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六抄.選択の夏

 こんなことを俺はどうして口にしたのか、自分で言っておきながらおかしさすらあった。

「そう、なんだ。何かやりたいこととかあるの?」

 如月さんは珍しく俺のことを聞いてくる。夕陽が眩しい。

「実はさ、昔大切な友達が居たんだ」

 それ以上を彼女に話してどうする? 俺の中に居る俺が語りかける。そうだ。美玖のことは如月さんは知らない。話したところで何を求めようと言うのか。

「その人に会うために、大阪に行くの……?」

 グッと何かにつままれたような、小さな痛みがあった。

 俺は何故、大阪を選ぶのか。鹿児島の人間は東京よりも大阪に出ることが多いという話は、何度も聞いたことがある。その理由は定かではないが、それでも俺は東京よりも大阪を選んだ。

―――何の為に?

―――美玖の為に。

―――何をする為に? 

―――美玖に会うために。

 それだけの理由しかない。会えるということは、きっと考えるだけでも少ない確率。連絡を取ることができる。その時に伝えればいいだけのこと。でも、俺は未だに白紙の用紙と向き合い、挫折している。そんな俺が書くことが出来るのだろうか?

 昔の俺が今に居るならきっと、美玖には何も言わないで、突然その住所に尋ねてびっくりさせてやるくらいの行動力があったかもしれない。でも、今の俺にはそんなことをするだけの勇気も行動力も金もない。思うだけ思い、その選択をすることが不可能だ。そう、俺たちは子供であって、子供ではない。世界を知ってしまった。知らなくても良い、小さな世界から飛び出そうとしている。そうすることが自立であり、独立への、大人への一歩なのだと、大人を見てきて覚え、教わってきたんだ。

 だから俺は、如月さんが進路に迷いを見せていながらも、その選択を選んでいるというのに、俺は自身の愚かさに、如月さんの問いかけに答える答えをすぐに見つけられなかった。ただ、昔中の良かった友達に会うために大阪に行く。それは子供の選択であり、大人にはそんな選択は甘えでしかない。

「会えれば良いかなって感じだよ。それが目的ってわけじゃないかな」

 俺は嘘をついた。こんなにも真面目で懸命な如月さんに嘘をついてしまった。ひどい罪悪感があった。

「そう、なんだ……」

 如月さんは小さく唇を噛み締めていた。その姿に胸が痛んだ。いつも笑顔で明るい彼女に俺はそんな表情をさせてしまった。そんなことをする俺が、他人の進路へ何をすることが出来るのか。いや、きっと何も出来ないんだ。ただ美玖に会いたいから大阪に行く。それしか目的ではないけど、それだけじゃいけない。俺たちはこれからも生きていくんだ。だからこそ、進学するにも就職するにも理由が要る。その理由がないまま、俺は大阪へ行ってしまっても良いのだろうか? 分からなくなった。

 沈黙に風が何かを囁いていく。何も言えなかった。気が重くなる沈黙だった。砂利の上を転がる落ち葉がこんなにも弾む音をしていたなんて、気づきもしなかった。

「あ、あのね、海津君」

「うん? 何?」

 それを打ち破るように、頑張ろうとしているように如月さんが口を開いた。俺は安堵した。それと同時に気を使わせてしまったのではないかと、申し訳なかった。

「…………」

「…………」

 俺は待った。如月さんの言葉を。吟味するように、苦悩するように、如月さんは数回のため息を深呼吸に変えていた。

「海津君は、今、付き合ってる子は……いる?」

 懸命だった。夕陽の中でも明らかだと分かる赤面。脈動が強かった。すぐにタイミングを間違えた。今の話は聞かなかったことにして。そう言うように如月さんは顔を伏せた。その瞬間の瞳に映る煌めきに、俺は一瞬思考と感情を奪われた。

「ごっ、ごめん。変なこと、だよね……」

 そして、それが事実になった。俺は胸の奥に溜まった重たい空気を吐き出した。数秒をかけて。

「いや、いないよ。誰も」

「ほ、本当に?」

 この世界に悪魔が居るなら、今の俺はその悪魔の手のひらで蠢いているのかもしれない。それでも、俺は質問には偽りなく答えた。恋人なんか居ない。特定の人なんかいない。底に偽りはない。それでも、俺はそれが嘘だという内面の告白に言葉の選択を誤ったと確信した。

