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「初心者VRMMO(仮)」小話部屋  作者: 神無 乃愛


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デートをしよう!

HJネット小説大賞一次通過お礼小話、第二弾です。

少し未来のお話です。



 昔はよくゲームに繋いだのに、結婚してからとんとご無沙汰になった。


 そう思ったのはりりかだけではないようで……。


 りりかは夫である一弥からデートに誘われた。

「え? ちび達は?」

「双方親が見てくれるって。祖母ちゃんも見たいって言ってたから泊りがけだってさ」

 実家まで二家族で会いに行くのね。あっさりと理解できた。


 幼子に対するVR規制はかなり厳しい。二家族とも血とゲームで繋がっているに等しいのに、ゲームなしで大丈夫なのだろうか、と思ってしまう。

 ちなみに、りりかと一弥の子供は男女の双子。そしてやんちゃ盛りの三歳児だ。二人いれば、どこにでも泊りに行けるという大変ありがたい体質だ。……これがどちらかだけ泊りに行くというのは出来ない。同じ日、違う場所も駄目。なので、預かる方も苦労が五倍らしい。

「今回()大丈夫だって言ってた」

「……誰が?」

 双方の両親が「もう無理!」と騒いだのが数回ある。りりかとしては、いくら一弥の言葉とはいえ信じられないのだ。

「祖母ちゃん」

「……なおさら不安」

 最高齢の「大丈夫」が怖いと思ってしまう。料理と掃除は最高だが、体力が持つかな……というのが正直なところ。

「何とかなるんじゃない? 俺らも近場に泊まれば」

「ウン、ソウダネ」

 ……しばらくは昔のようなデートは無理そうだ。



 子供を祖母宅に預けに行くのは、二人で。子供たちも「かわいいばばちゃ」と慕っている。ちなみに、一弥の父方祖父に対しては「がんこなじじちゃ」、りりかの母方祖父母は「ちっちゃいじじちゃとばばちゃ」らしい。これに対して二人からは異論は出ない。


 出ないのだが。

 どこの誰だ!! 「おっかないばばちゃとひげのじじちゃ」は!?

 一度美玖がお世話になっている禰冝田の方かと思ったが「ひげのじじちゃとおっかないばばちゃはふーふなんだって!」という言葉で、違うと判断したのは、双子から聞いた親たちだ。



 それはともかく。二人が出かけるのは久しぶりの水族館だ。

「うわぁぁ。久しぶりにゆっくり見れるっ」

 何せ、平日。一弥は有給消化というノルマを上司に突き付けられ、納期が押す前にと慌てて取ったのだ。色々予定を組めなかった。余談だが、カレンダーの休みの他に病床休暇(有給と無給あり)、そして理由なく休める有給休暇が二十日ほど。まともに使うことなく、余っていた。現在勤める会社は有給を全部使うと「優秀手当」なるものが賞与と共に出るらしい。使えなかった分を買い取ってくれるらしいが、「優秀手当」のほうがうまみがあるとか。……どんな会社だ。

 りりかは現在パートで働いている。もちろん有給なんてない。今日だって交代で休みなだけだ。

「……羨ましすぎる」

 今日のデートでお土産をパート仲間にたかられたりりかは、なおさら思うのだ。

「で、土産は」

「無難におかし。異論は認めない」

 時々文句を言う同僚もいたりする。知ったことではない。



「りりちゃんだっ!!」

 イルカショーの見れるプールでいきなり抱きつかれた。

「美玖ちゃんっ!!」

 まさかこんなところで可愛い従妹に会えるとは思いもしなかった。いきなり会おうとして会える状況には程遠い。


 そんな可愛い従妹との抱擁を邪魔する者が一人。

「ジャッジさんのいけずっ」

 りりかは美玖の恋人である保に食って掛かった。相変わらず狭量の狭い男だ。

「黙れ。俺だって昨日までの出来事でストレスMAXなんだ。なんで他の奴に美玖といちゃつく権利を与えなきゃならん」

 己に抱き着いていたはずの美玖は既に、魔王(たもつ)の腕の中だ。解せぬ。どこかにこの魔王を倒せる勇者はいないものだろうか。

「あ、りりちゃんといっくんにね、お土産あったのっ! おばばさんとお祖母ちゃんが会うからお願いしちゃった!」

「へぇ、どこに……」

 どこに行っていたの、と言おうとして固まった。

「えっと、ばあちゃんと禰冝田の方が会うのはいつ?」

 りりかよりも先に復活したのは一弥だった。

「今日だって」

「……」

 ちょっと待て、ということは……。

「うちのちび達と会ってるってこと!?」

 一弥とりりかの声がはもった。

「らしいな。あの陰険策士様を前に『おっかない婆』って言ったらしいぞ。さすがお前らの子供」

 うっわぁ。思わずりりかは頭を抱えた。

「りりちゃん、大丈夫だよ。おばばさん優しい顔で笑ってたから」

 あの人を「優しい」と称せるのは従妹だけで。他は保の言うように「陰険策士」とか「裏ですべてを牛耳りほくそ笑む女傑」などと言われているのだ。

「……ひ、ひげのじじちゃは?」

 誰だ。禰冝田系列で会ったことのある人か!?

「おばばさんの話だと、『禰冝田の長老』って呼ばれる人だって」

「放浪癖があって、ポアロのじいさんとも知り合いらしいな」

 二人の知らないところで、そういう大物と知り合いにならんでください。


 どうやら二人の子供は大物に気に入られ、着々と「教育」を受けているらしい。


 願わくば、保のような大人にならずに、と心の底から思った。


マープルお祖母ちゃんの「大丈夫」は女帝が一緒のためです。本能で逆らってはいけないと分かってしまった模様(どんだけ怖いんだ)

二人の子供は思いっきり甘やかされつつ英才教育中。

因みに女帝と長老は再婚しておりません(これ重要)

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