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クリスマス・イブイブ

最初の方、三人称視点になってます。分かりにくかったら申し訳ありません。



 エイトンの町、巨大樹の真下。

 何人かのプレイヤーが集まって、各々が完了させたイベントについて話し合っていた。

 


「はあー。サンタのおっさんも人使い荒いって・・・。」

「大変だったなぁ・・・。モンスター1000匹討伐とか、普通に気が遠くなりそうだったし。」

「終了条件が決まってるだけまだマシだろ。こっちなんて言葉も通じないトナカイの機嫌取りをしろだぜ? 散々走り回って、どうすればいいのか調べまわって、結局は気になるあの子とおしゃべりしたいとかだったんだぜ?

 トナカイの恋愛事情とか知るかってーの。」

「うわ。でも、こっちだって頼みの花月さんがいなくてきつかったぞ?」

「あの人はサンタ相手に戦闘訓練だろ? というか、あのサンタ、レベル70の俺よりはるかに強いんだけど、どういうことなのかね。」

「そりゃあ、まあ、サンタだし。」

「ま、とりあえず一通り終わらせることができたんだ。配達になったらまた呼び出されるらしいけど、それまでの一日くらいは少しのんびりしようや。」

「そうだな・・・って、あいつどうしたんだ? なんか血だらけになってるぞ!?」

「たしか、あいつは屋外班だったよな!? いったい何が・・・!」


「お、おまえら・・・、か、花月さんに伝言を頼む・・・。町の北西に、巨大なSANTAが・・・。ゴホッ。

 たまたま遭遇したんだがものすごい強敵だ・・・。手も足も出なかった・・・。そいつなんだが、よく見たら町の方を目指してるんだ。早く止めないと、町に被害が・・・。」


「なんだと?」


「今、金山が単身時間稼ぎをしてくれているがそれもいつまでつかどうか・・・。くそっ、あいつ、『ここは俺に任せて先に行け!』だなんて、言いたいセリフ第六位のセリフ言いやがって・・・。」

「コイツ、意外と余裕あるぞ。」

「しかし、巨大なサンタとは・・・ボスか? 一応、ボスはもう倒してあるはずだよな?」

「分からん、とにかくイベントでないわけないだろう。花月さんにも頼んで、最悪、サンタ部隊にも手伝ってもらうとしよう。」


「あ、あとは、まかせたぜ・・・。なに、俺も傷が治ったらすぐに追いかけるさ。」

「いや、その傷治すのには時間がかかるだろ。というわけでさっさとデスペナくらって治してこい。」

「え!? ちょ、ここまで瀕死になりつつもデスペナ食らいたくない一心で逃げてきた俺の思いは!?」

「「知らんな。」」



         ◆ ◆ ◆



「はあー。もうクリスマスですねー。」

「ああ、やっぱりあるんですね、クリスマス。」

「まったく、本当は聖人イエス様のご生誕を祝う日だというのに。最近はそこら辺をはき違えている人が多くて困りますよね。」

「・・・。」

「そんな神聖な日に、やれパーティーだ、デートだ、だなんてイチャイチャイチャイチャイチャイチャと・・・!」

「アシュリーさん、本音が出てます、本音が。」


 最近、アシュリーさんが焦り始めているというか、負のオーラを漂わせているというか。

 まあ、同僚二人が職場内恋愛を始めてしまったのだから気持ちは分からないでもないけど・・・。


「ほ、ほら、ミルクさんだってそういう話ないじゃないですか。別に気にするほどじゃな」

「あいつは最近、ブラントさんと良い感じになってます。」


 ヤバい・・・地雷だった・・・。


「それに、ほら! 僕とか、うららさんとか、りんごだってその日には特に何もないですし! せいぜい家でケーキとチキン食べてお祝いしようってくらいで」

「十分満喫してるじゃないですかぁー! 私なんて、当日夜勤ですよ、夜勤! というかそもそも、なんで私には浮ついた話がないんですかー!」


 普段の行いが・・・とかしか言いようがないけど、それを言ったらまた何か言われるんだろうな・・・。


「というか、虎徹君たちにはサンタが来るじゃないですか。」

「え? サンタ?」


 サンタって親がこっそりやってるんじゃなかったの・・・?

 あ、でも、こっちだと実際にそういう存在がいるってことなのかな?


「二十歳未満の人には、その年の行いによってプレゼントをもらえるんですよ? 知らなかったんですか?」

「いや、それは知ってましたけど・・・。」


 そのあとアシュリーさんに色々聞いてみたところ、おおむね”子供の間に語り継がれる”サンタ像のようなものだった。


 しかも、それまでの行いによってもらえるプレゼントの質も変わるのだとか。

 ちょっと、この一年を振り返ってみよう。


 うーん、特に悪いことにも手を染めず、人のために料理を作ったりポーションを作ったりしていたんだから、これはかなりいいものがもらえるんじゃないか・・・?


「あ、でも、サンタを捕まえようとしちゃダメですよ。サンタのプレゼント目当てで襲い掛かる人は数多いですけれど、そのすべてが返り討ちにあってますからね。

 サンタは個人で軍と渡り合える、だなんて言われるほどに戦闘力が高いですから。」


 何そのサンタ怖い。


「フフフ。いいですよ・・・。今年こそ私はサンタを捕まえてみせます・・・!」

「えっと、どうしたの、うららさん。」

「私はこれまでサンタを捕まえようと頑張っていました・・・。しかし目の見えない私では、サンタの気配をとらえることすらできませんでした。」


 うん?


「しかし、今は目も見えますし、魔法も使えます。クロガネも手伝ってくれます。今年こそは勝てる・・・!」


 あれ? まさかまさか、うららさん、現実ではサンタがいないということに気づいていない!?


「ちなみに、うららさん。今までの戦いはどんな感じだったの?」

「毎年毎年、寝ないように頑張っていたのですが、誰かが部屋に入ってきた気配すら感じられませんでした。なのに、朝お母さんが起こしに来ると、ベッドの下だったり枕元だったりにプレゼントが置いてあるのです。」


 うん、気づいてないや、これ。純粋に楽しみにしてる。意外とうららさんって、天然の部分あるよね・・・。


「あ、でも、サンタが来るのって真夜中だから僕たちは起きてられないんじゃない?」


 プレイヤーには12時にはログアウトしなければならないという制限がある。だから準備しても無駄なんじゃ。


「だったらルファちゃんに協力してもらって捕獲用トラップを作りましょう。」


 ・・・。


 その後、僕はルファちゃんやシュバルツ君、りんごたちの協力によって出来上がっていくサンタ捕獲装置を、乾いた笑みで見届けることしかできないのだった・・・。



「あのー、ちなみに、サンタがプレゼントを配り始めるのは24日の日没からなので、意外と12時までにここに来るかもしれませんよ?」

明日は複数回投稿すると思うので、よろしくお願いします・・・。

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『神様からチートもらったけど俺yoeee!』
チートもらって異世界転生!?やったぜ、これで勝つる
・・・と思ったら、チートにデメリットがあるなんて聞いてない!
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『病んでない(自称)な私が愛する人の妻と娘を可愛がる話』
愛している人に妻と娘が・・・これはもうたっぷりねっとりと可愛がってあげましょ「おかーさん! 絵本読んでなの!」やれやれ仕方ないですねえ・・・。
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