「うん。本当に」

 ただ、今だけは如月さんにそれ以上思いつめた表情をさせたくないと、そう心から思った。

「そ、それじゃあ、その、大阪に居るお友達は……?」

 心臓が跳ねた。よく言うその表現が具現したのかと思った。嘘の中の真実。美玖という友達。恋人でなければ思いと伝えたことも伝えられたこともない。好きなのかと聞かれても、それがどういう感情で今まで手紙のやり取りをしていたのか、答えられない。

「なんて言うのかな? 幼い頃に良く一緒に遊んだ子なんだ。今はどんなことをしているのかとかどんなに成長したのかなんて、全く分からないんだ」

 写真のやり取りも、声のやり取りも何もない、ただの文字による成長の手紙。俺が思う美玖の姿はあの八年前のままで、今でも俺の心に居る手紙の主は、あの頃の美玖でしかないんだ。だから会いたい。声を聞きたい。その姿を見つめたい。そう思う衝動がある。ただ、もうその衝動だけで行動できるほど俺は幼くはない。だから、理由が欲しいのかもしれない。その選択をすることが、俺の一パーセントの才能と努力の結果であり、八パーセントの運の導いた答えだという理由が。

「そう、なの?」

「うん。だから、今会えても分からないかもしれない。分かるのは筆跡くらいだから」 

 お互いにきっと気づくことの出来ない成長。それは寂しく、哀しい反面、それが当たり前だという事実は八年前に始まっていた。当時の俺が今の俺の歳なら、きっとバイトでも何でもしてすぐに会いに行っていたはず。それでも、あの幼い日の別れは、俺と美玖の間に間違いなく壁がある。子供と大人の壁。あの日の散りし花びらの壁。それはあまりにも大きく、どこまでも遠く、果てしなく広い壁だ。

「そうなんだ……」

 如月さんの声に、ただ、「うん」としか答えることが出来なかった。

「やっぱり、会いたい、よね?」

 如月さんからの意外な言葉。何度も類似したやり取りから、俺の答えなど分かっていると思ったいたのに。

「会えるなら、ね」

 そう答えるしかない。嘘をつくわけにはいかない。その気持ちだけは如月さんの前では偽れなかった。



 ―――拝啓     海津匠様

 春の訪れも落ち着き、いよいよ緑と暑さが深みを増す夏の訪れですが、元気でしょうか?


 その手紙を書く時、私は間違いなく内心喜びと楽しみに満ちていた。どうすることもできなかった幼い日々から、やっと解放された気分。単純に嬉しさに私は喜び、返事の届かない彼を案じる手紙を引き出しの中から漁るように取り出した。時刻はもう深夜一時を過ぎていたのに、私は今の気分で書いておきたかった。


 実は、匠君に一つ報告することが出来ました。


 その文を書いた瞬間、私は数時間前のことを思い出して、頬が緩んだ。友達に変な美玖やね、とか絶対に馬鹿にされそうなくらいに。

「お父さんに相談してみなさい」

 その一言で、お父さんが帰ってきてから夕食の時に早速聞いた。お父さんはお母さんと同じように理由を問いてきた。それでも私は同じことを伝えた。私は子供の殻から出て、大人になる。それは重たい責任と義務と社会性を背負うことになる。その実感は今は感じられない。だから心配されることは当然だと思う。だからこそ、心配されないように頑張ってきた。その私がやっと自分で決めるこれからの選択。昔匠君に言った記憶のある、人にある九十パーセントの選択。私はきっと努力も才能も運も、今は使ってない。その選択の先にあるものに、その十パーセントがやってくる。

「大阪じゃダメなのか?」

「ダメ。行きたいの。私の故郷だから」

 大切な思い出の残る鹿児島だから、譲りたくなかった。我儘なのは子供。でもそれを選んだ私は大人。そう思うことこそお父さんたちにしてみれば子供なのかもしれない。でも、私はそれをもう選択した。だから後はその先にあるものを確かめることが、きっと私にある責任と義務だと思う。

「お願い。別に進学を決めたわけじゃないよ。オープンキャンパスだけでも良いの。行きたいの」

 私の願いに困惑するお父さんとお母さん。強く願っても私の心はやっぱり恐怖と不安を感じていた。


 最近にしては手紙を出す機会が多いですが、実は八月十日から一泊二日ですが、鹿児島に行くことになりました。私は一人で一日もいられませんが、久しぶりの鹿児島に行くことを伝えたくてお手紙を出しました。


 書きたいこと。言いたいこと。それは手紙に書き記すことに、躊躇いが生まれた。理由は分らない。会えるのならば、私が伝えればきっと……。そんな淡い想いもある。でも同時にそれを大きく打ち消す思いが当然のように淡い夢を泡雪のように溶かしていく。私は子供ではなくなったから。


