鐚戦
鐚戦 ep6. 宴 を抜粋
依頼者:男爵 領府
“現在、子爵軍の主力 艦隊が、わが男爵領の一部であるワダン島へ向けて移動中だ。
表向きは、『軍事 演習』となっているが、実際は軍事 侵攻だ。目的は同島の占領と思われる。
これまで子爵領は、諸侯からの支援もあって目覚ましい発展を遂げてきた。
あと百年もすれば かつての栄光を取り戻すと見られていたが、代替わりから こちら、かつての領地を取り戻すと称して周辺 地域への侵略を開始。諸侯からの非難を受けても、なお 留まる気配が ない。
近年は、
『今や、子爵軍は 世界 最強の公爵軍とも渡り合える!』
などと豪語しているが、実際には わが男爵軍 単独でも殲滅 可能なレベルでしかない。
公爵 領府からの支援の申し出もあり、この際、身の程を思い知らせるチャンスだったのだが、ここで子爵軍の将校グループから内密に書簡が届いた。
『この度の艦隊 行動は あくまで演習である。一部の艦が島に接近する事はあるが、これは艦 同士が ぶつからないよう、艦隊を広く展開しているためであり、侵略の意図は ない。』
とのことだ。
実際、現時点で敵 艦隊は艦 同士の距離を広く保っており、敵 艦隊 司令部こと、旗艦への接近ルートは ガラ空きだ。
そこで、守りを固める時間を与えず 一気に接近して撃破できるよう、多段ブースターを用意した。
目的は、敵 旗艦の撃破、及び、それによって艦隊の撤退を促す ことだ。くれぐれも他の艦には、手を出さないでくれ。”
前金 180,000圓
後金 240,000圓
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「艦長。敵 旗艦の座標から感。かなり、大きいです。」
(予定どおりか。Vitaが撃沈してくれたようだな……)
「よし。出撃 待機中の水中メカ、待機 解除。あとは、お客さんが当該 海域から撤退するまでの辛抱だ」
「……子爵 艦隊も、まさか我らが真下に潜んでるとは思わんでしょうな。」
「そうだな……。まだ未熟、と言うことだ。」
(……もっとも、ヴィータの連中は感づいていたようだが……)
~その後の男爵領~
子爵軍は、見た目だけのハリボテ軍隊。
新 子爵が自慢できるのは、血筋だけ──もとい、先祖の栄光だけ。
それを神輿に好き放題しよう!とおだて上げ、担ぎ出した人たちの支持の元、新 子爵は恐怖 独裁を行い、粛清や弾圧など 暴政が続いた結果、政治も経済も軍事もズタボロ。
しかし、悪いことに そのハリボテを新 男爵が有効 活用。
子爵軍の脅威をがなりたて、軍事 予算を拡大。
かつて多くの領民たちが侵略を是とし、その熱烈な支持の元で先々代の男爵が戦に明け暮れた頃と同じ体制に戻そうとする。
(先々代は公爵軍に打ち負かされ、領地は焼け野原に……。侵略に反対して弾圧された者たちが、公爵から提案された平和 路線に賛同。以降、男爵領は平和を謳歌。)
新 男爵は、平和 路線を'公爵から押し付けられたもの' として撤廃、駐留する公爵軍を自領から追放し、軍拡へと突き進もうと目論む──




