あの人 ~沈んだ記憶~
家族問題&学生恋愛を取り入れつつ、感動できるような作品にしたいです。
「お前もママの味方するんかぁ!俺の娘じゃない。」
父は、私が十一歳の頃に亡くなった。
死因は自殺。
遺書には、
『別居なんかしたくなかった。二人の娘との別れが寂しすぎる。一人で生きるくらいなら死んだほう楽 だ。』と記されていた。
父の両親は既に亡くなっており、私たちが出て行ったあと、祖父の残した一戸建てと祖母の遺産のみで暮らしていたらしい。一応、叔母が準備したあの人の葬儀には母と私と妹家族三人で出たものの、私たちは涙の一つ浮かべることができなかった。
ただ、葬儀の途中、私の頭に嫌な記憶が蘇ってきた。あの人は覚えていただろうか。
両親の喧嘩を見て、
「ママをいじめないで!」
と言ったあとに、当時二歳の私を泣かせたあの一言を。
だけど私は、その次の日にあの人から言われた何か大切な言葉だけを、なかなか思い出せないでいた。
つづく。
ありがとうございました!