!
私はそれからもイベントを進めようと奮闘して、そうして、アイリスが階段から突き落とした罪を被せてあの女狐を断罪しようとした。
「いや、アイリスは俺様といたぞ」
「なっ・・」
結局、落としていたはずの皆も私が嘘をついてアイリスに罪を被せようとした事を知って、離れていって、私自身も退学になってしまった。
(完)




