俺(魔王)が勇者に!
目の前にいる女神は、「ちょっと!思い出に浸るのは早すぎるわよ!てか、早くこっちに気づきなさいよ!あんた、それでも元魔王なの?」何て女神とは思えない言葉づかいで罵倒され、もう目が点だよ。
「あの~創造神今の俺の状態を教えてもらえるか?」
まったくもって今の状態が分からない!
ってか笑ってんじゃねえよ!
「いやー、ごめんごめん。あのね、君は勇者に両手、両足を切断されたあと数十ヶ所も刺された後、首を切り落とされ絶命したんだよ。それで死んじゃった異世界の君(魔王)を私の世界に転生させてあげようと思ってね♪」
あぁ~、そういえば結構な殺され方だったな・・・ってか俺の身体大丈夫か!?
「うん、大丈夫だよ。だって君、思念体だもん!」
「マジか!!つーか何で思ってることが分かるんだ!」
「いや、だから君は思念体だって言ったじゃないですか・・・君って馬鹿?」
なんだこの女神・・・本当に女神なのか?。
「本当に女神だけどなんで疑問に思ったのかな?」
いや、自分自身の態度を思い出せよ、言葉づかいスゲー悪いし、品がないし、見た感じ腹黒じゃん・・・女神要素が1つもない。
「だから、君は思念体だから思ったことがバレるって気づかないのかな?本人を目の前にいるのに堂々とそんなことを言っていいと思ってるかな?」
スゲー本当に口にしなくても思ってることが伝わってる。じゃあ女神様が綺麗で物凄い美人で顔を直視出来ないってばれてるのかな?
「あら、そうなの?やだな~私は女神で創造神だから君に求められても応じることは出来ないのごめんね、あぁ私って何て罪作りの女神なんでしょう美しすぎる自分が嫌になっちゃう。」
「創造神様、そろそろ本題に戻りますが俺は貴女様が世界に転生し何をすれば良いのですか?」
「勇者になって!」
へっ?何で元魔王の俺が勇者になるんだよ。
「あら、やっぱりそう思う?」
「いや、当たり前だろ!俺、元魔王だぞ!それがなんで勇者になるんだよ!理由を聞かせてくれよ。」
「いや、それがね・・・私の世界にも魔王と勇者っていたんだけどね勇者が魔王を倒してハッピーエンドだと思ったんだけど勇者が魔王城を乗っ取ってやりたい放題、終いには私の言うこと聞かないし先代魔王と融合して新時代の神だとかほざくしもう手がつけらるない状況になっちゃって・・・だから元勇者を討伐してもらいたいから元魔王の君に来てもらったってこと!」
「なるほど・・・要するに女神様の尻拭いを俺にさせようと、そういうことかな?」
「まぁ、そういうことかな?・・・だめ?」
「ダメに決まってるだろ!俺は普通の村人に生まれ変わって普通の生活がしたいんだよ!勇者になんかになりたくないんだよ!」
「うるさい、うるさい君は勇者になるの!なって私の世界の元勇者を倒すのそれで私の世界に平和をもたらすの。だから君が魔王だった頃の能力は引き継いだままでいいから私の世界に転生してもらうからね♪ちなみに1つだけ何かを持っていってもいいけど何か持っていく?」
「何が持っていけるんだよ?・・・。」
「とりあえず、君の能力は確定として、あとは例えば聖剣とか特殊能力とかだけど何がいい?」
「俺の世界にいた幹部たちでもいい?」
「さすがに君の幹部たちは我欲が強いからなぁ~・・・あっ!でも君の所にいたペットなら君に対して絶対の忠誠心があったから人の姿に変えて君のお供にしてもいいよ、でもその場合そのペットちゃんは火とか吐けなくなるけど身体能力は補正しておいてあげるよ。どう?ペットちゃんでいい?」
「確かに1人で異世界に放り出されるよりはペットでもいいから知り合いと一緒の方がいいのは言うまでもないけど・・・。」
「じゃあペットちゃんと一緒に転生でいい?」
「ちょっとは、考える時間をくれよ!
そんなにいろんなこと言われてすぐになんて決められないって!」
創造神 (女神?)は顔をブス~ッとしてこっちを睨みながら
「ヴィエラお姉ちゃんの世界の魔王で本当は勇者よりも強くて慈悲深いって聞いたからお姉ちゃんに無理矢理言って私の世界を守ってもらおうとしたのに・・・やっぱりヴィエラお姉ちゃんは嘘つきだ・・・。」
「ヴィエラお姉ちゃん?もしかして俺の世界にいた女神、ヴィエラのことか?」
いつも崇拝していた女神の名前が出たので思わず聞いてしまう。
「そうだよ、私のお姉ちゃんだよ。私は女神ヴィエラの妹で女神ヴァネッサって言います。お姉ちゃんに私の世界のことを相談したら信頼できるって言うから頼んだんだけどお姉ちゃんも人を見る目が無いよね・・・こんな魔王を頼るなんて、あとでお姉ちゃんに文句言っておこう。」
崇拝していた女神がこんなに文句を言われるのは気分が悪い。
「分かったよ、お前のお姉さんが間違って無かったって俺がお前の世界を救って証明してやるよ。」
女神ヴァネッサは目を輝かせこちらにやって来る。
「さすがお姉ちゃんが見込んだ人!ありがとう!お願い、力を貸して!ちなみにさっき言ってた転生特典は、君のペットちゃんでいい?」
女神ヴァネッサが聞いてきた。
「もちろん、早く転生させろ。俺がお前の世界を救う勇者になってやる。」
女神ヴァネッサは涙を浮かべ微笑みながら
「分かった!ありがとう、私の世界を君に任せます。みんなを、世界をよろしくね♪勇者グラム。」
それが転生する前に聞いた最後の言葉だった。