プロローグ
キラリと輝いた1.5㎝の球体は、中に三つの色線が入っていた。
この国の人々は、初めてお目にかかるであろうビー玉。
ワシのつくるビー玉は、母国でも最高峰と言われた一流品。
自信作だ!
主の手の中で転がされている球体の色線は、さらに増やすことは実はできた。
だが、しなかった。したくなかった。
どうせ、何の変化もチャンスも追加で与えられることなどはない。
ならば!
宝石よりも透明度を!宝石より強度を!
職人気質は、妥協を許されなかった。
ワシの知識と経験を込めた人生をかけた錬金術師としての初仕事。
役目は完璧と他者に見栄を張れるモノを提供すべきだ。
実際王はそのビー玉を褒め称えた。
「美しい……このようなモノはみたことがない……コレは素晴らしいモノだ!」
魔術が込められたこの国で初のビー玉に感動している仕えている王は、まだ若かった。
御身16のはずだ。
不老不死の国と他国で謡われ、眉唾物と思いも入国してわかった。
この国は先代までに構築し、受け継いだ国内水周りの衛生面がとてもよく、他国よりも病気にも老けた身体にもなりにくい。
だから、ワシは三本のだけ授けたその事実を、この王は果たして理解をしているのか?
正直どうでもよいか。
ワシは最高峰の仕事を全うできたのだからな。
「身に余るお言葉でございます」
この国の臣下の礼儀、45度頭を下げ、胸の位置に利き手だけ添えるポーズを取る。
「我が王と、我が王の国に、永遠なる繁栄を!」
「世は、コレで願いが叶うのだろう……いままで苦労かけたな……ありがとう……」
まだ耳に残るねぎらいの言葉。
王の言葉は常に甘い。
その声にまだ委ねられていたい。
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