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「初心者VRMMO(仮)」小話部屋  作者: 神無 乃愛


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シュウへの報復3


 PvPはシュウの負けで終わった。


 そんなシュウをその場にいた全員が嘲笑う。

――臆病者――と。


「くそっ」

「俺、かなり手加減したんだけどね。魔法の使い方は『TabTapS!』(むこう)と違うからさ。得意な魔法もあえて使わなかったんだけどね」

 さらりとイッセンが追い討ちをかけてきた。

<イッセン、弱い者虐めは君らしくないよ>

 自動翻訳が作動して、近くにいた別の男がたしなめていた。

<俺がしたのはただの報復。俺の大事な妹分を傷つけたやつだから>

<それは失礼。だが、「安楽椅子」の中でする必要はあったのかな?>

<あった。そうしないとこいつは臆病で逃げるから>

 それだけ言うと、イッセンは厨房の中へ入っていった。


<おや、ジャッジさんとジャスティスさんですか。お二人が揃うところを見るのは久方ぶりです>

「まぁな。ちょいっと嫌がらせとばあさんに嬉しい伝言を持ってきた」

<あなたも彼に嫌がらせをするつもりですか?>

「俺はこいつの無知を見て楽しむ。それが嫌がらせ」

<では、マープルさんへの伝言とは?>

「!!」

「陰険策士様が言ってたが、ホントに無知なんだな。お前は。この店はあいつの母方の祖父母がβ版の頃に作った店。そして今でも続くプレイヤーの憩いの場」

 時間がモノを言う、それだけではないとジャッジは言う。

「皆、じいさんやばあさんの人柄に惹かれてこの店に立ち寄るんだ。ばあさんに変わりはないか、ログインしない理由をばあさんの身内が何か知ってないか、その為だよ」

「だからこその殿堂入りとポアロさんが亡くなった時に運営会社を通じて何人ものプレイヤーがその死を悼んだ」

 ジャッジの言葉に繋げるようにジャスティスが言う。

<だからこそ、このゲームで初めての殿堂入りを果たした。それ以前からここはたくさんのプレイヤーが集う場所だったが、尚更集まるようになったね>

「ま、これが人徳だな。俺には無理」

 あっさりとジャッジが言う。

「あらあら、ジャッジ君はうれしいことを言ってくれるのね」

 見た目は二十代のエルフの女性が話に入ってきた。

「事実。現実でもかなり近所づきあいがあるってあいつが言ってたぞ。近所とお裾分けし合ってるくらいだって」

「あら、あの子だってうちに来るときにご近所さんから色々もらってくるんだけど。うちに持ってってくれって言われるらしいけど、本当はあの子に渡したいからなのよ」

「そのあたりはじいさんとばあさんのおかげだって言ってたぞ」

<日本人は謙虚だと言うが、そこまでいくとただの嫌味だ>

「ルーファス、安心しろ。俺は(、、)わざとだ。あいつは自己評価が低いからどうしてもそういう言い方しか出来ない」

<それは失礼。マープルさんも謙虚になりすぎないでください>

「そうね。……当たり前のことを当たり前にやって、他人(ひと)に評価してもらっただけよ」

 しれっとマープルが言い、厨房に戻るが、他の面子からの威圧が半端なかった。



 日付が変わりそうになるくらいの時間に、やっと友人は来た。

「いつまで待たせる……」

「シュウ、今日は最初からこの時間じゃないと俺は無理だって言ったよな?」

「なっ!?」

「あの時それを無視したのはお前だろ? この店にお前を連れてきてくれって言ったのは確かに先輩だけど、俺はお前を信じてたつもりだった」

「どういう意味だ!?」

「誘ったのは俺だけど、互いに時間が合わなきゃ無理なんだよ。だから時間を合わせようとしたのに、お前は俺の予定を無視した。

 悪いけど、他にもこの店には同じ大学のやつらがいるから、事の顛末は大学内にも伝わると思う。俺はお前に二度と関わりたくないから、大学辞めるし」

 ざわりと周囲がまたざわついた。

「お前の自己中なやり方にはもううんざりだ」

 それだけ言ってジュークは店をあとにしていた。



 そして、ジュークの言葉どおり大学内に「我が侭、短気、卑怯者」というレッテルを貼られ噂されることになった。


一応、これにて終了です。

桜祭りは別に書きたいと思っています。

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