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次の人生何しよう?  作者: ずうぉるふ
9/19

守りたいもの

ーー


教会に来たはいいけど、地下ってどうやって行くんだ...。


一応索敵魔法をしたら魔力がみなぎっていたので安心した。魔力の反応がないと生きている確率は低いからな。


まず、人を匿っていたのだから食事を運ばなければならない。ましてや子供、あの院長様が育ち盛りの子供に3食与えないわけがない。


人知れず何度も地下に行くにはどこから...?しかも食事を運んで。


「...」


作るか、道。


「おーい、院長様から君を預かるように言われたギルフォードでーす、今から天井ぶち破っ...」


ギィッ


少年が祈祷室から出てきた。そこから入るのか!確かに院長様よく行ってたな。


「...ギルフォード?」


「そうだよ、さっきも言ったけど俺が君を預かることになった」


「...院長様に何かあったんでしょ、僕はライアン・グロスター、よろしく」


...グロスター?!王族か、そりゃぁ尊いわな。


「君、歳は?」


「6」


「落ち着いてるね、実はさっき院長様は亡くなった」


子供だが一応伝えておこう。


「...そうなんだ、教えてくれてありがとう」


「じゃあこれから俺は君のことをライって呼ぶ、本名で呼ぶ訳にも行かないからね、あと敬語も使わない、不敬なんて言わないでよ?俺のことは好きに呼んで」


「分かった、じゃあフォードって呼ぶ」


正直、ギルかギルフォードって呼んでくるかと思ったが...。


「良いね、気に入った」



決めた、新しい名前をくれたこの子を立派に育て上げよう。




「まず街に行こう、冒険者ギルドに行って冒険者登録がしたい」


「分かった」


「まだ夜中だけど早くここから移動した方がいいと思うんだ、良いかな?」


「うん」


「ありがとう」


本当は皆の埋葬をしたいけど万が一犯人が戻ってきて生存者がいるとバレたら大変だ。

そして犯人はライを狙って孤児院を爆破したのだろう。となると犯人は王族、国王か、王太子...。国王は危篤らしいし、まぁ王太子の仕業だろう。王太子の座を脅かされることを恐れた結果か。


...。


隠されていた子供、王太子の座につけるほどの血筋...。確か前王は側室が多かった、その中の異国の姫が前王の子を身ごもり逃げ出したと大騒ぎになっていたはず...。噂では始末されたと聞いたが、もし前王が密かに逃がしていたとしたら...?そしてその子供が家族を作ったとしたら...?

年齢的にもライは先王の孫として辻褄が合う。王太子の従兄弟で祖父母が両方とも王族...。


「ライ、両親のことは覚えてる?」


「あまり...でも母は伯爵令嬢、父は尊い人だと院長様が言ってたよ」


申し分ない血筋だな...王太子が始末しようと考えるのもうなずける。


しっかり守らないと...。


ーー


ライのいた部屋に非常食があったので持ち歩くのに支障がない分を貰い教会を後にした。痕跡を残さないために移動魔法は使わない...。


思わず足を止めた。


あ...まずい...。

さっき水出したり索敵したりして魔法バンバン使って痕跡残してたわ。


「やばい、どうしよう」


「どうしたの?」


ライが首を傾げて聞いてくる。


「ごめん、魔法の痕跡残しちゃった...」


守ろうと思った矢先にこれかよ...俺が危険に晒してどうすんだ...


「なんだ、それなら大丈夫だよ」


「...え?!大丈夫なの?」


「うん、院長様が魔法の痕跡を消す首飾りをくれたんだ」


なんで院長様そんなもん持ってんの...。国宝級じゃない?それ。まぁでも良かった。


「それどうやって使うの?」


「魔力を流せばいいんだってさ」


魔力の痕跡消すのに魔力使うのか、本当に消せるのか...?ものは試しだ。


「分かった、少し借りていい?」


「うん」


まだあまり孤児院から離れてなくて良かった。


孤児院に着いた。


ライには少し離れたところで待ってもらうことにした。子供には刺激が強いからね。


首飾りに魔力を流す。


「本当だ、痕跡が消えた」


念入りに消してからライの元へ戻る。


「おまたせ、首飾り返すね」


ライの首に戻すと同時に「助かったよ、ありがとう」とお礼も伝えて頭を撫でる。「うん!」と嬉しそうに返事をされた。息子がいたらこんな感じなんだろうか。


「今度こそ出発しよう」


ーー


人気のない雑木林を進む。


「そういえば、なんで俺の名前を知っていたんだ?」


「院長様から1番聞いていた名前だから、よく院を抜け出して困るって言ってたよ」


「あー...」


それは申し訳ない。


「あとは何かあればフォードを頼りなさいって何度も言われた」


「そういう事ね」


「院長様から聞いたんだけどフォードって強いんだよね?」


「それなりにね、でもそれは魔法だけだよ」


「あのさ、僕に魔法を教えてくれない?」


まぁ、これから何があるか分からない。俺がその場にいなくても戦えるようにしておいて損はないだろう。


「良いよ」


「ありがとう!」


「でも街についてからね」


「分かった」


なんて聞き分けの良い子なんだ。



しばらくすると村に着いた。


が、おそらく王家の騎士がいる...。

急いで身を隠した。


「村で宿を貸してもらおうかと思ったんだけど無理そうだね」


「僕、野宿でいいよ」


「ありがとう、今日はそうするか」


またしばらく雑木林を進むと洞穴を見つけた。


「もう暗くなってきたし今日はここで食事をとって寝よう」


木の枝を何本か集めて炎をつける。焚き火の完成だ。そして持ってきた非常食を食べる。料理道具もないので申し訳ないがそのままで食べてもらう。


食べ終わると腹が満たされたのかライが眠そうにしている。


今日は歩きっぱなしでさすがに疲れただろう。それに睡眠不足のはず。弱音も吐かずによく頑張ったなぁ。


「今日はお疲れ様、おやすみ」


「...おやすみ!」


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