VRの世界はここから始まった
VRものが書きたくなった・・・。割と忙しいのに・・、。
とりあえず、今日は一時間おきに三話、明日からは毎日十時に投稿していきます。
ステータスの説明とか、スキルとか一部自分の他の作品と被る部分もあるので、これを読んでみて面白そうだと思えば、『神様からチートもらったけど俺yoeee!!』の方も読んでみてください。(下にリンク張っておきます。)
VR、いわゆるヴァーチャルリアリティーという技術が確立したのは2016年の終わり頃だった。
とはいえ、視覚と聴覚のみに対応、その上コントローラーは手で扱うのだから、臨場感を多少増すといった効果しか得られなかった。
人々は思った。ゲームの中で、リアルと同じように動くのを体感できたら、と。
そんな夢のようなゲームが完成したのは今から40年前、西暦2055年のことだった。
手足につけた器具が筋肉の動きを読み取ることで、本人の動きをゲームの中に反映させることができるようになったのだ。
それこそが後の世で『仮想世界体験型VR』と言われた筐体、『imaginary world traveler』ーーー通称、「i-wot」であった。
最初は大手の有名どころのゲームをストーリーなどそのままにしたものが主流だった。
ドラ○エ、ポ○モン、妖○ウォッチなどを、自分の思うがままに動かせるようにしたものだ。
それらは今までのゲームを流用したものなので、以前できなかったことができるようにはなっていなかった。
例えば、どう見ても隙間があいているにも関わらず、「いあいぎり」が必要になったり、NPCに何度話しかけても同じことしか言わない、などだ。
それから30年の時が過ぎ、人工知能の発達や、データの処理の高速化によってそれらは改善されていった。
めまぐるしいほどのスピードで、それらの問題点は1つ、また1つと潰されていった。
しかし、人間の欲望には限りがないのである。
実際、それらの問題が解決したときに多くの人々が思ったのは「満足」ではなく「不満」であった。
人々は求めた。
「さらなるリアリティを」と。
しかし、ここまで順調だったVR業界は歩みを止めることとなる。
i-wotの限界である。
筋肉の動きから動作を読み取るi-wotでは、視覚、そして聴覚までの再現はできても、のこりの感覚の再現はできなかったのである。
そして、また同様の理由から、障害を持つ人もプレイすることができなかった。
i-wotはその名の通り、「仮想世界」に過ぎない、とされてしまったのである。
ここで、VRはしばしの停滞を迎える。
しかし、10年という長い年月ののち、再びブレイクスルーがおこった。
『完全没入型VR』と呼ばれる筐体の完成である。
それはもはや「仮想世界」ではなく、「別世界」。
ゆえに、『another world explore』ーーー通称、awexと名付けられたそれはi-wotとは異なり、脳から直接情報を読み取り、そして映像のみならず触覚、嗅覚、味覚など、全ての五感の再現を可能とした。
しかし、awexにはi-wotにはなかった問題が発生した。
大きすぎるのだ。
脳へと作用させるために、現実と寸分違わない世界の構築が必須とされたために、処理すべき情報量が数千倍、数万倍へと跳ね上がってしまったのだ。
末端となるカプセル部分ですら、学校の教室サイズの大きさが必須とされ、全てを統括するマザーコンピューターにいたっては、体育館数個分の大きさとなってしまっていた。
各家庭に1つどころか、ゲームセンターに設置することすら難しい。
これでは、小型化のための研究をするどころか、開発費用の回収すらできない、そんな危機的状況にまでなってしまった。
そこで、開発陣はテレビ番組としての放送を通して、資金を回収することにした。
全国から20人の参加者を募り、それらのプレイを放送するのである。
無事にスポンサーも見つかり、新たに専用のゲーム『Dream World~世界が交差するとき~』を作り上げ、大々的にプレイヤーを募集した。
『今まで不可能とされてきた、夢のVRゲーム!
五感の全てを再現し、さらには魔法まで体系化し現実となった、夢の世界!
もはや異世界とすら思えるレベルの圧倒的リアリティをお見せします。
さらには、1000万円相当の豪華景品まで!』
当然のように数千万を越える募集があり、その中からいくつかの理由によって、20人が選ばれた。
それは例えば、日本で剣道の全国一位を取った高校生であったり、生粋のオタクであったりした。
そして、その20人の中には『障害があってもプレイできます!』ということを示すために、足と心臓に疾患を持つ、1人の少年が選ばれていた。
その少年が『Dream World』ーーー通称D-woの世界に足を踏み入れたとき、物語は始まる。
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