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始まりの一歩・・・を踏み出す前に


 視界が開けたとき、そこにあったのは緑豊かな草原だった。


 思わず、僕は走り出しーーー何か透明な壁にぶつかって、スッテンコロリンと音が聞こえそうなくらい派手に跳ね返されて転んだ。



 どうも。時遡ときさか 虎徹こてつといいます。一応、高校生です。痛みは感じないので別に問題ないですが、周りの人からの視線が痛いです。


 これも全部、「入ったら特殊なフィールドだからその場で動かないで待機しておいてください。」という言いつけを守らなかった人のせいですね。


 以上、現場からお伝えしました。



 

 よし、そろそろ起き上がろう。

 

 えーと、なんか人が多いような・・・。

 ひい、ふう、みい、よお・・・全部で21人いるぞ?

 緑色のアイコンが頭上に浮かんでいるから数えやすいね。


 

 でも、プレイヤーは20人だったよね?



「あー、そろそろ始めていいか?」

 21人の中で唯一スーツを着てる人が何かを言った。

 ちなみに、他の人は皆、同じような無地の白い服を着ている。

 初期装備ってやつかもしれない。

 だったら、スーツの人は運営さんかな?



「注意したにも関わらず先走った奴がいるみたいだが……。

 まあ、いい。

 この空間はチュートリアルフィールドだ。リアルの方で説明しても良かったんだが、色々と面倒でな。

 こうして、ゲームの中でしか説明できないこともあるからな。


 さて、色々と細々とした説明は面倒だからサクッといくぞ。


 まずはじめに、『ステータスオープン』と言ってくれ。」


「「「「「ステータスオープン」」」」」


 うおっ。目の前にウインドウが現れた。

 書いてあるのは・・・レベル、HPやSTRなんかの数値とジョブ、固有スキル、スキルなんかだ。


 でもlv0だし、スキルの欄にもなにも書かれてないや。


 時遡 虎徹 lv0

 HP 1000  MP 1000

 SP 1000 

 STR 100  DEF 100

 INT 100  MND 100

 DEX 100  AGI 100

 所持ポイント 0

 所持金    100000

 メインジョブ「  」

 サブジョブ 「  」

 固有スキル 「  」

 所持スキル 「  」

       「  」

       「  」

       「  」

       「  」

 


「よし、見えたな。

 閉じるときは『ステータスクローズ』っていえばいいからな。


 さて、それぞれの項目についてだが……だいたい分かるよな?

 HP……生命力。なくなったら死ぬ。

 MP……魔法とかのスキルを使うときに消費される。

   扱うには『魔力操作』というスキルがいるな。

 SP……気力?みたいなものだ。

   スタミナだと思ってくれ。

   mpを使わないスキルは大抵これを消費する。

   こっちは扱うのにスキルはいらねえ。

 STR……パワーのことだ。

    物理攻撃時の判定の時とかに使われる。

 DEF……防御力だな。

    物理防御時の判定の時とかに使われる。

 INT……魔法使うときとかに参考にされる。

    低いからって賢くねえわけじゃないからな。

 MND……視力みたいな感覚に作用する数値だ。

    あと、一部の魔法の時に参照されるな。

 DEX……器用さ。と言っても手先が器用にはならん。

    魔力の扱いとか、力のセーブの仕方とかだ。

 AGI……素早さだ。

    単純に早く動けるようになる。

    動体視力とかも上がるぞ。


 こんな感じだな。

 なんか質問はあるか?」


「はい」

 1人の女の人が手を上げた。黒髪ロングだ。そしてかなり美人。身長は165くらい、かな?

 なんとなく、頭が良いように感じられる。

 眼鏡のせい? 

 

「物理攻撃時にAGIは反映されないのですか?

 あと、そうであるならば、いくらかの物理法則は成り立たない、と考えてもいいのでしょうか。」


「ふむ、そこか。

 ぶっちゃけ、この世界は数字が全てだ。

 だが、目に見えない数字もある。


 実演してみよう。」

 

 そう言って、指を鳴らすとそこに岩が現れた。


「これは、HP100、DEF100に設定されている。分かりやすいようにHPバーもだしとくな。


 さて、今からHP1、STR1、AGI1に設定にした隕石を落とす。

 ちょっと離れてろ。」


 隕石!?

 慌ててみんな離れる。


 それを見計らったかのように直径1メートルはありそうな岩が高速で・・・降ってくる。

 

 思わず目をつむってしまう。

 そして、爆音をたてて衝突・・・あれ?

 音がしない。


 衝突しなかったのかな?

 岩のHPも減っていない。


 あれ?でも隕石の方のHPが0/1になってるぞ?