 まだ日にちはありますが、正直今から楽しみにしていたりします。私が覚えてる鹿児島がどうなっているのか、その日になることを楽しみにしてます。

                                   草々―――


 これは神の悪戯なのか、悪魔の微笑なのか、俺は短期間で返事を出していない間に来た手紙に絶望に近いものすら感じた。相手は美玖。相変わらずの文面で書かれた報告に、目を下ろした瞬間の時間がしばらく継続して支配してきた。卓上カレンダーを一枚捲る。一昨日飛行機の予約も済ませ、支払いも済ませた。もし美玖がこの手紙を書くのが数日、いや数時間でも早く、全ての行動がそれに比例して行われていれば、俺はきっと今頃その時間に反比例して己の選択した全てを改めなおしただろう。選んだ選択肢が誤りであるわけでもないのに、それを誤りとして、正しい、俺にとってはそれが正しい選択として選びなおす答えを導く時間があった。

 世界はあまりにも残酷で少ししか優しくない。八月のカレンダーに記された二日間をわたる横線。その線の始点は十日。終点は十一日。オープンキャンパスの日取り。朝一で大阪に渡り、午後からキャンパスを見学し、翌日帰鹿する。俺に許された時間。それなのに世界は残酷をもたらす。よりによって。その気持ちが後悔を激しくもたらす。

「何でこの日なんだよ」

 もう取り戻せない。俺が少しでも自立し、稼ぎと言葉ではあまりに短絡で簡単な言葉であり、行動では肉体の長時間による労働の下に得られる決して楽ではない金というものを手にしているなら、航空券のキャンセル、ホテルの宿泊キャンセル。それに伴う料金の事を考えると、俺は大人にはなれない。世界はとてつもなく巨大で、俺はあまりにもちっぽけに過ぎないと痛感してしまう。

「何しに、帰ってくるつもりなんだ?」

 焦りと後悔の気持ちはすぐに凪を取り戻す。代わりに新たな疑念が湧く。何故、八年もの間俺の知らない世界へ越し、お互いを知ることもなく、お互いに空白の八年という時がある。それが突然打ち破られた。そして交差した時間はほんの一瞬。交差した道は再び別離した道へと進む。大人であるなら、その道を引き返すという選択肢がある。だが、子供には、特に俺たちのようにはっきりと線引きされることのないあやふやな存在には、ダダを捏ねることにも気を使う。この道を通り過ぎた大人には、それこそいらぬものだと笑って過ごすが、そうもいかないのは思春期の特徴の一つなのかもしれない。

「何で、書かれてないんだよ」 

 予定は漠然。予定は未定。この手紙からはそんな世言は聞こえてこない。俺は知っているから。長年届く手紙の成長に、この文字を書き記した美玖は、確実に未定なことを主張しない。そう見せてもその裏には確信がある。俺は何度もそれを読み解こうとした。軋む背もたれに、頭部の影で薄暗くなる手紙。何故この手紙には鹿児島と言う決して狭くない所へ行く、なのか。もう美玖にとって鹿児島は帰る場所じゃない。それは分っているつもりなのに、気持ちは受け入れようとしない。忘れたのか? 好きだった桜の木を。俺の背中を。そう手紙に書いて返すことが出来れば楽になれるのに、返事を書く前に届く手紙に萎縮してしまう。

「美玖、やっぱりそうなんだな……」

 大人になることと、大人になったと思うことは違う。俺は後者が大人と思うことが多いが、この時においてそれ以上に恥ずかしいことはないだろう。俺は子供であり、美玖は大人。だからこそ具体的内容を記さない。そこに過去への羨望が含まれているかは分らない。嘘をつれたことがない以上、この文字は俺には全て真実であるとしか思えない。

「皮肉だ……」

 それでも俺は子供だ。そこに込められた思いよりも、美玖がここに帰ってくるのかを気にして、もしかしたら家に来るかもしれないという思いと同時に、こういう伝え方をする美玖が仮に家に来た時、どこか出会うようなことが会った時、俺は美玖と話すことが出来るのか、そうなることを想像すると美玖とは手紙だけのやり取りで、もう顔を合わせることはしたくないと思う気持ちが勝ってしまった。


 弦をめいっぱい引いた瞬間、胸と頬、腕、背中に強い力を感じる。つまり全身に負荷がかかる。三年前、初めて弓を手にした時は弦の張りの強さに引くことに恐怖を覚えた。何度も弾いた瞬間に痣になった。それが今はもう夢のように、恐怖を感じない。引きも筋力が付くにしたがって苦じゃなくなった。でも、今日の弦は重たい。弦を引く手にも弓を持つ手にも一定した力を維持することが出来ない。

