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「初心者VRMMO(仮)」小話部屋  作者: 神無 乃愛


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「嘘」にまつわるエトセトラ ――その三――

いつもありがとうございます。

エイプリルフール企画その三です。


 昌代(まさよ)嘉一(かいち)の場合


 美玖の保護者を誰にするか、というのはいつまでたっても平行線を辿っている。

 美玖は昌代と一緒にいることを選んだが、「老い先短い人間を保護者にするのはちょっと」と堂々とのたまっている年代がいるためである。

 どこまでも邪気のない美玖は、禰冝田家の中枢近くの人間に大変可愛がられている。己の子、孫よりも可愛がるのは如何なものか、というのが嘉一の意見だ。

「子供が年齢を重ねただけの奴が言ったところで誰も相手にせぬわ」

 あっさりと昌代がぶった切った。昌代も実子はいないのだが、代わりに妹の忘れ形見であるさゆりとその娘、悠里がいる。

「私一人冷静なのって、小動物ちゃんに会ってないからって言うのもあるんだろうねぇ」

「無きにしも非ず、じゃな」

「昌代が陥落すると誰一人思ってなかったじゃないか」

 それどころか、腹黒の集まり……というよりも陰謀渦巻く禰冝田家中枢にかかわるほとんどの人物が可愛がりまくっている。そらもう、可愛がっていないのは、美玖と同年代から下だけじゃないかと思うくらいに。

「何でなの?」

「教えを乞う態度がいいのが一つじゃな。あとは礼儀正しい。それにネットゲームをしておれば、ネームバリューがものをいうようじゃ」

「小動物ちゃん、ゲーマーじゃないでしょ」

「美玖の母方祖父母じゃな。我も知らなかったが、ポアロとマープル夫妻と言えば、大体通じるらしいの」

「……ポアロさんは知っているけどさ。禰冝田(うち)でも、確かポアロさん亡くなったときに、お悔やみしたはずだし」

「お主の人脈は広すぎじゃの」

「人のこと言えないでしょ。……ポアロさんが亡くなる間際まで心配していた子が小動物ちゃんってことか」

 嘉一は何度かゲーム内でとはいえ、ポアロと顔を合わせていた。だからこそ知っていたといえる。というか、ポアロという名前に変える以前から、嘉一は知り合いである。

「……参ったな」

「どうしたのじゃ?」

「会いたくなった」

「却下じゃ」

「昌代のいけず」

 嘉一がふくれっ面をしたところで、何とも思わない。そんな態度のまま、昌代は茶をすすった。



 昌代がいつものように情報交換をして帰った後、嘉一はすぐさま動いた。

「出かけてくるから」

「行ってらっしゃいませ」

 放浪癖を知る家人は、誰一人嘉一を止めない。その代り、昌代に知らせる。


 いつものごとく、あちらこちらにより、目的の場所へと向かう。

 今回の行く先は禰冝田医療本社だ。

「長老! 来るなら来ると! 放浪しながら来るのはやめてください!!」

 髭もぼさぼさのままに社屋に入ると、役員に怒られた。

「いやさ、内密に昌代のところに行きたかったんだけどさ」

「また無茶苦茶な」

 役員たちが呆れていた。


「悠里に頼んでみます」

 孝道が観念して、立候補していた。


 そして、嘉一が昌代のいる保養所についたのは、四月一日だった。


「何をしに来た! 帰れ!!」

 塩を撒く勢いで、昌代が怒鳴る。

「相変わらずですわね。お二人は」

 呆れた悠里の傍で、美玖は保の腕に守られている。

「さすが元夫婦。掛け合いも様になっていますわ」

「つまり、じゃれあっていると?」

 保の唇が不敵に笑みを描く。

「そのようにしか思えませんわ」

「今日はエイプリルフールだからな。邪険にしているのが()なんだろうよ」

 その言葉に美玖が目を丸くした。

「これが『喧嘩するほど仲がいい』ってやつなんですね!」

 違うから。そう悠里は言いたかったが、あっさりと保が肯定した。


 これにより、昌代と嘉一の再婚話が現実味を帯びたという。




時系列としては、その二と同時期です。

つまりは、保から昌代に対する嫌がらせも含んでおります

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