 あ、光になって消えた。


「このように、質量と速度と攻撃力に関係が無いことが分かってもらえたか?

 あ、ちなみに隕石の方は反動で1ダメージくらってロストした。

 ロストすると今みたいに光になって消えるから質量保存の法則とかも無視だな。


 ただ、隕石のAGIは1だが、高速で降ってきただろ。

 これは、重力は数値として参照されているからだ。

 このように、見えないだけで色々と関わってくるものはある。

 これでも、大分現実に近づけてあるからな。」



 えーと、要するに……分からん!

 まあ、基本的には現実と一緒、ということで!

 やってるうちにわかるでしょう。



「まあ、そこまで難しく考えなくてもいい。攻撃力は攻撃力、防御力は防御力ということだ。」


 あ、ちょっと分かったかも。


「じゃ、次行くぞ。

 レベルが上がると、ステータスがHPからSPまでは50ずつ、STRからAGIまでは5ずつ上昇する。

 それとは別に、レベルアップ時に一カ所だけ選んで上げることもできる。上がり幅はそれぞれ違うから気をつけろ。

 

 レベルを上げる方法だが、一つは他のHPを0にすること。モンスターだろうが物だろうがなんだろうと、HPが0になるとさっきみたいに光になって、壊したものに経験値が入る仕組みになってるわけだ。


 もう一つは『ジョブ』に従った行動をとること。

 これは生産職向けだな。逆に戦闘職は少なめに設定してある。


 基本的には生産職と戦闘職でレベルにそう開きはでないはずだ。



 ジョブっていうのは『剣士』とか『鍛冶屋』とかで、スキルを5つ埋めたらそこから判断され自動で決められる。

 あと、固有スキルってのもスキル5つ埋めたら自動的に決定されるから。


 で、スキルについてだが、基本的に枠は5つ。

 それぞれに適した行動をとることで取得できる。

 それとゲーム開始時に持ち物の中にスキルをランダムで覚えられる『スキル石』をいれているはずだから、ぜひ使ってみてくれ。

 

 また、スキルにはそれぞれに熟練度があって、使えば使うほど成長していくぞ。ぱっと見わかりやすいようにレベルもある。



 代表的なスキルは『武装:剣』とか『鍛冶』とかだな。


 前者だと、剣を使った時の攻撃力が上がるし、剣の扱いもうまくなる。後者だと鍛冶の際に品質が上がりやすくなるぞ。



 固有スキルに関しては出てきた後に説明を読め!

 基本的に普通のスキルよりも強力な物が多いはずだ。


 さて、何か質問は?」


「はい!」

 元気よく手をあげたのはポニーテールの女の子。

 さっきの人に負けず劣らず可愛い。

 やや小柄だし、中学生だろうか。

 というか、テレビ写りを気にしてそれなりに美形を集めたんだろうなぁ。


「NPCもステータスとかって設定されてるんですか?」


「ああ。一応だが、NPCではなく住人と呼んでもらえると助かるな。

 人工知能に住人とプレイヤーで教えてあるからな。

 NPCと呼んで、『なに言ってるんだこいつ』と思われても責任はとらん。


 それに、ステータスだけでなく、ジョブ、スキルも持っているぞ。

 ただ、固有スキルに関しては全員が持っているわけではない、とだけ言っておこう。」


「でも、それって何十年もこの世界で生活しているNPCと差がありません?」


「そのため、プレイヤーの獲得する経験値を50倍に設定している。それでも、勝てそうになかったりする奴はいるかもしれんがな。」


「すいません。発言を許可してもらっても良いでしょうか。」

 今度はおじいちゃんだ。キリッとした雰囲気で少しかっこいい。白髪なのに全然老けてみえないな。

 しかも身長もかなり高い。


「どうぞ。」

「今の話だと、住人には1人1人個性があり、その中でも特別な者もいる、ということになりませんか?」

「ああ、そうなるな。詳しいことは秘密だが。」

「ふむ・・・。」

「だが、基本的に住人にはプレイヤーと関わらんよう言っている。

 プレイヤーのアイコンは緑だが、住人は青だからすぐに分かるしな。

 強い住人に簡単に助けてもらって楽チンなんてことには絶対ならん。

 ただ、買い物をしたり、作った物を売ったりはできるぞ。」


 


「あと残ったのは所持金とポイントとか……。


 所持金は初期で10万だ。ちなみに単位はエーンな。

 といっても1円=1エーンだが。



 ポイントってのは様々なことをしたら貯められる。

 魔物を倒したり、物を作ったり、とな。


 これが最終的に順位を決めるものになる。


 ホントに色んなことで貯まるから色んなものに挑戦してみてくれ。」


「質問よろしいですか。」

 物腰は丁寧だけど、かなり筋肉質なお兄さんだ。ラグビーとかやってそう。金髪だし、ひょっとしたら海外出身の方かも。

 