「……っ!」

 集中できず、弦の力に負けた。放たれた矢は十分な力を得られず、的に届くことなく砂に突き刺さった。全く集中できてない。自分に悔しいとはっきりと感じるのに、それを受け止められない迷いが的へ矢を届かせない。こんな姿は後輩にはとてもじゃないけど見せられない。弓道場が裏口にあって良かった。朝でよかった。でも、だから恐いとも思った。

「あっ……」

 その瞬間、隣接する更衣室へ駆け込んだ。放った矢を片付けないまま弓道場を後にすることは厳罰ものだって理解してたのに、あたしは扉の向こうへ外の世界から隔絶された孤独の部屋に逃げた。匠君が見えた。いつも感じるものとは違うドキドキに不快な汗が出てきた。夏の暑さにはないベタツキがタオルで拭っても消えなかった。

「どうして、隠れたんだろう……?」

 裏口の駐車場を歩いていく砂利音が消えるのを待ってから、静かに戸を開ける。

「あ、いたんだ?」

「え? あっ……」

 あたしは失念してた。彼は優しい人だってことを。

「これ、如月さんのかな?」

 匠君の手には、あたしが放った迷いの矢。

「う、うん。ごめんね。あたしが片付けないといけないのに」

 慌ててた。誰も居ないから入っていい場所じゃない。まして匠君は部員じゃない。踏み入れていい場所じゃないことは三年も教え込まれた。だから私は慌てた。

「ほんとにごめんね。あたしが悪かったのっ」

「いや、誰も居ないのに矢が落ちてるのが見えたから、危ないと思って。こっちこそごめん。部員でもないのに。立ち入り禁止じゃなかったかな?」

 哀しかった。嬉しかった。不甲斐ない自分が嫌だった。

「ううん。あたしの不注意だから。ありがとう、ごめんね」

 受け取る矢は少しだけ温かくなってた。匠君がこの矢をどうするか考えていたんじゃないかと、あたしは彼の優しさにまた胸の高鳴りを押さえるのに必死だった。

「でも、珍しいね? 何かあった?」

「え?」

 その優しさは、きっと羽虫を惑わす暗闇の灯。日の当たる場所に咲く一輪の花なんかよりもすごくて、荒野に咲いた一輪の花のように、決して誰かの為にあるわけじゃないのに、自分のものだけで居て欲しいと思いながら近づくと、その眩しすぎる炎に近寄る羽虫を焼き落としてしまう。あたしはきっと、それでも良いと思って炎に飛び込もうとする羽虫。

「ううん。なんでもないよ。ただ、ちょっと集中力が持たなくて油断しちゃった」

「怪我はしなかった?」

 あたしは笑顔になれなかったのかな。自分では笑ったつもりなのに、匠君はあたしのことを心配してくれた。その優しさに怪我をしそうだった。

「うん、大丈夫」

「そう。良かった。あんまり無理しないほうが良いよ」

「……うん。これ、片付けたら終わりだから」

 だから、その優しすぎる言葉をこれ以上あたしにかけないで。あたしはもう受け止めきれないくらいに溢れそうな思いがこぼれそうになるから。

「分った。じゃあ、先に行くよ」

「うん。またね。ありがとう」

「こっちこそ、ごめん」

 匠君がそう言って校舎に歩いていく。良かった。ほっとした。それと、哀しくなった。胸が痛くなった。引張られるような、取り残されるような。今すぐその背中を引き止めたい衝動を、矢を胸に抱えて押さえ込ませるのに必死になってた。 

「ごめんね……ごめんね」

 分からないよ。あなたの気持ちが。どうしてこんなに私に優しいの? 私はどうすれば良いの? 分からなくて、恐くて、ドキドキした胸が痛かった。彼がどこを見ているのか、今だけは顔を合わせたくなかった。






次回更新は7月15日辺りです。

 正直この作品は個人的にはもうすぐ(あと三抄くらいで)終わらせるつもりなので、更新し続けたいと思っているんですが、他の作品に比べると閲覧数も少ないので、どうしようか模索中です。

 最悪、どこかの文学章用に書き下ろしをしなおして、ここでの更新は打ち切るかもしれません。


 他の作品と、べた恋参加の企画と、文学賞用の作品の執筆が詰まってるので、更新は目安とお考え下さい。

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