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「初心者VRMMO(仮)」小話部屋  作者: 神無 乃愛


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美玖と女帝と保の初めての年末年始 その2

 そんな事情を他社のデスマーチに巻き込まれた保たちは全く知らず。

 挙句、「付き合い」と称され、おせちだけに留まらずオードブルなども頼まれていた。


 今までの無知っぷりからほとんどおせち料理も雑煮も食べたことがないだろうということで、隆之、隆二父子とも話をしてそれぞれがものを買ったのだ。


 保はおせちを、隆之はオードブル、そして隆二は年越しも楽しもうと生蕎麦を。小分けに保存しておけば三が日にのんびり食べれる。そう計算していたのだが……。


 大晦日にその夢は破れることになる。


「うっわぁ。俺らが買ってきたやつより本格的」

 台所に向かった三人を代表して隆二が呟く。しかも、狭山が蕎麦を打っているという場面に出くわしたのだ。

 その頃にはおせち料理のほとんどが出来上がり、保管されていたのだ。

「お主らが大量に仕事を入れたうえでゲームをしとったツケじゃな」

 楽しそうにほくそ笑む昌代を見て、三人は何も言い返せなかった。


「つか、八人分にしちゃ多すぎだぞ」

「正月は我が呼んでおる者だけでなく、呼んでおらぬ者まで来るからの。茶置きがてらあれば便利じゃ。さて、久方ぶりに我以外が作ったおせちも楽しむとするか」

 買ってきたと知っても、昌代はそれで済ませてしまう。「食べ比べをすればいい」という一言で済ませてしまったのだ。蕎麦は? という疑問も、狭山の打った蕎麦と市販の蕎麦の両方を食べ、作りすぎてしまった蕎麦は揚げてかりんとうにするから大丈夫だとまで豪語した。

「正直、この季節は買い物に行くのが億劫になるもんですから。我々も保管していた食材を種々多様に利用するわけですよ」

 狭山たちが笑いながら補足をしてくる。


 ネットで注文できるといっても、ものが届くまでに時間がかかる。理由は一度禰宜田の家を経由するからだ。

 危険物がないかなどを確かめるということと、昌代と美玖がいる住所を外部に漏らさないための措置だ。


 実際、保たちがプログラミングやPC作成・設置などの依頼を受ける時にネット上で受ける場合は禰宜田家のホストコンピューターを経由し、暗号化されて送られてくる。暗号は保たちそれぞれが決めたものになっており、禰宜田家では誰一人どんな内容か分からない仕組みだ。


 それゆえ、昌代は保たちがどれくらいの仕事をこなしているかなど分からない。動きで何となく想像つくくらいなものだ。



 そんな話をしているうちに、来客が来た。

 来たのは義道とさゆり夫婦だ。

「お義母様、花活けがてら参りました」

 そう言うなり、台所の惨状からすべてを察したらしい。

「ここで市販のおせち料理が食べれるとは思いませんでしたわ」

「しかも今回はいつにもまして豪華だ。オードブルまである」

「ふふふ。悠里たちに持ってこなくてもいいと伝えましょうか?」

「いや、こ奴らは八人分しか買っておらぬ。ないよりある方がいいと思わぬか?」

 そんなこともあり、元旦にはテーブルに所狭しと料理が並べられた。


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