「おう。言って見ろ。」

「成績によっては賞金が貰えるというのは本当ですか?」

「少し違うな。

 現金ではなく、一千万相当のものが与えられる。具体的には秘密だ。

 あと、二位と三位にも賞品はでるぞ。値段は下がるがな。」


 おおー。

 ゲームやってお金ももらえるなんて美味しい仕事だよね。


「あとは、何かあったときは『メニュー』と言ってくれ。

 そこから『持ち物』、『マップ』、『ログアウト』、『GMコール』、『フレンド』の五つの機能が使えるぞ。

 今、『ログアウト』の部分が灰色になってるのは仕様だから気にしないでくれ。チュートリアルが終わったら使えるようになるから。


 さて、ゲーム内の説明はざっとこんなものか。


 質問はあるか?」


 何人もの人が手を挙げる。僕も手を挙げた。

 魔法の使い方だとか、持ち物の仕舞い方とか色々細々とした説明があったけと、カット!



「で、次にこの放送にまつわる細々とした誓約だな。


 まず、応募要項に書いた通り、このゲームは全国放送される。ここでは素顔、実名になっているが、放送の際は加工を加えるし、応募の際に申請してもらったニックネームを使ってもらう。一部は本名バレしそうな名前だったのでこちらで変更させてもらった。


 それはいいな?」


 みんな、一斉にうなずいている。


「よし。

 今回のこれは一年間の専属雇用という扱いになるから給料も発生する。

 衣食住の保証は全てこちらが行うから、その分を差し引いても一年で百万円が終了時に支払われる。


 一位から三位までの賞品はボーナスだと思ってくれ。


 ただ、ゲームをプレイする上での決まりを守れなかった場合は警告、プラス減給。


 それでも行動を改めない場合はプレイ自体をやめてもらうし、給料も無しになる。



 あと、今から言う行為は一発でアウトだから気をつけろよ。

 まず、一つは機器を故意に壊すこと。

 次に、外部に連絡をとること。

 そして、理由無くプレイをやめること。具体的には1日12時間はプレイしてもらいたい。


 この三つだ。


 細かいルールは各自の道徳に任せてもらう。

 あまりにも目に余る行為があった場合には警告となるが、基本、運営としては調整とイベントくらいしかおこさないからな。


 あと、テレビで放送されるってこと考えておけよ?

 下手なことしてもこっちは責任とらないからな?




 こほん。

 ゲームに関わらない話になるが、食事は食堂に行ってもらって、各自に渡した名札を見せればその日の分が貰えるから。

 部屋からでたくなければ内線で呼べば運んできてもらえるぞ。


 もう、知ってるだろうがお前らの部屋には窓もないし、パソコンやらスマホやらの機器も一切無い。

 ベッドと、awex、あとはトイレと風呂くらいしかない。

 これはさっき言った通り、外部と連絡を取れなくするためだ。


 申し訳ないとは思うがこのゲームの秘密を漏らさないようにしてもらうため、そしてゲームを純粋な気持ちで楽しんでもらうためだ。

 それに、D-woの中には本物と変わらない世界が広がっている。そこまで不便には感じないだろう。


 あとは、夜12時から翌日の朝4時まではログインが禁止されている。12時になったら強制的にログアウトさせるからあしからず。

 ちゃんと睡眠もとること。



 ・・・よし!

 説明終わり!


 さて、改めてこの『Dream World』の世界へようこそ!

 このゲームにはストーリーと呼べるものがいくつも存在している。


 このゲームの基幹方針は『異世界』だ。

 何をするかは各自の自由、それこそ剣をとって魔物と戦っても良いし、斧をもって木こりになるのも良い。


 その中で出会いもあるし、別れもあるだろう。


 嬉しいこと、楽しいことがあれば悲しいこと、つらいこともあるかもしれない。


 この一年という短い期間ではあるがどうか皆様にとっての素晴らしい一年になることを期待している。」


 

 黒スーツの男がそう言うと同時に目の前が光に包まれるーーー。

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『神様からチートもらったけど俺yoeee!』
チートもらって異世界転生!?やったぜ、これで勝つる
・・・と思ったら、チートにデメリットがあるなんて聞いてない!
なんだこれ、俺yoeee! というお話です。

『病んでない(自称)な私が愛する人の妻と娘を可愛がる話』
愛している人に妻と娘が・・・これはもうたっぷりねっとりと可愛がってあげましょ「おかーさん! 絵本読んでなの!」やれやれ仕方ないですねえ・・・。
あれ? その娘から実の母のように慕われているのはなぜ?
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