冒険者(勇者)の始まり
ギルドのあった場所は実はこの異世界に召喚された広場にあったみたいだ。召喚された場所ですぐに街の人に聞いていればあんなことにはならなかったのに・・・。
「最初の場所だったね・・・。」
ルナは、無言で頷いていた。
「じゃあ、とりあえず中に入ろっか。」
そう言ってルナの手を握ってギルドの中に入っていった。
・・・うわー!スッゲー賑やか!
隣のルナもこの賑やかな雰囲気に圧倒されキョロキョロと辺りを見渡している。
「うわー、スゴイですね♪グラム様、どうしましょう。」
ルナは物凄くはしゃいでいる。
「とりあえず受付の人に話を聞いてみよう。」
そう言って受付の女性に話を聞いてみた。
「あの、ここってどういった所なんですか?最近、田舎から出てきたので勝手が分からなくて・・・」
すると受付の女性は、いわゆる営業スマイルと言うやつでニッコリと微笑みギルドの説明を始めてくれた。
「ここギルドでは、冒険者の登録をして様々なクエストを受注する施設になってます。クエストの難易度によって報酬も変わってくるので注意してください。」
なるほど、ここが前の世界で勇者たちが言っていた冒険の拠点って言っていた場所なのか・・・思っていたものよりも粗悪な気がするがさすがに城とはくらべられないもんな。
そんなことを思いながら冒険者登録の手続きをおこなっていると「ここに手をかざしてください。それであなたの基礎数値が分かります。」と言われたので水晶に手をかざしてみる、すると、ギルドの女性職員が驚いた顔で「ありえない、ギルド創設以来初めてですよ!オールSの冒険者がいるなんて・・・。」と絶句していた。
「じゃあ、私もやります!」
そう言ってルナも水晶に手をかざすと数値があらわれる。
「あれ?水晶玉もしかして壊れてるのかしら・・・」
ギルドの女性職員が首をかしげている。
「お姉さん、お姉さん、私はどうだったんですか?私もグラム様と同じでオールSとかですか?」
目を輝かせながら女性職員に聞いている、女性職員は疑問に思いながらも内容を説明する。
「ルナさんは、俊敏さと魔力以外は至って普通なのですが俊敏さがA+で魔力が測定不能ってなってます。ゼロだと測定不能じゃ無くてゼロって出るから、測定不能ってS以上って事になるんだよね・・・スゴすぎる。」
スゴいなルナ、俺以上の魔力を持っているって事か・・・。
その後冒険者の登録は順調に進み登録は完了した。
「グラム様~!終わりましたね登録!さっそくクエストを受注して少しでも皆さんの役にたちましょう!」
ルナはそう言ってはりきっている。
「確かにクエストをこなしてお金を稼がないと宿代やご飯代とかが必要になるからな・・・とりあえず何かクエストを受けてみるか。」
そういって俺とルナは、受付に行きクエストを受けることにした。
「お姉さん、とりあえずお金が稼げるクエストを受けたいんだけど何がある?難易度は気にしなくていいから。」
そういって受付のお姉さんにクエストを見繕ってもらう。
「では、こちらのモルジアナの秘宝を珊瑚の洞窟から回収してくるクエストなど、いかがですか?回収してきた秘宝は、クエスト受注者のものになりますし、報酬も高いクエストになってます。」
なるほど、モルジアナの秘宝も手に入り報酬も手に入る、何か物凄く都合のいいクエストだな?
「少し気になったんだけどこのクエスト難しい?」
お姉さんは、営業スマイルで「この街で受けられるクエストの中では1番難しいですね♪」とにこやかに言いやがった。
「大丈夫ですよ!私とグラム様が受けるんですから!そのモブとアサ?とか言う秘宝は私達のものですよ!」
ルナはそう言って俺の身体を揺すってくる。
「わかったからルナ、わかったから身体を揺すらないでくれ、それとルナ、モルジアナの秘宝だからな?お姉さんそのクエスト俺とルナの2人で受けることにした。ちなみに冒険者用の装具ってどこで買えばいいですか?まだ何も装具を持ってないんだけど。」
お姉さんは、何かを思い出したのかギルドの奥へ行ってしまった。
「グラム様、彼女どうしたんでしょう?」
さぁ?俺もさっぱり分からない。
お姉さんはすぐに何かを持って戻ってきた。
「すみません、お待たせしました。新規の冒険者の方にはギルドからビギナー用の装具引き換え券を渡してまして、この街の装具屋に行って券を渡せばビギナー用の装具と引き換えてくれるので使ってください。それとこれがこの街の地図です。モルジアナの秘宝がある珊瑚の洞窟は、街を出て東に行った海岸沿いにあります。気をつけて行ってらっしゃい。」
そういって引き換え券と地図を渡してくれた。
「じゃあグラム様、さっそく装具屋に行きましょう!」
そういってルナは俺の腕を引っ張り外へ行こうとする。
「ちょっとルナ、行くから引っ張らないで!?先にもらった地図で場所を確認してから行こうよ!」
ルナにそう提案するが、「大丈夫です!歩きながらでも地図なんて見れます!だからとりあえず行きましょう!」
そう言われルナに俺の提案は却下されてしまった・・・今、分かったのだがルナは頭で考えるよりも身体が先に動くタイプみたいだ・・・。
これから始まる元勇者討伐が思ってた以上に大変な事になるなと思う事と同時に魔王の頃には絶対に味わえなかった仲間と冒険へ出かける、しかも元バハムートとはいえ異性の人と一緒に。嬉しい様な、本当に大丈夫なのか?という不安もあって感情がゴチャまぜになってるけどただ1つ言えることは俺は新たな1歩を踏み出したということかな。
そんなことを思いながら地図をひろげながら
ルナと一緒にこの街の装具屋にむかって歩き始めた。